いま40歳在日日本人の精神構造。

1984年生まれの人の心の構造を考えてみましょう。カズレーザー、ナダル、橋本マナミ、栗山千秋、ベッキー、土屋アンナたちの学年です。かれらはバブリーに浮かれたシニカルなジェネレーションX(1965年生まれから1985年生まれあたり)の最末尾です。大卒が2006年ゆえ、さいわい2006年~2008年卒の就職しやすい時代で、なぜなら段階の世代が60歳で定年退職してゆく時期にあたって、得をしています。後続世代はふたたび就職氷河期世代に属し、同時に後続する〈モノよりコト、所有より共有に価値観を置くミレニアル世代=X世代のコドモたちの世代:1980年代前半から20世紀末生まれまでの世代〉にもいくらか属しています。なお、落合陽一さんは1987年生まれです。


1984年生まれとて中学生時代にネットがあたりまえになった世代ながら、続く2000年生まれ以降のジェネレーションXは〈最初のデジタルネイティヴ世代で、生まれたときからWiFi環境でスマートフォン常時接続で育ちます。ディストピアのなかで育ちながらも、政治的正しさを前提に物事を考える〉世代です。英語圏ではかれらはzoomers と呼ばれています。



さて、いま40歳、1984年生まれのかれらに話を戻しましょう。かれらは6歳で平成元年を迎え、MTVが隆盛し、漫才コンビ、ダウンタウンが笑いの覇権を取るべく大活躍した時代に育ちます。かれらが9歳になった1993年が、アメリカの社会学者George Ritzerが『マクドナルド化する社会』を上梓した年。1995年が11歳、神戸淡路大震災とオウム事件の年。『新世紀エヴァンゲリオン』が流行った頃です。1997年が13歳、中学3年生の男の子による神戸連続児童殺傷事件の年です。1999年が14歳、2ちゃんねるが誕生した年。17歳が2001年、911の年ですよ、『ONE PIECE』が人気になりはじめた時期ですね。ガングロ少女が渋谷を徘徊し、浜崎あゆみが少女たちの神だった時代です。それは同時に、博多発祥のラーメン屋「一蘭」が東京上陸し、その後隆盛してゆく時代のはじまりでの時期でもあって、それは個食~孤食の時代を象徴する出来事でもありました。インターネットの高速化も進みはじめ、19歳でミクシィが登場、続いて20歳でFACEBOOKが生れ、人と人とのつながりが変った。22歳でYOUTUBEが生れ、それはテレビの凋落の時代をさきがけるものになってゆきます。24歳が2007年、麒麟の田村裕さんの『ホームレス中学生』がベストセラーになった年です。翌25歳が2008年が、リーマン・ショックの年。28歳が2011年、東日本大震災の年ですよ。もっぱらPCだった時代はスマートフォン普及の時代へと移り、すでにTWITTERが生れ、LINEも登場。すでにフードデリバリーサービスUberEATSも普及し、個食~孤食を快適に感じる人たちも増えています。



また、かれら1984年生まれは、ゆとり教育を受けた世代であり、またかれらの十代はインターネットが普及し、人が情報社会とダイレクトに繋がりはじめ、新自由主義が台頭し、非正規雇用が増えてゆき、格差が拡大していった時代でもある。たとえその人がどんな裕福な家庭に育とうとも、社会には貧困が蔓延していることに気づかないわけがない。



この時代に育ったかれらはそれぞれに何歳でおのおのの出来事をどう感じたのか、それは貧富の度合い、生活環境、性別、個性によって感じ方は違うもの。人は誰も時代のなかで生きていて、大流行や大きな出来事は人の感受性に働きかけ、人の世界観を揺さぶり、ともすれば美意識や感受性を変化させるもの。したがって、いま40歳のかれらと、その1世代上の高度成長期に育ち1980年代後半のバブルで利得を得た世代では、世界観がまったく違う。もちろんいまの40歳と20歳でもまたまったく違う。



たとえば地下鉄のなかにはコドモから老人までいろんな世代の人たちが乗っている。ましてや都バスの乗客は老人率が高い。いま同じ時代、同じ現実を見ていても、しかし世代ごとに時代の見方はおそらくまるで違う。あたりまえのことだけれど。



いまこの文章をお読みになっているアラフォーのあなたは、自分の世代をどんなふうに語りますか? あるいはかれらの下の世代の読者には、かれらのことがどう見えますか?


thanks to らんたさん。



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