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アントレプレナーシップとまちづくり

私はまちづくりジェネラリストとして活動しております。高校一年時にまちづくりに興味を持ち、大学では政治学・行政学を修め、公務員として小平市役所と東京都庁で働きました。東京2020組織委員会で選手村の運営も担当しました。その中でたくさんの住民・学生・企業と新しい事業を共に行ってきました。そして、自分自身が2022年に起業し、2024年に法人成りした中で、多くの起業家と出会ってきました。

今回、「起業」について想いをつづりたいと思います。起業家の一人一人が私の尊敬の対象であり社会の大きな可能性です。
これを書いている本日も、10代・20代の起業家の皆さんと交流し、たくさんの学びをいただきました。

私は確信しています。起業こそが社会をまちを変革させると。
それは、高校一年生からなりたかった公務員を辞めた理由でもあります。

今の社会において、アントレプレナーシップ(起業家精神)は、経済成長や社会変革の重要な要素として注目されています。年々、勢いが増していることを皆さんも肌で感じていることでしょう。
一方で、まちづくりの目的は、地域社会のサステナブルな未来とウェルビーイングな暮らしの創造です。
この二つの概念の交差点には、どのような可能性が広がっているのでしょうか?

アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは、新しいビジネスやプロジェクトを立ち上げるための創造的な思考や行動を指します。アントレプレナー=起業家は、リスクを取りながらも新しい価値を創造し、事業を通じて社会に貢献することを目指します。その核心には、創造力イノベーションがあります。
起業家は、既存の価値観や偏見に捉われず、新しいアイデアやソリューションを生み出し、それを実現するための方法を何としても見つけ出します。革新的な解決策が必要な理由は、既存の視点や価値観では問題解決できていない現状があるからです。ですので起業家たちは常に社会や地域を「新しい視点」で捉えていると思います。

また、起業家は、リスクを取ることを恐れない強い気持ちがあります。「何としても解決したい!」という想いです。
新しい事業を立ち上げる際には、成功の保証がない中で資金や時間など多くのリソースを投資する必要があります。このリスクを受け入れるからこそ、「トライ&エラー」や「ピボット」という言葉がよく使われるように、失敗から学び続ける姿勢が重要なのだと思います。

アントレプレナーシップには、当然にしてプロアクティブな姿勢が不可欠です。主体性です。
その反対に、組織の中でいくら仕事ができると評価されていても基本的にはリアクティブな姿勢受動的な人もいます。主体性ではなく自主性が評価される組織も多いです。いうまでもなく、そういった人や組織では問題解決に真に取り組んでいくのは難しいはずです。

起業家は、自らのビジョンを追求し、他者の指示を待たずに行動します。自分のアイデアを実現するために必要なリソースを見つけ出し、積極的に活用します。私はアントレプレナーシップをとても美しいものと思います。

では、このアントレプレナーシップは特別なものなのでしょうか?
特別な人しか持ち得ないものなのでしょうか?

私はこれまでに数々の市民団体を支援してきました。44の団体を立ち上げてきました。数えきれないほどの協働事業をゼロから立ち上げてきました。そのすべての人にアントレプレナーシップが宿っていたと確かに思います。

いつの時代も、どんなテーマも、アントレプレナーシップがまちの変革を生み出すのです。

誰でもアントレプレナーシップを潜在的に持っているはずだと思います。

まちづくりで欠かせない要素の欠落

まちづくりは、地域社会の発展と住民の生活の質向上を目指す取組の集積結果です。地域の特性や住民のニーズに応じた多様なアプローチが求められます。

サステナビリティは、「環境」「社会」「経済」の3つの視点で調和を生み出す考え方です。まちづくりはサステナブルな未来を模索するものであるにも関わらず、従来、「環境」「社会」の視点ばかりで考えることが多く、本当の意味で深く「経済」を考えてなかったことを反省しなければなりません。もっともっと「経済」のことを真剣にまち全体で考えていく必要があります。

アントレプレナーシップ溢れるまちづくりには、多くの可能性が広がっています。私はたくさんの起業家と交流した中で思うのは、「どのアイデアもすべて実現した社会が圧倒的に望ましい」という素晴らしさです。
元公務員として、まちづくりの専門職としてふりかえって思うのでは、起業家やアントレプレナーシップを持つ住民を真に応援できるまちこそが魅力的になるという関係性です。逆に言えば、一部の自治体を除き、まだまだ起業支援施策は全国的に十分ではありません。

アントレプレナーシップの効果

アントレプレナーシップは、地域社会に多くの効果をもたらします。まず、地域経済の活性化が挙げられます。最も目につきやすく分かりやすい例は飲食店業と小売業です。新しいビジネスが立ち上がることで、雇用が創出され、まちの動きが増え、地域の経済が活性化します。
起業家の掲げるビジョンは世界の在り方です。平たく言えば「あんなこといいな、できたらいいな」の精神です。
「世の中の人の訳に立ちたい」と考えたサービスが地域住民の生活の質向上や社会の発展に貢献するものです。

規模も分野も関係なく、アントレプレナーシップ溢れる人々がまちの文化をアップデートしていくことが最大のアウトカムだと思います。以前訪れた「アメリカで最も住みたい街」ポートランドではアントレプレナーシップとサステナビリティが、まちの文化を作っているのを物凄く感じました。だからこそ、その文化に惹かれて新たな人を呼び込んでいます。

アントレプレナーシップとまちづくりは、地域社会の発展において重要な役割を果たします。起業家精神を持った人々が地域の課題に取り組み、新しい価値を創造することで、地域経済の活性化や住民の生活の質向上が期待されます。そういう好循環の渦になるとかんごえま

また、イントレプレナーシップ(Intrapreneurship)という言葉もあります。組織内で新しい事業やプロジェクトを立ち上げるための創造的な思考や行動を指します。
私はかつてイントレプレナーでした。イントレプレナー(Intrapreneur)は、社内起業家とも呼ばれ、企業のリソースを活用しながら新しいビジネスを推進する役割を担います。「アントレプレナーシップを持ち、組織の内側から動かす人」と私は捉えていますが、まちづくりの業界の中では、まだまだその人数が圧倒的に足りません。
私は仕事柄たくさんの職員さんや住民の皆さんとお会いしますが、その全ての人にアントレプレナーシップは宿っていると信じ、芽生える支援をしていきたいです。

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