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年商1億以下のフリーランスが死なないために、コロナ倒産・令和不況を乗り越える7つの方法を整理してみた。個人事業主、小規模事業者も基本は同じです。資金繰りから営業方法まで「おまとめ」

明けない夜など無い。

1.はじめに

コロナショックに端を発した大不況の始まりを告げる世の状況は、僕たちを不安と不遇に一気に押しやってしまいました。

今回の投稿は、特に”体力”がないフリーランスや小規模事業者が、どのような手をこの先打てばよいのか、自分なりの考察を要点だけまとめたものです。

※「年商1億以下のフリーランス」と分かりやすくタイトルをつけましたが、年商10億でも100億円以上の企業でも、その規模を問わず基本は変わらないものと考えています。

今回の投稿内容は、決して成功談ではありませんし、もちろん正解や”特効薬”でもありません。自分の頭で考え、身を守っていくための一助になればと思い、私見を整理したいというのが主旨です。これが僕自身の頭の整理と不安を鎮める最善の策だと思ったからです。

※自分もまた一人のフリーランスです(株式会社コンパス の代表として、”ひとり社長”、研修講師業、コンサル・コーチング業などを主に大手企業・中堅企業などから請け負う受託仕事/フロー収入です)

2.前提となるスタンス

残念なことに消費税増税による景気の冷え込みの後に、新型コロナウイルスによるパンデミック、株価暴落など想定外のインパクトが僕たちを襲ってきました。

著名アーティストがドームでのコンサートを中止し、企業においても各種プロジェクト中止、なんなら少人数での会議や短距離での移動まで自粛。海外からのインバウンドも日本に来なくなり、あおりを受けた飲食店、観光業界も大打撃を受ける始末。

これらの事例を挙げれば枚挙に暇がありません。

一つ言えることは、冒頭のお話にとどまらず、すべての産業にフリーランス、小規模事業者が関わっているということです。

主宰者、プロジェクトを主導する大手企業だけで成り立つ産業がない以上、言うまでもなく当たり前のことです。

そのため、今回の増税からコロナショックに至る一連の流れで、完全に仕事がとまり、売り上げが干上がってしまったフリーランス(および小規模事業者)の方々は、倒産や自己破産の危機にさらされることになってしまいました。

また、オリンピックも中止、延期となれば、ますます経済は悪化し「令和の大恐慌」と歴史に刻まれることになるかもしれません。おそらく、この恐慌後は、今まで生きてきた世界・見てきた世界とは風景が一変することでしょう。(良きにつけ悪しきにつけ)

”コロナ前、コロナ後”という言い方になっていくことでしょう。

仮に、来期(2020年4月~2021年3月まで)の資金繰りを乗り切れたとしましょう。発注主の企業も来期の予算は既に確定しているため、それなりには仕事が温存され、ゼロベースになることはまだ少ないかもしれません。

ところが、再来期(2021年4月~2022年3月)になると今まで確保できていた予算が確保できず、フリーランスは仕事が9割減など当たり前のようになることでしょう。

つまり、売上半減どころか、売上8~9割減を前提に、大至急で手を打っていく必要があるというわけです。

そんな先のことより、来週にも資金ショートしそうなんだよ!とお叱りの声をいただくかもしれません。

そのため、短期ですべきこと、中・長期で取り組むべきことの両軸で整理しておきたいと思います。

【基本スタンス】
選択肢を頭がちぎれるくらいに考え出し尽くすこと、その上で「コントロールできないこと」ではなく「コントロールできること」にフォーカスして大量行動すること。

思考の整理による決断の基軸は、いつもここから始めます。

それでは、以下、7つの視点で方法を整理していきます。

※ここからは釈迦に説法の部分もあるかと思いますが、頭の整理用に使ってください。

3.方法(1)シミュレーション

この投稿をしている段階では日本でも緊急事態宣言がでるかどうかのタイミングであり、この先の見通しは視界不良の状況です。

だからといって、思考停止になるのは危険です。現実と見えている部分だけでも直視し、シミュレーション(複数シナリオ)を作って即時行動することをお勧めします。正解はありませんが、仮説を立てることは大事です。

「悲観的に計画を立て、楽観的に行動すること」

ポイントは、悲観シナリオをどう作っておくべきかです。過去の経験則はもはや何も通用しないでしょう。前例がない状況だからです。

①シナリオは3パターン作成

シナリオは「楽観シナリオ」「現実シナリオ」「悲観シナリオ」の3パターンを立て、各種準備は悲観シナリオで立てておくことをお勧めします。

また、現実シナリオとは平常時の数値で観るのではなく、平常時の4~5割減でシミュレーションしておくことをお勧めします。

②資金ショートまでの時間試算

現実的に、資金が底をつきるまで1か月も持たないという人もいることでしょう。今回は、そこまでひどくない場合を例にとりますが、悲観シナリオで売上ゼロで1年持つのか半年持たないのかで計算しておくことをお勧めします。

