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日常と非日常の狭間で


朝、自転車に乗っていてふとななめ後ろをふりかえると太陽の光が目に差し込んできて、私のまつ毛の裏でキラキラと輝いた。

きれいだ、と思った。

この光をファインダーにおさめたいけれど、不可能で、残念。

だけど、私の眼でしか捉えられない光というのもまた美しいと思い直し、前をみた。


二重らせんの縁


10月4日に誕生日だった幼馴染。
プレゼント渡したい、いつ会える?と問い続けた結果、急遽久しぶり(半年ぶりくらい)に会えることになった。

とは言っても、その日の午後は彼女は授業、私は学会の予定だったから11:30から14:30頃まで。

新快速で約10分。
一昨年、飽きるほど行った地は行くたびにその表情を変えて、駅前はまるで知らない街のようだった。

彼女が欲しがっていた美容液は、地元と学校方面では売り切れ続出で変えていなかったけれど、待ち合わせの少し前、遊ぶ街の化粧品屋さんをダメ元で覗くと売っていた。よかった。


「よっ」

「久しぶり。」


シンプルな挨拶をして、横を並んで歩く。

久々に会うと、何から話したらいいかわからなくなって黙ってしまうことも、そこからぽつり、ぽつりと会っていなかった間の出来事を話し始めて、ご飯を食べる時間も惜しいほどに話し続ける。

彼女はグルメでおしゃれなお母さんに似て、おいしいお店や、綺麗なアクセサリー、おしゃれをすることなどが大好きで、詳しい。この日も、最近できたばかりだという彼女がお気に入りの紅茶がおいしいおしゃれなカフェに連れて行ってくれた。

とにかく空間が好きだった。
スコーンもスープも紅茶もおいしかったぁ。


「来年の夏、友人と近所でシェアハウスをするからやっと家出れる。」
「(バイト先の)オーナーがさー、もうまじ終わっててさー…」
「教員免許は取るのやめた。就活もしない。今バイトで行ってるテニスのとこに雇ってもらうんだ。」

彼女のいうことに「そうか。」という私。

「ずっと行きたかった電機メーカーもいいけど、3月に外資IT受かったらそこで就活終わろうと思ってる。」
「この夏やってた企画の人がやばくてさー…」
「卒業したら東京暮らしかな。そのうちテレワークで全国どこでも働けるようになるだろうし、そうならなくても多分30歳くらいになったら子育てもあるし、(地元)に戻ってくるよ。うちの家族も、むこう(彼)の家族もこっちだし。孫の顔見せてやらんとな。」

私のいうことに「目に見えるようやわ。」という彼女。


スポーツ畑と、ビジネス畑。
コーチと、商品企画職。


親同士仲が良くて、幼稚園・小学校は仲良しなのに喧嘩が多かった。
中学時代は、たまに一緒に帰り、長期休みには決まって隣町に映画を見に行った。
高校時代は、徒歩3分の近所に住んでいるのに携帯を変えたのをきっかけに連絡がつかない時期もあった。
大学に入って「やっぱあんたしかおらんわ」というかのように、また頻繁に会うようになった。



決して、互いの道が交わることはないけれど、強く、固く、心だけはいつだって繋がっている。


彼女が起業するかもしれないときに、私が支えるのかもしれないし、彼女と私の子どもが同じ幼稚園に通うのかもしれない。


街に並ぶいろんなお店を覗きながら、またきっと人生の先で一緒になる日が来るのだろう、と思う。


そうはならなくても、彼女だけは互いが最高の理解者で、最高の親友だ。



***



翌日、彼と遊んだ帰り道に偶然、彼女に会った。

会う時は偶然にも必然にも「まじか」と思うくらい連続で会うし、会わない時は本当に会わない。

それが私たちだ。






アートの世界


マハさんの代表作を一通り読み終えた(気がしている)。今は『ジヴェルニーの食卓』の余韻を『モネのあしあと』で味わっているところだ。あとは『美しき愚かものたちのタブロー』『モダン』『<あの絵>のまえで』『デトロイト美術館の奇跡』『生きるぼくら』あたりを読みたいと思っている(そこそこあった)。

マハさん作品と出会ってからすっかりアートの虜になった私は、Google Arts & Cultureというサイトorアプリでマハさん作品に出てきたアートを眺めたり、『たゆたえども〜』などなどで虜になったゴッホを眺めたり。noteを通じて知った、HASARDというオンライン美術館を訪れたり。とにかく絵画を鑑賞することが増えていた。


そんな私にはもう少しマハさんとの出会いが早ければこの夏、確実に足を運んでいたであろう展覧会がある。国立西洋美術館で開催されていた『自然と人のダイアローグ』だ。

あのゴッホやモネの有名どころが、この日本で見られるというではないか。なんて機会を逃してしまったんだ!


