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心が灯る やさしい日本語の世界 ~多様性×アイデアで共創デザイン~

「国際交流してみたい!」

こう思って、本noteを開いてくださった皆さん、間違いないです!
(あとで理由をご説明いたします。)
ぜひ、すぐにチャレンジしていただければ幸いです。

「まちづくりに関心があって・・・」

という方も、ぜひ、本noteをお読みいただければ、あなたのまちづくり活動はもっともっとパワーアップすることと思います。

なお、本noteは「日本語ネイティブな方」を対象として書きました。
お読みいただくことで、この3つの知識を得ることができます!
➊ やさしい日本語の基本情報
➋ 最も効率的な多言語対応の方法
➌ やさしい日本語を使った活動アイデア


国際交流の難しさ

「外国の方と仲良くしてみたい!」
→「言葉が通じず、対話が難しかった・・・」

「じゃあ、多言語音声翻訳で話してみよう!」
→「誤訳ばかりで、やりとりが難しかった・・・」

このような経験をされた方も多いのではないでしょうか?

また、日本社会には分断的な排外意識問題が一部で残っています。

こんなこと言っている人はまわりにいませんか?
日本語は世界的にも特に習得が難しい言語とされています。日本の習慣やルールをただ知らないだけの可能性も高いです。それでも頑張って覚えたり慣れようとしている外国人の方をもっとサポートしてあげたいですよね。

偏見(ステレオタイプバイアス)もあります。

悪気があるわけではないですが、外国人=英語話者ではないです。
例えば、欧米にて「中国語なら通じる」と勘違いされても対応できないですよね? あとで紹介しますが、日本で暮らす「外国にルーツのある方」が最も分かりやすい言語は、実は、英語ではありません。

それから、第三者返答という対応の問題もあります。

第三者返答は、コミュニケーションをとるべき相手方に失礼な行為だと思います。おそらく、「外国人だから通じないかも」という勝手な思い込みが潜在的にあるからかもしれません。


さて、私からの提案はこうです。
やさしい日本語の世界観を学んでみませんか?

やさしい日本語と私の活動経歴(自己紹介)

私はサステナブルなまちづくりの専門家です。これまでに約3000コマのワークショップ等のイベント、40団体以上の立上げを行ってきました。

当然にして、まちをサステナブルに育むために多様性は欠かせません。

私が「やさしい日本語」を推進しているのは、2つの理由からです。
➊まちづくりに多様な主体が公平に関われるため
➋多様なアイデアを活かし合ってより良いまちづくりにつなげるため

2015年、私は小平市職員として、東京都オリンピック・パラリンピック準備局に派遣となり、東京2020大会に向けた「多言語対応協議会」の担当となりました。協議会といっても事務局は各職級1人ずつです。
担当となった週末、図書館司書にレファレンスを依頼し、私が最初に手に取った本が、河原敏昭教授の『自治体の言語サービス―多言語社会への扉をひらく』でした。
そこで、多言語対応の基本が「やさしい日本語」であることを知りました。

しかし、2015年当時は、ロボット翻訳などの最新のICTがメディアの注目を集めていました。そのため、私の「やさしい日本語」の提案はなかなか通りませんでした。
私は「東京2020大会のレガシーとして、やさしい日本語と多言語音声翻訳(VoiceTraなど)を普及したい!」と考え、根拠や実例を集めたり、やさしい日本語の有識者にヒアリングするなど、たくさんの努力をしました。結果、翌2016年度に正式に事業化することができました。
今も私が立ち上げたHP記事が残っていて、多くの方に活用され続けています。

そして、決定的だったのが、2016年の多言語対応・ICT化推進フォーラムでの「やさしい日本語パネルディスカッション」でした。
やさしい日本語の生みの親である弘前大学の佐藤和之名誉教授、平時における情報提供の手段として研究を進める一橋大学の庵功雄教授、多文化共生の長い歴史を持つ横浜市、観光のツールとして活用を開拓したやさしい日本語ツーリズム研究会の吉開章さん、コーディネーターに日本語教育を専門とする首都大学東京の西郡仁朗教授が集いました。
やさしい日本語の歴史の中で、二度とない一番のメモリアルデーとして語り継がれています。オリ・パラを控えたこの時代に、初めて集う意味があったのです。