③1年分の月次予測が基本

業種により異なりますが、1年分の月次損益を「現金ベース」で試算して記録しておくことをお勧めします。手書き・エクセル・クラウドサービスなどそのテンプレートは問いません。

僕の場合は、顧客先の締め支払い(入金タイミング)から実際の現金の動きを1年分の月次損益予測に反映させて記録しています。また、ズレが生じれば、即時修正をかけ、現金の動きは日次チェックを行っています。

④公私ともに計画作成

フリーランスの場合は特に、個人の家計と連動する方が多いかと思います。所得のブレが家計を直撃するというわけです。

そのため、仕事面だけではなく、家計の面でも収入が突如ストップする(収入がゼロになる)という最悪の状況を加味して、あとどれくらい家計がスムーズな状態を保てるのかを考慮する必要があります。

家族構成などによっては、支出がかさむ人も多いことでしょう。共働きでもお金が追いつかないほど行き詰まるケースもあるでしょう。1日でもはやく、家族会議を行い、子どもや親を守るためにも夫婦喧嘩をせずに、プライベートのお金もシミュレーションしておいた方がよいでしょう。

悲観シナリオの作成一択で良いかと思います。

4.方法(2)コストダウン

当然のごとく、すべての前提をゼロベースに戻してコストダウンの策を練ってください。

思い入れ、プライド・見栄、いつか使うかも!などの保険的思考は、この際すべて捨ててください。前例がない状況で、リーマンショックや東日本大震災時を上回る不況に陥ることを前提に捉える方がベターです。

①「ヒト・ハコ」の見直し

これは状況が厳しいからヒトを解雇しましょう(雇用している方は)という話では必ずしもありません。

・そこに、それだけの人的稼働は必要?
・外注ではなく内製ではできない?
・その人がパートナーで大丈夫?

一番難しいのが人間周りの話ですが、ヒトの最適化、コスト構造の見直しなど、できる範囲で結構ですのでやっておくことをお勧めします。

ハコとは、フリーランスの場合、主に事務所のことを意味します。

在宅ワークの人も多いことと思いますが、一方で、レンタルオフィスの方もいることでしょう。

レンタルオフィスの場合もピンキリで、ゴージャスでかっこいいレンタルオフィスなら、見直してもいい時期かもしれません。

レンタルでハコやスペースを活用せずとも、バーチャルオフィスといって住所だけ一等地にして郵便などは転送に変える仕組みの活用もできます。(実際に利用するときだけ課金する方式で、普段は席を使えず、名義だけ住所だけを借りるイメージ)

簡単に言えば、月2~3万円のレンタルオフィス代がかかっていたとしても、それでさえ月2~3千円にまで抑えることはできます。こんな少額のコストダウンは焼け石に水だ!とバカにしないでください。

僕はリーマンショックの時に、友人の会社に居候したのち、バーチャルオフィスの活用で生き延びた経験があります。

②「モノ・サービス」の見直し

業種や職種によって異なりますが、モノとは備品関連のことを指します。

・そのパンフレット必要?パワポではダメ?
・カラー印刷必要?モノクロでもいいのでは?
・スマホは格安に変えて支障ある?

細かい点を挙げればキリがありません。根こそぎ、費目のリストをつくったら、改善方法の作成と即時実行してください。24時間以内着手で。

サービスとは、たとえば普段使っていない高額アプリ・各種クラウドサービス・サブスク商品などを意味します。

また、勉強会費、セミナー受講代はいま費やす意味がある?という点での見直しも必要です。刺激を注入するだけのものは、あまり意味をなさないでしょう。

仕事上で「あったらいいな」レベルで契約しているものをリストアップし、本当に必要かどうか吟味してください。

「なければ困る」以外はすべて解約しましょう。

状況によっては、これだけで1万円以上の節約になる人もいるでしょう。

繰り返しますが、「こんな少額の節約だけでは意味がない」と内心思うこともあるでしょう。しかし、この少額の積み重ねがボディーブローのように効いてきます。

今のタイミングは、おそらく大恐慌の入り口であって、さらに落ち込むのは2021年からと僕自身は認識しています。

③家のコストダウンも視野に入れる

プライベートでは家に関するコストダウンも視野にいれておきましょう。家に関するコストは家族持ちであろうとなかろうと、一気にモチベーションが下がるリスクはあります。

しかし、もはや背に腹は代えられないタイミングに入っている気がします。

・車は本当に必要?
・子供の習い事は多すぎない?
・今、その服は必要?
・家賃を下げるなら?
・その保険は意味あるの?
・安易にAmazonでポチってない?