と後悔していたある日のこと。


諦め悪い私はネットで【自然と人のダイアローグ】と検索をかけていた。インスタやTwitterで行った人たちが撮った絵画の写真をみて「いいなー」と想いを募らせていた中、ふと「グッズくらい、まだオンラインで売られてたりしないかな?」という考えが浮かんだのである。

考えたら即実行。【自然と人のダイアローグ グッズ】と入れると、PC画面に【図録】が出てきた。

図録。

なんて甘美な響きだろう。


しかし、惑わされてはならない。

なんせ送料込で3450円。
今の私にはそこそこの大金だ。安い服なら買えてしまう。

サイトの登録をし、クレカ情報入力の寸前までいって、「危ない、芸術の魔力に吸い寄せられるところだった」とその日は引き上げた。


しかしそこからずっと、頭から離れない図録。
「イマイチだったなぁ…」などと無駄にならないことを願って、翌日にはポチっていた。

その翌日には40ページ分の英語の教科書についてのプレゼン、さらにその翌日には学会が待ち構えていたというのに。

まあいいではないか、ご褒美だ。
5〜10日発送にかかるらしいけどな!

と思っていたら、英語に関するプレゼンが終わった日に発送メールが届き、学会の日にはモノが届いていた。


学会とその交流会から帰ってきて、過剰包装のその箱の封を開けると、プチプチにくるまれ、
In Dialogue with Nature. と書かれた、ゴッホの絵の表紙が目に飛び込んでくる。

そっとその書を抱き上げ、パラパラとめくってみるとそこは美しい絵画の森であった。

雑誌の写真とも、SNSとも、検索結果で出てくる画像とも違う。

もちろん生で見るホンモノとは比べられないとは思うが、私にとっては間違いなくはじめてのホンモノであった。(大塚美術館はまた別よね)



値段と期待が釣り合わずに落胆する、だなんて誰が言っただろう。

ゆっくり向き合っていると、時間がいくらあっても足りなさそうなほどの引力に、購入から1週間が経つ今も、パラパラ以上に見ることはできていない。

だけど、リビングから自分の部屋までの、5mもない距離を、寝る前と起きた後、毎日毎日この書を持って往復する。


それほどまでに私は芸術の虜になっている。




世界観に恋して


noteをはじめて、文章や写真にこだわり、アートに触れるようになってからというもの。

「あ!これすき!」の基準に、「世界観」が加わった。

その人にしか書けない文章、
その人にしか撮れない写真、
その人にしか書けない文字、
その空間にしかないもの。


それらに「ていねいさ」や「あたたかさ」を感じる世界観がすきなのだと気がついた。


プロでもない個人の発信なんて誰が求めるんだろう。ましてや仕事に役立つわけでもない、オタクな感じなわけでもない、ブログやエッセイやコラムなんて。

雑誌なんて買わなくても、スマホで今検索かければ無料のコンテンツなんていくらでも出てくるしな。

何も起こらない日常を描いた小説なんてつまらないじゃない。(←小学生の頃の価値観)


そう思ってたなんて嘘みたいに、最近は「世界観が好き」という理由でインスタやTwitterの日常垢さんをフォローしてみたり、Pinterestをはじめてみたり、エッセイや日常系の物語を買って読んだりしている。


私と雑誌の関係に関してはちょっとした歴史がある。


中学時代、夏はTシャツ+短パンこそ正義だった私に、部活の同級生が「おしゃれしなよ!」とnon-noやSeventeenを授けてきたことで、はじめてファッション雑誌というものを手にした。残念ながら自分で買うほどまでにはハマらなかったけれど、見るのは楽しかった。

高校2年生の春、高校に入ってからはじめて好きになった人(≠今の彼)と最初で最後のデートに行くことになったときに、Rayをはじめて自分から買った。年齢層も値段も少し高かったけれど、私好みの【カジュアルでもありフェミニンでもあるキレイ系】がたくさん載っていたからだ。

