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経営者、起業家のための今さら聞けないポジショニングの意義

ポジショニングという言葉を聞いたことがありますか?

思考の整理を専門にしている僕としては、ビジネスにおける展開を考える際、ポジショニングこそ究極の思考の整理ではないかと重視している思考法です。

ChatGPTにポジショニングを解説させたら、以下のような定義が出てきました。一部抜粋してご紹介しますね。

市場や顧客の中で自社や自社の製品やサービスが占めるべき独自の位置やイメージを確立することです。ポジショニングは、競合他社との差別化を図り、顧客に対して独自の価値を提供することを目指します。

理屈は知っていても、意外に実践できていないケースをクライアントでよく目にします。今日は、今さら聞けないレベルのポジショニングの実態を改めて共有したいと思います。

1.ポジショニングの成功事例


まずは、個人的に大好きなある事例を聞いてください。

これから暑いシーズンが始まりますが、必需品になるのが虫よけスプレーです。この虫よけスプレー市場は見事なポジショニングによって、かつて大逆転劇が起きた市場だったのです。

ある時期は、ジョンソンの「スキンガード」が売り上げシェア、認知率ともに圧倒的にNo.1でした。

「虫よけスプレー=スキンガード」といったイメージのポジションも揺るぎがなく、”とにかくよく効く”という触れ込みのチャンピオン商品でした。

ライバル企業はスキンガードよりも”もっと効く”効能勝負を仕掛けていたのですが、データでは上回るも顧客のイメージを覆すことができない時代が長く続きました。

そこで、アース製薬が「サラテクト」という商品を出しました。

虫よけスプレーの購買層は小さな子供を持つ若手の主婦層です。子供がキャンプやBBQに行く際に振りかけるというのです。

ということは虫よけ効果が強いことも大事だけど、子どもの肌の安全も考え”肌に優しい”という価値も大事だよね!ということで、「スキンガード=よく効く」に対抗して「サラテクト=肌に優しい」というポジションをとったのです。

スキンガードのような濁音がある強いネーミングではなく、サラッとした感じのサラテクトという絶妙なネーミング。

暖色系のデザインでいかにも効きそうなトーンのデザインよりも、化粧品に近いイメージで女性好みに近いブルー系のデザインにし、見た目まで一貫性を持たせる取り組み。

結果としてオセロゲームのように、シェアが逆転したというのです。

慌てたジョンソンはスキンガードをサラテクトのように、優しいイメージで売る戦略に切り替えたものの、逆にスキンガードの強みやイメージが薄れてしまい、ますますサラテクトの売り上げが伸びていったというお話です。(本日現在のシェアや売り上げは不明ですが)

どのような機軸を打ち出すかで、独自の居場所を確立できるという好例ではないでしょうか?

2.ポジショニングによって活路を拓く


実は僕自身がポジショニングによって活路を拓いた人間の1人なのです。

今とは別の事業で起業後に、ご縁があってコンサルタント業を始め出した26歳前後。

僕はコンサル会社出身でもないし、MBAもない。経歴、スキル、実績、人脈の何も無い無いづくしで始めてしまったので、そりゃぁ受注など簡単にできないわけです。

めげずに営業活動を続けていたら、ポツポツとクライアントからコンペのエントリーの依頼を受けるようになりました。

ところが、競合はいつも●●総研、〇〇コンサルのような大手の有名コンサル会社でした。

何も持ち合わせていない当時の僕は、勢いと気迫、少しばかりのプレゼン力と、敢えて挙げるなら対応のスピードくらいしか勝負所を持ち合わせていません。

そこで、一休さんのように目をつぶって思考を整理してみました。

当時の心の声をお聞きください。

「全ての”軸”で、競争力がないといっても必ず盲点があるはず」「スピードだけではさすがに受注できないし・・・」

「そうだ!確か顧客の担当者が競合に対して何かつぶやいていたなぁ。」

”大手さんは素晴らしい提案書を持ってくるのですが、言っていることが難しくて・・・仮に素晴らしい提案内容であっても、うちの社員では実行が難しくて不安なんだよな”と。

「であれば、戦略のすばらしさはもとより、”簡単に理解できること”、”実行しやすいこと”を軸に打ち出してみてはどうだろう?」

そこで、僕は考えました。

難しい ⇔ 簡単
理論的 ⇔ 実践的

こんな対立軸はつくれないかな?

競合のコンサル会社は、みな「バカと思われたくなく、知的ブランドで高く見せる」ため、「簡単軸」には触れないと確信したのです。

そこで、メモに書きながら整理を試みます。

ここでは複雑な状況を割愛して、相当、単純化して整理しています。で、実際のプレゼン時は、ここにいくつかの軸をトーク内に挟み込んでいきました。

「新規事業のコンサルがテーマの場合、経験や年齢を重ねた分の実績も大事ですが、逆にそこにとらわれる危険性もあるのでは?」

(つまり、若い方がテーマによっては固定観念がない分良いという年齢軸

「当社は上から目線ではなく、横から目線で実践の伴走をするコーチのようなスタンスで取り組みます。」

(つまり、理論の押し付けではなく顧客の良さを引き出すというスタンス軸

※ちなみに20年近く前はコーチングが普及していない時代のため新鮮だった様子。コンサルタントは職業的にも、”コンサル会社=上から目線”という構図で世間からはあまり良い印象を持たれていないこともしばしば。。。

「ちなみに、アドバイザーをお願いするとしたら、マッキンゼーの権化である大前研一さん(難しい)と池上彰さん(簡単)のどちらを選びますか?当社は池上彰さんポジションです!」

(つまり、固有名詞を出してのキャラクター軸

※ちなみに20年近く前は池上彰さんが脚光を浴び人気が出始めた時期なので、顧客のイメージにはすぐにフィットした。

このように、自分の持ち味、競合の弱点、顧客の本音、トレンドなどすべてを加味して提案書にもプレゼンにも自分のポジションを整理していったのです。

はたして、結果は・・・

驚きましたね~、受注だし!

コンペで大手に勝ったことがなかったので驚きでしたね。

これが、独自の価値を発揮できる場所を思考の整理によって作り出した成功体験となり、やっとコンペの場面でも道が拓けたということです。

もちろん、自分の軸を考え、整理しただけで受注できたという単純なものではありませんよ。

タイミングや関係性ほか変数はたくさんあり、それをすべてクリアできたからこそです。

ただ、一つ言えることは、世の中にある数多くのメソッドをあれこれ使い勝手で迷うくらいなら、「顧客が価値を感じ、認知してくれ、競合が手薄な”スペース”」を整理しながら考えること。

ポジショニング1つで活路が拓けるということです。

あなたも、知っているつもりで終わっているかもしれないので、改めてポジショニングで思考を整理することもやってみてくださいね。

特に競争が激しい分野では有効ですよ。

おしまい。

さて、今回の内容は
いかがだったでしょうか?

少しでもお役に立てば幸いです。

それでは、また会いましょう!

著者・思考の整理家® 鈴木 進介

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