あまりやりすぎると窮屈で家庭内も暗くなりますので、「メリハリ」をつけることと、いったん前提や前例をすべて見直すことが肝心です。

よく家庭内で話し合いをし、

・緊急なもの、緊急ではないもの
・あったらいいな、なければ困る
・短期、中期、長期
・大人のコストと子供のコスト
・すぐできること、時間をかけるもの

その他、ご家庭に応じた整理の軸を設定して、メリハリをつけるための仕分け(セパレート)も紙に書き出しながら進めてみてください。

※僕自身の拙著で大変恐縮ですが、仕分けの軸の参考書籍もあります。

5.方法(3)キャッシュの確保

一番はじめに言えることは、

Cash is KING!

現金は王様である。それほど、手元に現金をどれだけ確保できているかが大切ということです。PLやBSがどう表現しようと、現金が手元になければアウトですからね。

①支払い条件の交渉

支払い条件を変えてもらうことを取引先に言うことは、難易度が高いチャレンジレベルです。しかし、このまま指をくわえて待っているわけにはいきません。

先方に対しては労務や納品を終えている、あるいは一部は着手しているという場合は、着実な請求と回収が求められます。

僕がかつて経験的に行ったことは、

A)一括前倒しでもらう
B)着手前に半額、終了後に半額
C)前半終了時に半額、後半終了時に半額

たいていこの3パターンでの交渉でした。

A)は不可能そうですが、前金でもらう分値引き対応するという話になると、乗ってくれる取引先がかつて10社に1~2社ほどの割合で存在した経験があります。

平時であれば、毎月分割で複数からいただくのが安定するのですが、目先で大量の現金を確保するのであれば、まとめて早いタイミングでもらえるようにすべきです。

ここで大切なことは、「引け目を感じない・怒られることを恐れない・罪悪感を感じない、やる前から諦めない/決めつけない」というマインドの部分です。

あくまでも交渉することなので、条件変更が通るかどうかは未知数です。また結論は相手が出すことなので、自分ではコントロールできません。それだとしても、「やらないよりは、やった方がマシ」なのです。

ちなみにリーマンショック時の経験談でいうと、10社に1~2社の割合で応じてくれる企業がありました。

あなたの日頃のふるまいや、顧客との信頼関係などがものを言いますが、やって損はないでしょう。お金をかけずにできる方策です。

②融資・助成金を受ける

借り入れを起こしたことがない方は、抵抗感があることでしょう。さらに、借り入れ経験者であっても、これ以上の負債を増やしたくないという方も多いことでしょう。

しかし、原点に立ち返ってください。「現金の確保第一で動くべき」の原則から言うと、そうも言っていられない状況でしょう。

僕のまわりでは、当面はまったく資金繰りに問題がない方でも、融資を受けて手元現金を多めに準備しておく方が急増しています。

この状況では事実上の「無担保・無利子」などの制度が拡充してきましたので借り入れに負い目を感じず、即時行動に移すべきでしょう。

よく実績がないとダメでは?や、個人事業主では厳しいのでは?というイメージで決めつける人がいます。イメージで捉えるのは危険ですね。

騙されたと思って、たとえば「コロナ、融資」など関連キーワードで検索し、30分ほどくまなくチェックしてみてください。政府絡み、行政絡みの胡散臭くない制度は拡充されていることに気づくでしょう。

ただし、状況と内容によってどんな制度融資を受けるのが有利かは全てケースバイケースなので、面倒がらずにリスト化して一つずつ吟味しましょう。

また、窓口に予約して相談をしないと仲介してもらえないなどの制度には、現在申し込みが殺到しているそうですので、後回しにされないように即時行動(24時間以内着手)が求められます。

※以下は経産省などの例です。

テレワークや、雇用関連は助成金も新型コロナ向けの特別制度として出る場合がありますので、要件を確認して該当する場合は即時申し込みをされると良いでしょう。

融資と異なり、助成金は返す義務がなく受け取れるものです。ただし、一般的に多くの助成金は、先に立て替えておき後で申請、許可を受けたものだけが入金されるケースが多いものです。

