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1.小説「My Cool HEROES」 プロローグ(修正ver.3 2024/1/6)
◾️プロローグ
人間たちが住むこの世界で「あって当たり前だけど、なかったら困るもの」を想像してみるとしたら、皆さんはどんなものを思い浮かべるだろうか?
空を見上げればそこには、人間をいつでもやさしく、強く、暖かく照らしてくれる「太陽」や、この星に目を向けて見てみると、そこにはあらゆる生命の源である母なる「海」、また、豊穣な実りを届けてくれる緑豊かな「大地」など、思い当たるものは、きっと、ま
30. 小説MCH - フレア「スリースターズ参上」(修正ver.3 2024/4/20)
——— ザッ、ザッ、ザッ
その時頭上から、几帳面にそろった足並みで、小気味のいいリズムを刻んだ3つの足音が、フレアを崖下に見下ろすように上から目線で響いてきた。
「ワカード参上!」
「チャゲッツ参上!」
「メア参上!」
「3人そろって、スリースターズ!」
真ん中のワカードが素早く両足を開き、両手を重ねて頭上に高く掲げると、左にチャゲッツ、右にメアは、外に向かって片膝立ちに、前なら
29. 小説MCH - フレア「ラルフの大穴」(修正ver.2 2024/4/19)
炎の村には、村の真ん中に、ま〜るい大きな広場がある。毎週末に子供たちが集まって、村長の紙芝居を聞いたりするあの広場だ。
この村は、その広場を中心に広がっていて、大人が三人も集まり両手を広げたら、簡単に指先が触れ合う程度の、少し手ぜまなメイン通りが、その広場から何本か、放射状にまっすぐと村の外れまで伸びていた。
広場から道沿いに、そのまままっすぐ西の外れまで歩いて来ると、その先には見渡す限
28. 小説MCH - アクア「秘密の封印」
リアナとアクアの目の前には、2人が上がってきた大穴が、ちょうど外の水面(みなも)のように大きな口を開いている。
この隠れ家のあかりは、そこに集まる色とりどりの魚たちを照らし出し、相変わらず楽しく舞い踊っているのがよく見える。海巻貝もまるで一緒になって遊んでいるようだ。
——— やっぱりこのコたちの居場所、ちゃんと守ってあげたいな...
アクアはふとリアナを振り向くと、どうやらリアナも
27. 小説MCH - アクア「2人のチョーカー」
「それはそうと、アクア。こないだ来てた "炎のおじさん" と、あの後、どんな話をしていたの?」
「あ〜、そうそう。なんだかあのおじさん、すっごくおかしなことを言ってたんだよね...。
——— 次やる時は、メガネを外してみたらいいかもしれないぞ
...だってさ。
でもさっきもだけど、メガネを外したら、目の前のお姉ちゃんだってボヤボヤしちゃうのにさ。なんだか変だよねw」
アクアは笑い
26. 小説MCH - アクア「ヒカリの隠れ家」(修正2024/3/17 rev.2)
(本当にあったねっ...!)
洞窟の入り口に向かいながら、リアナは隣りを泳ぐアクアを振り向くと、
(うん!!)
意図を察したアクアは大きくうなづいた。アクアは、リアナが喜ぶ姿を思い浮かべると、とても幸せな気持ちでいっぱいになる。
——— お姉ちゃんがやりたいことなら、いつでも叶えてあげたいな
いつもお姉ちゃん想いの幼い妹は、この日も自分ができる精一杯を尽くして、なんとも健気な
25. 小説MCH - アクア「泉の中」
あたりは静寂に包まれていた。2人が水の中をかき分けていく音以外は何も聞こえない。
その代わり、さっきはたまたま水辺近くに遊びにきていた海巻貝が、この辺りにくるとだいぶ数も目立ち、見た目はだいぶ賑やかに感じられた。
——— それにしても、中は結構明るいんだなぁ
遠くに小さく見える泉の入り口を振り返り、見上げたアクアの視界には、そこから差し込む光のヴェールが、とてもキラキラと輝いて見えた
24. 小説MCH - アクア「リアナ&アクアの大冒険」(修正版rev.2 2024/3/22)
「それにしてもお姉ちゃん。どうして、こんな森深くの泉に海巻貝がいるんだろ...? このコたちは海にしかいないはずなのに...」
「それはね、アクア。この泉はきっとあの "セノーテ" なのよ」
「...セノーテ?」
「そう。セノーテは "聖なる泉" っていう意味でさ、古くから村に伝わる水中洞窟のことよ。普通のセノーテは、地中の空洞に地下水がたまってできるらしいけど、この泉はきっと、中で海までつ
23. 小説MCH - アクア「リアナお姉ちゃん」(修正ver.5 2024/4/6)