これを機として、やさしい日本語の普及は加速度的に全国に広がりました。
講演資料は、↓のリンク先>第5回(平成28年12月20日開催)多言語対応・ICT化推進フォーラム同時開催>パネルディスカッションにあります。https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/multilingual/council/index.html#m05

その後、小平市役所に戻り、東京2020大会に向けた事業として、やさしい日本語と多言語音声翻訳を掛け合わす全国初の取組を行い、その効果を実証しました。その案は、リオ2016パラリンピック開催時、ジャパンハウスにて約400人のブラジル人(ポルトガル語)と積極的にコミュニケーションをとったとき、確信的に着想を得たものです。

チラシ表面
チラシ裏面

↓ 私のFirst noteにもこのことが書かれています。ご参考まで。

この講座は、内閣官房と文化庁が主催する東京2020オリンピック・パラリンピックの文化プログラム「beyond2020」において、約10000件の中から優秀事例として紹介をいただきました。(中でも基礎自治体は3件のみでした。)

その後、総務省・厚生労働省主催の「デジタル活用共生社会実現会議」に招かれ、事例発表をしました。その結果、「デジタル活用共生社会の実現に向けて~デジタル活用共生社会実現会議報告~」が取りまとめられ公表となりました。

その報告書には、私の「やさしい日本語×多言語音声翻訳」の発表を受け、第8章に計画が記されました。

「やさしい日本語×多言語音声翻訳」の国策化です。
ポイントは3つあります。
やさしい日本語が、国の計画に初めて取り入れられました!
❷やさしい日本語が、外国人のみならず、知的・発達障害、聴覚障害などの障害を抱える人や高齢者に対しても有効なコミュニケーション手法と記載していただきました!
❸やさしい日本語の多言語音声翻訳との親和性を認めてもらいました!

そのきっかけとなれたことは幸いです。

そして、2020年、多言語対応推進フォーラムにおいて、「やさしい日本語」と「多言語音声翻訳」が東京2020大会のレガシーであることを宣言しました。

・・・という概略をお伝えさせていただきましたが、やさしい日本語の普及ブームの陰の立役者?の一人として尽力しておりました。
ですので、伝えたいことは「ご安心して、このnoteをお読みください」というメッセージです。

実際に、約十年経った今でも、各地でやさしい日本語と多言語音声翻訳の研修やワークショップ等を行っています。
最近では、日本郵政初のやさしい日本語研修と研修動画撮影のご依頼をいただいたり、富士山登山者である訪日ゲストの対応のための研修を行ったことなどもたくさんの注目をいただきました。

静岡新聞(2022年11月1日)より引用 https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1144166.html

やさしい日本語の普及

「やさしい日本語を専門的に身につけたい」という講師活動を希望の方、「やさしい日本語の研修を行いたい」という研修担当の方などは、ぜひ、やさしい日本語の普及啓発の第一人者である吉開章さんの法人を頼っていただけるとよろしいかと思います。全国各地にやさしい日本語を教えることのできる素晴らしい講師陣を抱えています。

吉開さんは、それまで在住外国人向けであったやさしい日本語に、訪日外国人をおもてなしできる可能性を発見・実証したプロデューサーです。
やさしい日本語業界にゲームチェンジを起こした立役者で、その著書も大変多くの方に評価されています。

私が東京都庁にて多言語対応協議会を担当していた時に知り合い、以後、様々な場面でご一緒してきた深い関係です。
(この後、詳細をご説明する「やさしい日本語×多言語AI翻訳」も吉開さんのご協力を得て一緒に進めました。)

また、入門書としては、こちら↓をオススメいたします。ぜひ、お手元に置いてください。

↑ やさしい日本語、定番の入門書がリニューアル!2020年7月に刊行した初版の内容を更新し、新たに2章(第10章・第11章)が増補されています。
ありがたいことに、私も登場させていただいているページがあります。(見つけることができたら、ぜひ「見たよー」って教えてください😆)