一部、申請がとおり先に入金もらえる制度もありますが、目先の資金に困っている方は要件を熟読することを推奨します。

検索されるなら・・・

<例:厚労省管轄>

「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主への助成金」「新型コロナウイルスの感染拡大防止策による、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための助成金」

<例:経産省管轄>

「 テレワーク助成金」

その他、ご自身が登記している都道府県の行政のサイトからも、特別な対策や方針を確認することができます。

何度も言いますが、調べること・要件を熟読することに手間を惜しむな!っていうことが一番大事です。

税理士さん、社労士さんとも連携をとりつつ、まわりの人的ネットワーク(経営者など)を活かして情報収集に血眼になってください。

③支払いをスキップする

この投稿の読者の中で既に資金ショートを起こしていて行き詰まっている人がいるかもしれません。

その場合は、各種支払い関連の時期を変える交渉を各所にしてみてください。税金のように普段の支払いだけではなく、融資の返済などを抱えているケースを想定して以下お話します。

※僕は金融コンサルでも返済やリスケに詳しい専門家でもないため、経験に基づきお話します。

なお、ここではスキップの定義として、たとえば返済期間を延ばしてもらって月々の負担を軽くすることや、支払いを延期すること、金利だけで元金返済は先送りすることなど広義の意味で使ってお話します。

融資残高が残っている場合は金融機関に、払えない社会保険がある場合は社会保険事務所(年金機構各所)に、税金は税務署に、相談するのです。

支払いを遅らせることは、罪悪感や敗北感(劣等感)を感じてしまうかもしれませんね。お気持ちはよく理解できます。

しかし、そんな自分の気持ちのことを言って感傷に浸っている場合ではありません。事実としてお金がない状態を解消しなければいけないからです。

そこで、返す意思表示は各所に明確にしつつ、返す計画を具体的に構想すること。そして、隠しごとをせずに状況を各所に早めにかつ定期的に報告を入れることで、聞く耳は持ってもらえる可能性はあります。

経験的に言うなら、交渉の順番は金融機関、社会保険、税務署です。

金融機関は公的機関と異なり、返済要請のプレッシャーが強いケースもあります。しかしながら、税金の滞納は社会的な信用のダメージが大きいため、まずは民間の金融機関から相談を行い、スキップやリスケの許可をもらう交渉をします。(かつての僕の場合はそうでした)

ちなみに、社保や税金は当たり前ですが、支払えない間は本来の支払額に加え、延滞税が加算されますので、注意が必要でしょう。

経験上、金融機関(メガバンク、信用金庫、政策公庫)にリスケ交渉した際に、恫喝を受けたことはありませんのでご安心ください。昨今の状況とフリーランスでそこまで追い込まれることは少ないでしょう。(額が小さすぎるのに、”事故案件”になったら行員さんも嫌なことでしょう)

ただし、本来はやって良いことではない(金融機関への交渉は法律違反ではありませんが・・・)ので、謙虚にかつ誠意をもったスタンスが必須です。

おまけの話としては、それでもうまくいかない場合は、カードローンで個人で借金して会社に補填する方法もありますが、避けるべきです。今後の金利支払いの足かせが重くなります。(この低金利時代に13%前後)

それなら親族に頭を下げて融通してもらうことから始めるべきです。

6.方法(4)戦略・営業方法の見直し

今は有事のため、平時にはとらない行動もゼロベースで考えて全てやりつくしましょう。

大切なことは、選択肢をすべて出し切り(他人の知恵も借りて)、片っ端から同時並行で大量行動していくことです。

何が一番効果があるかは、やってみないと分からないため仮説検証の意味でも、同時多発的に動くことが肝心です。

①100社・100人行脚

一番シンプルな方法は、100社・100人にコンタクトをとる!方法です。

既存顧客はもちろん、過去の問い合わせ客、関係者、パートナー含め100社および100人を目標にアポを入れてコンタクトしましょう。

もちろん、仕事にならなくてもOKです。情報交換でもできるなら、苦境脱出の知恵が蓄積されるばかりか、気晴らしにもなります。

コンタクトをとって仕事をとる!と鼻息を荒くして、取れなかった時に凹みます。そのため、仕事をとることを目的にせず、ただ「100社・100人」に会うことだけを目的にして、達成するまで淡々とこなしていってください。過度な期待は禁物です。ゲーム的に楽しみましょう。

正解が見えない時は、質よりも量を稼ぐ方法に切り替えてもいいのでは?という問題提起です。

過去の経験上、僕自身はこの方法でリーマンショック時も苦境を脱出しました。またアドバイスしていた企業経営者もこの方法で脱出できました。経験上、この方法で苦境を脱出できなかった人は皆無です。