「アクア〜!こっちよ〜!ほら、早く〜〜!」
遠くの方に小さくなった人影が、大きな声の響きをのせて、元気に手招きしている姿がボンヤリ見える。
「リアナお姉ちゃん、待ってよ〜」
アクアは小さく顔をあげて、一旦、足を止めると、また自分を呼ぶその声に向かって歩みを進めた。
隣を静かに流れる清流の水面は、樹々の隙間から覗く空の光を受けて、キラキラと輝いている。
平坦ではあれど、舗装もされて
22. 小説MCH - フレアと母「母の幸せな一時」(修正ver.4 2024/3/29)
「驚くのはまだ早いでしょ〜w」
アティカはニッコリ笑ってフレアをツッコむと、またすぐに少し真顔で話を続けていく。
「ねぇフレア。裏山の洞窟深くに、暗闇の中だけで生活している大きな闇グマ(ヤミグマ)がいるって聞いたことがあるでしょ?」
「うん。村長さんが、危ないから絶対に近づいちゃダメだって。でも、洞窟の中に入らなければ、あいつらは外には出てこないから大丈夫だ、って言ってたよ」
「そうな
21. 小説MCH - フレアと母「なんてこったなお空の話」修正ver.3 2024/3/18
「それじゃあ今日は、この "お空" の村伝説、はじまり、はじまり〜」
アティカがそう言うと、フレアは目の前の青空を仰ぎ見た。
「え?おそら?」
「そう、このお空の話。
この世界はさぁ、ずっとどこまでも、こうして明るいお空が続いているでしょう?」
「うん。今見ている通りでしょ〜w」
フレアは笑いながらうなづくと、そのまま言葉を続けた。
「村長さんも紙しばいで、1番最初にこう言ってるよ
20. 小説MCH - フレアと母「村伝説」(修正版vol.5 2024/3/18)
「それじゃあ今日は、今までまだ話したことがないお話をしてあげようかな」
「やった~!今日は一体、どんな "村伝説" なのぉ?早く聞かせてよ~!」
フレアは、「待ってました!」と言わんばかりに目を大きく輝かせて、アティカを見上げる。
「こ〜らっ。また、 "村伝説" 、なんてからかって呼ぶんじゃないのよぉ。これは、ちゃ〜んとしたお話なんだからね〜」
アティカは、そんなセリフとはウラ腹に、フ
19. 小説MCH - フレアと母「母ちゃんのあのお話」(修正版vol.4 2024/3/12)
「よ~し!はい、できあがり!」
アティカはそんな話をしながらも、しっかり髪を仕上げ終わると、フレアにかけていたクロスを外した。
「やった~!これでまたキレイさっぱり!!父ちゃんが帰ってきても、次はバカにされたりしないもんね〜」
もう見えるはずもないラルフに向かって、フレアはニッコリ笑顔で大きくうなづく。今日も明るい青空の下で、遠い地平線までとても見晴らしがよい。
「それにしても...さ
18. 小説MCH - フレアと母「ゼェダと火消しの女隊長」(修正版vol.4 2024/3/12)
「あ、そうだ!」
「こ〜らっ!振り返っちゃダメよ」
髪を切られながら、後ろを振り返ろうとしたフレアを、アティカがさえぎる。
「そういえば母ちゃん。こないだゼェダがさ、村の火消し隊に入りたいって言ってたよ」
今度は、顔はしっかり前を向きながら、目だけで後ろを見上げるように、フレアはアティカに話を続けた。
「あら、ゼェダくんが?本当に?」
アティカは手を休めることなく、フレアとの会話
17. 小説MCH - フレアと母「Knoah: (ノア:)」(修正版 vol.3 2024/3/5)
「それはそうと、フレア。あなたのそのボサボサ頭は、一体誰に似たのかしらねぇ…」
ふと目についた息子の頭を、アティカは笑いながら眺めている。たしかにアティカを見てみると、肩までキレイにそろった髪の毛が、サラサラと風になびいていた。
「え〜、母ちゃんだって小さい頃はおんなじだったんでしょ?みんなそうだし、これが普通のはずたよ〜」
「あら、そうだったかしらねぇ...?」
すこし口を尖らせるフ
16. 小説MCH - フレアと母「ただいまー!」(修正vol.5 2024/3/5)
「ただいま〜!」
その時、手を振りながら、いつもの聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あ、母ちゃん!お帰り!」
「フレア、今日もしっかりお留守番してた?」
「うん!もちろん!」
フレアはいつもの満面の笑顔である。
「あ、あのね!ちょうどさっきね、父ちゃんが帰ってきてたんだよ」
「あら、ラルフ帰ってたの?」
アティカはラルフを探しに家の中を覗き込む。
「...で、たった今、またど