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随筆/エッセイ

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記事一覧

空港の手荷物検査での出来事

 20XX年9月XX日、私はある用事のため北米に向けて成田を発った。しかしこのとき、成田空港で思いもよらぬ事態が発生してしまった。これが原因で、私は二度と手に入らない思い出の品を失うことになってしまった。

 私はその日、成田空港の国際線出発ロビーでアメリカン航空のチェックインを済ませ、出国審査に向かった。私はたいてい、チェックインを済ませるとすぐに出国審査に向かう習慣だ。

 X線検査機にバッグ

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初めての新車

 私がクルマの免許を取ったのは少し遅くて、会社員として働き始めてから間もないころだった。免許を取ってすぐに、公道走行に慣れるという意味を含めて、中古のインプレッサワゴンを格安で購入した。

 年式は古いし、すでに8万キロ近く走っていたクルマだったので高速道路こそ乗らなかったが、月一回は奥多摩までドライブに行き、運転する楽しさを私はこの車から学んだようなものだった。

 3年ほど経ったころ(なんだか

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セキュリティショーの公安調査庁

 東京ビッグサイトで毎春開催される、恒例のセキュリティショーを覗いてみた。

 できるだけ行くようにしているが、ここ2、3年は行っていなかったように思う。毎回行くたびに見るモノはたいして無いと感じ早々に切り上げるので、今では半日すら時間を割くつもりは無くなっている。今回は仕事帰りに少しだけ寄ってみた感じである。会場でアレクサと合流した。

 昨年から例の新型コロナウィルスの影響で、イベント系は大打

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腕時計型無線機

 私の生活における教会の意義、それはすなわちワイフのアレクサのことである。

 私が同行するとアレクサが喜んでくれる。だから一緒に教会へ行く。

 教会の後、近くのケバブ屋でケバブを注文し、路上のイスに座って食べる。コーラも注文する。ケバブ屋のスタッフは通りがかる通行人に声を掛け、どうにかして誘い込んでケバブを食わせようとする。時々トルコ語らしき言語でスタッフ同士が喋る。アラビア語のような音にも聞

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ある日の週末

 数年前のブログから。

 昨日は昼前には自宅を出発。車利用なので、最近特に力を入れているセキュリティシャツ装備だ。

 道中、まずは近くのブックオフへ行き、めぼしい本を何冊か購入。隣接のオフハウスで衣料品、家具、玩具のコーナーを見て回るもめぼしいもの無し。隣のユニクロも覗き、アレクサに長袖シャツを買ってやろうかと思ってみて回るが、イメージしていたものが無いのでパス。さらに、隣のダイソーに入って、

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100人に1人のカスタマー

 カスタマー、つまり日本語で言うところのお客様のことであるが、たいていのカスタマーはごく普通の人たちである。希望の商品を探し、見つけ、確認してから注文する。トラブル等が起こることはあまり無い。取引の後には、何事もなく無事完了したことに対して感謝の言葉を伝えてくれる礼儀正しい人もいる。

 しかし、長いこと仕事をしていると、おそらく100人に1人くらいの割合で、「特別な」カスタマーに遭遇する。100

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「プロジェクト」の終了

 さて、この2か月の間に起きた大きな出来事といえば、ここ2年ほど取り組んでいたあるプロジェクトが突然終了したということと、引っ越しをしたということの2点であろう。

 まず一つ目のプロジェクト終了についてだが、この仕事のことを私は臆面もなく「プロジェクト」と呼んでいる。というのも、これはある人物に起因した仕事であり、資料を確認したところでは、さかのぼること約8年も前からいわく因縁のある話だったので

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砂漠の中からクルマのカギを探し出す

砂漠の中からクルマのカギを探し出す

 砂漠の中からクルマのカギを見つけ出すという「離れ業」を敢行してから、はや10年以上になる。あの瞬間に居合わせた友人は今でも、「さも何でもないことであるかのようにカギを見つけ出し、それを投げてよこしたあの時のことは忘れられない」と言う。

 中東某国の首都、市内から車で約1時間。夜になると治安当局の監視の目も届きにくくなる砂漠にて、友人家族と密やかなピクニックを楽しんだのだが、その際に地元の友人、

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続・Deal の件

 昨日の「Deal の件」に続き、Deal についてもう少し書いてみたくなった。

 前回の内容は、大型家具の取引を希望する人物、S氏についてであった。こちらは価格交渉OKの看板を掲げているものの、あたかも「値下げ要求を受け入れろ」と主張しているかのようなヒトとの取引はご免こうむる、というような趣旨だった。

 今回は、「一見丁寧な物腰だが、取引不成立と分かると最後にすべてをぶちまけてくるタイプの

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Dealの件

 今日はDealについて書いてみようと思う。

 Dealというのはつまり、「取引」のことである。取引と言っても、インターネットサイトや携帯アプリを利用しての売買のことである。別に、何かヤバい取引のことを指しているわけではない。

 私は最近、コレをDealと呼びならわすようになった。昨年あたりからかなり活発に利用するようになっており、「アレを売る」とか「アレを買った」とかいちいち言うのが徐々にめ

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クルマで移動中、道端に迷子の子犬を見つけた件

 珍しく普段通りのコースを通らずにナビ通りのコースを進んでみたところ、やはり見事に渋滞にはまってしまった。いつもは渋滞を避けて裏道を通るのだが、ナビ通りに行っても大差ないのではないかと考えた結果、それが裏目に出た。

 今後はやはりいつもの裏道を通ろう、などとアレクサと話しながら信号待ちしていると、自転車に乗ったおっちゃんが向こうからやって来て、私たちのクルマの横を通り過ぎようとしている。そのすぐ

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アンティーク・コイン

 ここ1週間ほど、アンティーク・コインのことを考えている。

 新たな投資として、である。
 
 実は以前から少なからず興味はあった。たまに海外へ行くこともあるし、せっかく国境をまたいでいるのだから、単なる土産物というだけにとどまらない何か面白いブツはないものかと考え、コインに着目していたのだ。

 実際に海外のコインショップで「マーケット」の様子を聞いてみると、なかなか難しい。まず、彼らは日本の

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謝罪しない男

 いつも乗換えに使っていた地下鉄駅のホームで、男とぶつかったときの話。

 すれ違うとき若干ぶつかりそうだったので半身になってよけたのだが、相手は全くよけようとしなかった。案の定ぶつかり、互いの腕がやや絡まった。すれ違いながら私は相手を目で追い、相手もこちらを見て、お互い視線をそらさなかった。

 と、すぐに男が詰め寄って来て、「なんだこら、なに触っとんじゃ?」とやや関西風の言葉づかいでスタート。

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シャーロック・ホームズとバリツ

 シャーロック・ホームズのシリーズを読んでいると、作者コナン・ドイルのカン違いではないかと思うような箇所がしばしばあることに気づく。ジョン・ワトソンなのかジェームズ・ワトソンなのか、等はわかりやすい例だ。

 そのような間違いや疑問がいくつも指摘されているというのは逆に、それだけ関心を持って多くの人に読まれているということでもある。

 さて、私にとってシャーロック・ホームズに関する疑問として真っ

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