たいてい20社か20人に会う前に、何かしらの仕事が発生したり、助けてもらうことで耐えているからです。問題は100社・100人も面倒でやろうと思う人がいないことです。だからこそ、あなただけはやってみてください。

もちろん、状況的に直接会えない場合(集合禁止・自粛など)はメールやSNS・電話など方法はいくらでもあります。

②既存客のリピートとクロスセル

特に主力客でリピートで継続していただける顧客はいるのか?リピートしてくれる条件は何か?リピートを必ず求められる部分はどこあるのか?を考えてみてください。

また、クロスセルとは今提供しているサービスに加えて、他のサービスもクロス(抱き合わせ)で提案してみることです。マクドナルドへ行ってコーヒーを頼むと、「アップルパイはいかがですか?ポテトはいかがですか?」と、他の商品をすすめてくるアレです。

クロスで売るサービスや商材が無い場合は、準備する必要はありますので注意が必要です。自身で売るものがない場合は、他社のサービスをかつぐことも有効でしょう。

導入してくれる可能性は高くはありませんが、取引客数や客単価が低下するのであれば、解消に一役買ってくれます。

僕自身は、コンサルやっていた取引先に、研修はいかが?営業代行はいかが?デザインの見直しはいかが?とパートナーと組みながらクロスセルをやって2~3社成功した経験があります。

③顧客の選別

大前提として取引先の1社依存や大口の取引先2~3社で生計を立てている場合は危険です。

これを読んでいるあなたが、今、どんな状況かは分かりかねますが、冒頭の売上が大きい少数の取引先に依存している場合でも、基本的な考え方だけはご参照ください。

実体験にもとづく経験談としてお聞きください。実際は業種や職種によっても異なります。

僕の場合は、すべての判断軸を「現金確保」という視点に切り替えました。

一般的に顧客の選別は、売上や利益順に優劣をつけることが多いかと思います。しかし、一般論はこの際、無視してください。

<かつてとった施策の実例>

A) 支払い時期が早い顧客
B) リピートがかたい顧客
C) クロスセルが効きそうな顧客
D) 不況に関係なく需要がある顧客
E) 感情的な絆が強い顧客

以上、5タイプの基準を軸に、どの顧客と関係を強化すればよいのか、選別していった過去があります。

この基準で選別し直すと、必ずしも売上や利益が高い顧客が、上得意客とはなりませんでした。

たとえば、A)ですが、仮に客単価が低い場合や下請けとなっているため利益が低い顧客でも、「当月支払い」のような条件の企業は最優先としました。また、小さな金額の案件でも積極的に引き受けました。

プライドは捨て、恥も外聞も気にしている場合ではありません。

実際に、大手企業で単価が高くても「翌々月の10日払い」となれば、手元に現金を至急用意したい状況なら、優良顧客とはみなしません。雑に言うなら、「はやくお金になる顧客が良い顧客」という定義です。

D)も意外に大事です。仮に単価が低くても不況に関係がない業種は、ニーズが絶えません。医薬関連、インフラ(交通・電力・水道他)、緊急サービスなど。もちろん一概には言えませんので、あくまでもイメージです。

実例として、僕自身はかつて医薬関連企業のプロジェクトコンサル(6か月単位で1年間)、家の修理・水道メンテ会社の顧問契約(1年以上)など3社程度の不況とは構造的に関係がない企業と結びつきを強くして、現金確保に成功したことがあります。

手元に現金が確保しやすいかどうかで顧客を選別するというスタンスは、当初、良心の呵責に悩みます。そんな基準で顧客をふるいにかけることなんて失礼では?という罪悪感です。

ただ、今は繰り返しますが有事です。あなたが生き延びてこそ良心も活きるのです。戦略的にしたたかに考える部分はビジネスパーソンであれば特に必要です。

④ライトプランをつくる

ひとことで言うと、現金確保のために「薄く広く」取引先を広げる必要があります。

今まで高単価で大手(大口)取引先と仕事をしていたとしましょう。このままでは大手であっても不況時に、あなたのサービスを継続してくれません。

ましてや中小向けにすそ野を広げることは困難になります。そこで、ライトプラン(価格は安めで導入しやすいプラン)を新設します。

僕自身がかつてとった施策は、あくまでもイメージですが・・・

あるコンサルプロジェクトが1本100万だったとしましょう。そこでライトプランとして30万円と10万円のサービスをつくりました。

「ポイントだけお手伝いする30万円長期プラン、2時間だけのお試し10万円プランもありますが、いかがですか?」というセールストークです。

後者の10万円だけが増えてしまうと”労多くして益少なし”になりますが、100万円の受注につなげる”呼び水サービス”として考えるなら、受注ゼロより前進します。

なお、格安サービスをつくることだけがライトプランではなく、課金方法を変えることも一つの方法です。

広告で言えば、平時は広告掲載料をもらう課金モデルで稼ぎ、有事の不況の際は、広告は無料にして成果があった時だけお代をいただく成果報酬型の広告モデルを強化するという方法もあります。