やさしい日本語×多言語AI翻訳

(1)そもそも、在住外国人のためだけじゃない

「やさしい日本語=在住外国人のため」というのは2015年までの話です。
やさしい日本語を訪日外国人のために使える有効性から説明していきます。
それは2つの理由があります。
❶世界には、日本語学習者が約400万人にいます。彼らが訪日したときには、日本語での会話を楽しみたいニーズが圧倒的に高いからです。
※詳細は、国際交流基金(JF)が3年おきに実施している「海外日本語教育機関調査」をご覧ください。
❷NICT(情報通信研究機構)のVoiceTraをはじめとする多言語AI翻訳のICTツールは、やさしい日本語との親和性が、事実、非常に高いです。そのため、やさしい日本語を使うことで、外国語に適切に翻訳される確率が圧倒的に高まるからです。

(2)地域の共通言語という認識にアップデート

さらには、やさしい日本語は地域のユニバーサルデザインな言語=地域の共通言語として認識が高まっています。
例えば、認知機能の衰えてきた高齢者とお話する時、あなたはどのように話していますか?
例えば、まだ多くの語彙を知らない小さな子どもとお話する時、あなたはどのように話していますか?
例えば、知的障がいや発達障がいのある方とお話する時は?
例えば、耳の聞こえない方とお話するときは?

そういった方々と日本語ネイティブの間にあるのが、やさしい日本語です。「そうか、やさしい日本語って、今まで自然にやってきたことの延長上にあるのか!」と、様々な方々との自然なコミュニケーションを思い返していただければ幸いです。

やさしい日本語の最も大切な基準は「わかりやすさ」です。つまり、相手にとって「伝わるかどうか」です。
様々な言語や話し方の中で、やさしい日本語ほど相手に理解されやすいものはありません。

(3)やさしい日本語とは

「分かりやすさ」という観点で
❶ 言葉の選択
❷ シンプルな文法
❸ 話し方・書き方の工夫 など
相手への配慮をした日本語のこと
をいいます。

やさしい日本語に正解はなく、よりベターな方法を選んだり、相手方によっても違いますが、以下に代表的な例文を示します。

例文
高台に避難してください。
→高い ところに 逃げてください。

お召し上がりになりますか?
→食べますか?

定刻10分前頃に集合して下さい。
→9時50分に 来てください。

土足厳禁です。
→くつを ぬいでください。

キャンセルしますか?
→やめますか?

お買い得です。
→いつもより 安いです。

駐車場以外は駐車禁止です。
→車を 止めるところが あります。そこに 車を 止めてください。

通れないことは ない。
→通ることが できます。

(4)やさしい日本語の詳細ルール

全国の自治体や国際交流協会などがWEBで公開しているガイドがたくさんあります。その中でも、分かりやすい代表の一つが静岡県です。↓の画像をクリックすると、静岡県庁のHPが確認できます。
※本noteでは詳細ルールを省略いたします。

↑クリックしてホームページよりご確認ください。

その他、世の中にたくさんガイドも公表されているので、ぜひ読んでみてください。

(5)多言語AI翻訳はやさしい日本語でスムーズに

日本語でコミュニケーションがとれない外国人の方々には、いくら日本語をやさしくしても通じません。
そこで紹介したいのですが、やさしい日本語には「はさみの法則」という口頭コミュニケーションのコツがあります。東京外国語大学の荒川教授が提唱されました。
やさしい日本語の様々なルールを覚えきらずとも、この「はさみの法則」さえ実践できれば、あなたの日本語は、格段に通じやすくなります。

頭の文字をとって「はさみの法則」といいます。
また、はさみのようにチョキチョキ一文を切るというイメージも伴っています。

多言語AI翻訳が誤訳する理由は、ほとんどの場合、発話や入力に原因があります。やさしい日本語を知る前、普通の人は、敬語を使わず、短く区切ることを意識するのは簡単ではありません。ぜひ、「はさみの法則」を使って、多言語AI翻訳を試してみてください。きっと、翻訳がうまく行くことと思います。