Rayも、non-noも、Seventeenも、アプリやサイトで一定数読めると気づいた時のショックは忘れられない。もうファッション雑誌なんて買わない、と誓った。


そこから数年の時が流れて、先日久々に雑誌を衝動買いした。その相手は、最近『魔女の宅急便』の表紙で話題のFUDGEだ。

ちょっと試し読みしてみよう、くらいの感覚で手に取ってみると、いつのまにか店を出た後も手元にあった(もちろんレジを通して)。

FUDGEは今回話題になるまで知らなかったけれど、世界とファッションがテーマの雑誌らしい。
そこには確かにスウェーデンがあった。

雑誌というのは世界を切り取るもので、その切り取り方や世界観が気に入って買うものなのだ、と知った。


他にも、SAVVY、&Premium、CasaBRUTUS、BRUTUS、Hanakoなどなど気になる雑誌は多い。Kindle unlimitedでバックナンバーを読めるものもあるから、父が加入してるKindle unlimited、ほんとありがたい。

ファッションなら、Rayは相変わらず私好みだなので、本屋でパラパラ立ち読みすることもある。

社会人になったら、躊躇せずに雑誌を買いたいなぁと思った。



香りを纏う


私は香りに地雷が多い。


匂いが無理な人は基本的に無理。
(それが半分くらい理由となって元彼に別れを告げたレベル)

香水なら甘ったるい匂いは問答無用でNGだし、シトラスも鼻につくような強いものは苦手。石けんの香りくらいしか安心して纏えるものがない。

加えて、香水なんてなくてもいいのに買うなんてもったいないなぁ、とか、香水が趣味だなんて高尚な人種だなぁ、とか思っていた。

そんな私は友人と香水屋さんに行っても、香水を選んでいる友人を眺めるだけで満足していたし、彼にプレゼントしたい、と言われても、ほげーって感じだった。(そんな私の反応を見て、彼は候補から取り下げた)

しかし先日、彼とショッピングに行った際、ついに「ドットがいける香り見つけようよ」といわれ、SHIROに連行された。


SHIRO。


少しカッコつけたがりの女子が、インスタにショッパーをあげているイメージの、あのお店。はじめてのデパコス感を感じていた。

しかし実際に足を運んでみると、香水は1980円くらいからあって、主力商品の香りはほとんど石けん系の香りで、私でもセーフなものばかりだった。

なにより、香りをおしゃれな小さな紙に振りかけて試しに匂えるのが楽しくて、お店にある全商品匂ってみたら、楽しかった。(迷惑な客ですみませんね…)

SHIROの1980円?の石けん系なら、自分で買ってつける可能性がありそうだなぁと思った。

また、あたらしい世界を知った。



憧れの言葉


先週くらいにNHKの『まいにちフランス語』(ラジオ、週5)と『旅するためのフランス語』(テレビ、週1)のテキストを買い、一昨日くらいにはじめてそれを開いた。

ラジオだけしか存じてなかったので、ラジオだけ買うつもりが、新番組とあったから「新しくラジオの番組増えたんかな?人気やなぁ」くらいに思って、中を見たらカラーで絵画とか観光とかの情報も載ってたので合わせて買ってみたら、旅する方はテレビだった。(しかもちょっとお高い)

NHK語学系は10月からリスタートと聞いていたので、まだ3週目くらいだしなんとかなると思ったら、全然なんともならなかった。

ラジオは既に第9回目だったし、テレビは再放送で3回目なのに、なんにもわからなかった。

一応、小学4年の時、フランスに憧れを抱き始めた少女・ドットは、単語レベルのフランス語を独学していたけれど、そんなものは記憶の彼方。

それどころか、大学1年の時に5日間だけ、大学のプログラムでフランス留学へ行く予定だったけどご時世的に行けなかった人向けのものが、全学部一般生向けに開校されたフランス語入門を受けていたけれど、そんなのは何にも覚えていなかった。我が学部が英語専修で二外がない弊害がここにきた。


数学以来の挫折だ、と思った。


テレビ版でネイティブが日本語字幕だけでフランス語を発話し続けるのを、人生1のはてなで見送った。

フランス語が聞こえてくるたびに停止して、必死でメモをとった。

第1回からちゃんと聴かねば、と語学プレーヤーで650円の、ラジオ1ヶ月分の音声を買った。

発表以外ではテキトーに発音してきた英語と違って、フランス語はラジオから聞こえてくるたびに本気で発音した。


初めて習う言語ってこんなもんなのだ。

なのに興味のなかった英語は、日本教育6年間でここまで(大学受験、TOEIC700レベル)できるようになったことをすごいと感じた。


だけど英語と違い、フランス語には私なりのモチベーションがある。語学には興味ないけれど、どうしようもないほどのパリへの憧れ。フランス語の甘美な響き(ネイティブが発話すると、フニュフニュにしか聴こえない)、そして時折、英語の語源かな?と感じる綴りや単語。


なんかフランス語ならやってみたい気がする。


フランス語、マスターしたいなと思った。








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