つまり、導入しやすく”敷居を下げる”ことがコンセプトです。

⑤ポートフォリオの再構築【中期編】

ポートフォリオとは、「事業の最適配分」と解釈してこの後を読み進めてください。

もしあなたが、A社の売上97%でB社の売上3%とすれば、偏ったポートフォリオになるためかなり危険です。そこで、”分散思考”が求められます。リスクヘッジのためです。

このパートでのお話は今日明日にはできないことなので、「中期的」として捉えてください。

確認すべきバランスは、自身の経験上以下で精査しました。

A)下請けと直販のバランス
B)短期契約と長期契約バランス
C)ストックとフローのバランス

この3つです。

A)はフリーランスが一番大きな問題の話ではないでしょうか。(業種による)

先に僕自身の話をしておきますね。件数で言うと、BtoB事業に関しては、60%が下請け(受注元の下について請け負うだけのタイプ)・40%が直販(自身が受注の胴元になり顧客企業と直接やりとりするタイプ)です。

※一方、利益額の大きさの視点では、下請けと直販が大きく逆転します。あくまでも自身の場合は、直販の場合は粗利100%で、なおかつ下請け案件の単価の4~5倍になります。

僕の仕事の下請けのイメージがしづらい方向けに詳細を補足します。

コンサルの場合は大手コンサル会社の、研修の場合は大手研修会社から請け負って仕事をします。そのため、サービス提供先の企業(現場)とはお金のやりとりや連絡に至るまで直接行うことは基本的にありません。

また、自社の名刺ではなく、受注元の名刺を使って活動します。僕の会社は株式会社コンパスですが、”ABCコンサル株式会社”(架空の社名)の名刺を使って活動するイメージです。メアドも書類のテンプレートも同様です。

また、講演やセミナー仕事の場合は、吉本興業やジャニーズのような講師専門のエージェント会社が業界にはありますので、そこから請け負う形式です。自社の名刺が使える場合がほとんどですが、連絡とお金のやり取りは基本的にありませんし、ご法度です。(吉本興業の闇営業問題と同様の構造になってしまいますからね)

ただし、講演のエージェントは、芸能界みたいに独占契約ではなく、複数社に登録するのが普通のため、縛りはゆるくリスクヘッジもできます。

下請けは営業しなくても仕事をもらえる楽さはありますが、利益が低く有事には自分でコントロールできない弱さがあります。多くのまわりの知人は下請けモデルに甘んじてしまい、有事の今、右往左往しております。

そのため、平時の間から僕自身は直販重視で積み重ねてきました。直販は顧客開拓は容易ではありませんが、自分のコアを明確にし、ブランドをつくり、顧客接点を複数もつ機会をつくれば、不可能ではありません。

この辺の詳細、かなり細かなテクニックや背景は、ここでは割愛させていただきます。

結果として、コロナショック前から、直販中心に近年は切り替わってきています。総じて、下請け・直販のバランスや構成比率を常に見ながら、収益体制を構築している状況です。

※ただし、コロナショック後は、利益率が高い大手直販クライアントが増えたとしても、決して盤石とはいえない未知なる状況に突入したように思えます。

なお、これに付け加え、BtoC事業もつけ加えることでキャッシュフローが改善され、自身でコントロールできる余地が増えています。

僕の場合は、経営者やリーダー向けの思考の整理コーチングやセミナー事業です。なぜだかBtoBと異なり、BtoCは”学費”というイメージを持たれることが多いため、「前払い」が一般的なケースが多く現金確保の視点では有効です。

以上、実体験と実情に基づき事例でお話してきましたが、ここにB)の時間軸やC)収入構造のバランスも併せて考え、コツコツと積み重ねていくことが求められます。

⑥長期熱狂モデルの構築【長期編】

可能な限り、経済状況に関わらず長く取引いただけるようなサービスを提供できる関係の構築がベターです。

そのため、毎回短期スポット仕事の受注が多いのであれば、長期契約型のサービスメニューを新設することが、今後は求められます。すなわち、長期契約プランをあなたはもっていますか?という問いです。