やさしい日本語で多様性×アイデア

今回、「やさしい日本語で何ができるのか」ということを実は本題として書きたかったのですが、前置きが長くなりました。

私は、「やさしい日本語を使ってどのような問題解決に臨むのか」「どのような課題に取り組むのか」という視点で普及啓発を行っています。
これまでにたくさんのイベントをプロデュースし、たくさんのワークショップを行い、たくさんの団体をつくってきた経験。
高校一年生から培ってきたまちづくりの知見。
それらを背景として、私はやさしい日本語の活用を推進するところに、独自の強みを持っています。

事例➊ふじみ野市主催「やさしい日本語でまちさんぽ講座」

ふじみ野市では、訪日ゲスト向けに観光案内を行うため、「まちさんぽ」というスタイルにて在住外国人の協力を得ながら練習を積みました。在住外国人の方々の日本語能力は様々です。ほとんど分からない方もいれば、得意な方もいます。
私はやさしい日本語のワークショップを行う時、Japanese FriendsとWorld Friendsという呼び方をします。
実際に、講座内でさんぽの練習を行った動画です。

World Friendsには、分からなかったことやアドバイスなどを率直に言ってもらいます。ですので、事前の話し合いとまちさんぽ後のふりかえり大切にして、どんどんスキルアップを目指しました。
実際の場面でやさしい日本語を使うことは難しいですが、お互いに楽しみ合ったり、学び合える関係で経験を積めば、より生きたやさしい日本語を習得することができます。

講座終了後、市役所と市民が協働する形で、「ふじみ野やさしい日本語まちさんぽツアー」を定期的に開催しています。

ふじみ野やさしい日本語まちさんぽツアーのご案内(例)

事例➋港区主催「赤坂・青山Meet Up Project」

港区の赤坂・青山地域には、多くの在住外国人の方が暮らしていますが、なかなか日本人住民との接点がない状況でした。
そこで、同じ住民としてまちのことを学んだり考えたりすることで、もっとこのまちが好きになる取組として、「やさしい日本語」を活用しました。
3日間の短期講座でしたが、1日目にやさしい日本語を身につけ、2日目にやさしい日本語でまちを案内するイベントを行い、3日目にプレゼン発表を行いました。

などなど、やさしい日本語に取り組み始めて9年。ようやく私がやりたかった「やさしい日本語の活用をして〇〇を行いたい」という地域のニーズが出てきました。
もっといくらでもアクティブな思いに応えていきたいのが私のスタンスです。

やさしい日本語で多様性×アイデア=共創デザインのご依頼について

ここまでお読みいただきありがとうございます。
あなたの自治体や企業など、世界の多様性をもっと活かし合うことで更なるアップデートをしてみませんか? 新たな取組を生み出してみませんか?

「とにかく、何かアクティブなことがしたい!」
「国際大会に向けて、ボランティア研修を開きたい!」
「市役所や市民で協働して広げたい!」
「在住外国人との交流会を開きたい!」
「訪日ゲスト対応をしたい!」
「多様性あふれるイベントを作りたい!」
「やさしい日本語の公共交通に取り組みたい!」
「やさしい日本語商店街をつくりたい!」
「やさしい日本語温泉街としてプロモーションしたい!」
「不動産屋さんとしてやさしい日本語を使いたい!」
「飲食店の接客マナーとしてやさしい日本語を学びたい!」
「観光地の小売事業者全体でやさしい日本語おもてなし活動したい!」
「留学生や実習生と一緒にまちづくりしたい!」
「プロスポーツチームとしてやさしい日本語に取り組みたい!」
「外国人人財の多い企業として、地域につながり社会貢献したい!」
「在住外国人とともに多文化共生プランをつくりたい!」


などなど、まちづくり関係であればおよそ何でも応えることができます。こちらから貴団体の問題・課題等をヒアリングして、最適なご提案をお示しすることもできます。

私はサステナブルなまちづくりの専門家です。あらゆる分野・手法に精通しています。ぜひ、弊社HPよりお問い合わせください。

読んでいただき、ありがとうございました。

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