1か月完結型の仕事がメインであれば、1年間継続して提供するサービスプランをつくるのです。研修業であれば、1日いくらの世界ではなく、1年間契約で毎月定額をもらい割安の使い放題研修プランをつくるなどのイメージです。

それに加えて、各種サブスクモデル(言葉の意味が不明の方は検索してください)、オンラインサロン(言葉の意味が不明の方は検索してください)なども発展的に検討してみてください。

鍵は、「長期契約×熱狂顧客」です。

長期契約モデルを築いても、ビジネスライクすぎると、結局、解約率が増えて本末転倒です。

主宰者のビジョン・世界観に共感して集ってくれる熱狂的顧客がいる、その顧客も参加できるような共同プロジェクトをつくるなどして、強固なコミュニティをつくると、不況とは関係がなく”太い顧客”との関係性が築けます。

今回は、本題から外れるため、長期熱狂モデルの詳細は割愛させていただきます。

7.方法(5)人間関係の強化

さて、ここまではビジネス上のテクニカルな話が中心でした。

ここからは、ビジネス以前に基本となること、ビジネスを支える基盤の話をしておきたいと思います。

不況に備える上での”OS”と呼んでも良いでしょう。

今さらながらで恐縮ですが、やっぱり最後は「人間関係」がものを言います。

仕事上のつながり、家族間のつながり。

仕事で言えば、取引先だけではなく、パートナー会社など横のつながりの関係から新たな案件が舞い込むかもしれません。また既存の取引先であっても、担当者の熱が社内で伝播して、僕のための特別予算を用意して発注してくれた過去もあります。

また、困った時に心の支えになってくれるのは家族です。どう協力体制を築き、心を互いに癒し助け合えるのか。これほどかけがえのないものはないことに気づく必要があります。

マンションが同じ居住者でさえ、もしかしたら・・・というご縁が発生することもありえます。

「そういえば、鈴木さんは〇〇な仕事をされていましたよね?いま、知り合いの会社でこれをできる人を探しているのですが、できますか?」のようなセリフはまれに発生するかもしれません。

結局、仕事やお金を運んできてくれるのは人です。

この基本に立ち返るところから苦境を乗り切る原動力ができます。

”お金持ち”や”仕事持ち”よりも、”人間関係持ち”から始めましょう。

「人間関係持ち」⇒「仕事持ち」⇒「お金持ち」

この順番で結果が伴ってくるのが本質です。

8.方法(6)健康維持

このパートも、目新しい話はありません。釈迦に説法になることでしょう。基本の再確認という視点で聞いてください。

健康を害してしまうと、仕事どころではなくなってしまうからです。

今は、新型コロナウイルスに感染するかどうかという恐れもあることでしょう。しかし、こればかりはいくら手洗いとうがいを行っても分からないものです。

だからといって、手洗いとうがいを面倒だからと止めてしまうのは、リスクの確率から言っても愚の骨頂でしょう。

ここではコロナ対策というより基本的な確認のお話です。

個人的には、

A)食事
B)運動
C)睡眠

この3点セットの基本にいかに忠実になるかという点を重視しています。

いわゆる生活習慣の基本です。

僕自身が気をつけていることをリストアップしておきますね。健康の専門家では全くないため、あくまでも個人的な生活習慣のスタンスとして聞いてください。

A)食事

過食をしない、糖質を取りすぎない、お腹いっぱいにしすぎない、深夜に食べない、間食をとらない、アルコールは極力とらない。

B)運動

座り仕事の時でも1時間に一回はたって休憩を取る、1駅分の距離なら歩く、自宅でできる基本的な筋トレを毎日行う。

C)睡眠

用事がなければ早く寝る、個人的には7時間睡眠が一番スッキリ、寝る前のスマホは避ける、起床時間は一定にする。

※睡眠は、睡眠時間だけを気にしてもダメで質こそが大事という論がありますが、それでも短すぎたり不規則なことは問題だと考えています。

付け加えるならば、「健康診断」は確実にかつ定期的に受けることも重視しています。胃カメラ、大腸カメラはもちろんのことです。

要するに「免疫力を少しでも上げて感染リスクを下げる」という確率論に対する意識です。

繰り返しますが、健康維持なくして仕事やお金の話はしえないということは、決して忘れてはならないでしょう。

9.方法(7)思考の整理習慣を持つ

仕事がヤバイ、お金がない・・・こんな時、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?どんなことが頭に浮かびますか?

僕自身は頭のゴチャゴチャと心のモヤモヤで、視界に入る景色はすべて灰色に見えてしまったという経験があります。

しかし、苦境に陥った時に気づいたことがあります。

それは、感情的に動いても問題は解決しない、不安や悩みを最小化できるわけでもないという過酷な現実があることです。

決して簡単なことだとは言えませんが、この困難な局面で大切なことは「いかに負の感情に振り回されないか」です。

僕が好きな言葉に、美輪明宏さんの言葉があります。

辛い、苦しい、悲しい…。人間が一番大変な時、何の役にも立たないのは、大騒ぎするだけの、マイナスの感情です。役に立つのは強く、楽しく、明るく…そちらへ切り替える理性なのです。

「こんなに苦しい時に、理性に切り替える冷静な気持ちなんかなれるかい!」、そうお怒りの言葉が聞こえるかもしれません。

しかし、繰り返しになりますが、感情的になるだけでは、何も前進しないのです。少しでも冷静にかつ客観的に、思考の整理をしながら苦境突破の鍵を見つけてください。

新型コロナウイルスが発生してからも、デマ情報を含め情報洪水にまみれるようになりました。

情報を仕入れ、選別し、適切な行動に変えていく上でも、時には立ち止まって「思考を整理する習慣」が必要となるのです。

主旨とは外れるため、ここでは詳細をお話しませんが、もしよければ以下の過去投稿もご参照ください。

10.まとめ

ここまで長きにわたって、様々な切り口からお話してきました。すぐに効く特効薬のようなものはなかったかもしれません。

一つずつはあなたも既に熟知されていることばかりかもしれません。

しかし、全体像を見誤らないように、スピーディーさが求められる今、非効率な動きにならないように整理しておくことが必要であろう。そう思い、私見を中心に書かせていただきました。

これは自分自身の頭の整理にも有効であり、書くことで頭の中身を公開し、共有することに少しは意義があると思った次第です。

最後に、過去の苦境の中で、自分自身を奮い立たせた言葉をご紹介しておきたいと思います。

真の心の強さとは、
絶望の中で希望を見い出す力である。

考えてみると、戦後の焼け野原からソニーやホンダなど世界的な企業が誕生しました、近いところではリーマンショック後の混乱時にラクスル、ユーザーベース、RPAテクノロジーズなどの今では新興上場企業が創業されました。

海外でも、エアビーやZOOMも不況の時に誕生して世界にイノベーションを起こしました。

まさに僕たち一人ひとりの”真の心の強さ”が問われているのでしょう。

また、尊敬する松下幸之助さん(現パナソニック創業者)は、「不況克服の知恵10か条」として、整理されています。

1条)「不況またよし」と考える。
2条)「原点に返って志を堅持する」
3条)「再点検して自らの力を正しく掴む」
4条)「不退転の覚悟で取り組む」
5条)「旧来の慣習、慣行、常識を打ち破る」
6条)「時には一服して待つ」
7条)「人材育成に力を注ぐ」
8条)「責任は我にありの自覚を」
9条)「打てば響く組織づくりを進める」
10条)「日頃からなすべきをなしておく」

ここまでお話してきたことがすべて霞んで見えるほどに、この10条ほど本質的で説得力があるメッセージはないと思えます。

最後は頭を整理してシンプルにとらえること。具体化策を細分化しながら実行策へ落とし込むこと、決めたことは即時着手をすること。

言葉の持つ力は強く、言葉が人を救うこともあると思います。

いついかなる時も、思考の整理と言葉にこだわって、苦境を乗り越えていこう。そして、あらたな希望をつくるんだ。

こういう決意のもとに、今回のお話はそろそろ終えようと思います。

やるべきことを果たそう。その姿はきっとどこかで誰かがみているから。

ここまでお付き合いいただきましてありがとうございました。

この文章が、どこかの誰かに届きますように。

いつか笑顔で会いましょう。

では、また・・・

道は無限にある。
※7つの方法論おまとめ※

(1)シミュレーション
(2)コストダウン
(3)キャッシュの確保
(4)戦略・営業方法の見直し
(5)人間関係強化
(6)健康維持
(7)思考の整理習慣を持つ

★注意★

今回の投稿は、業種によって実現性は変わりますので参考情報としてください。過去起業してから20年間の体験にもとづき私見を整理しているにすぎません。またこの文章をヒントに実行されたときの成果や結果はすべて自己責任でお願いします。結果を保証するものでは全くありません。

11.おまけ

動画でこの内容を視聴したい方は以下よりご覧ください。

著者・思考の整理家 鈴木 進介

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