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24. 小説MCH - アクア「リアナ&アクアの大冒険」(修正版rev.2 2024/3/22)

「それにしてもお姉ちゃん。どうして、こんな森深くの泉に海巻貝がいるんだろ...? このコたちは海にしかいないはずなのに...」

「それはね、アクア。この泉はきっとあの "セノーテ" なのよ」

「...セノーテ?」

「そう。セノーテは "聖なる泉" っていう意味でさ、古くから村に伝わる水中洞窟のことよ。普通のセノーテは、地中の空洞に地下水がたまってできるらしいけど、この泉はきっと、中で海までつながっているんだわ」

 ——— ...っていうことはもしかして

「...あ!しょっぱぁ~い...!」

 手元にすくった泉の水を味見してみたアクアは、その塩辛さに瞬間的に顔をしかめた。

「あははははっ。それさっき、私もちょうど試してみたところ」

 リアナはお腹を抱えて笑っている。

「え〜、それならそうと早く言ってくれたらいいのに〜!お姉ちゃんの意地悪~」

「だってさ、私だけしょっぱい思いをしたなんて、なんだかちょっとシャクだったんだもんっ」

「まったく、お姉ちゃんたら~...!」

 ぷぅっと膨らませたほっぺたに反して、アクアの目はすでにもう、リアナにつられて笑みを浮かべ始めている。

「もう、そんなことよりお姉ちゃん。ここから先に行くって、一体どこに行くっていうのよ~?」

「それはだからね。もちろん、こ、の、な、か、よっ♪」

 リアナはゆっくりとした口調にあわせて、目の前の泉の中を指差した。

「え~っ!この中!?」

「そう。だってこの泉の中は、きっとどこかで海までつながっているはずでしょ?だったらさ、それをこの私たちで見つけられたらさ、それってすごいことだと思わない?

 そしてそれがもし、
 "あの幼いリアナ&アクア姉妹が、新セノーテ発見!さらに新たな海へのルートも大開拓っ!"

 …みたいなことになったらさ、それってもう最高のチャンスでしょ?」

 リアナはしゃべりながら、終始、興奮がとまらない。

「きっと、次の "水のヒーロー" になるこの私がさ、今からそんな活躍をしていたとしても、全然早くはないって思うんだよね。ねっ、アクアもそう思うでしょっ?」

「それはもちろん!だって、お姉ちゃんが次の水のヒーローになるのは、もう間違いないもんね。それに、お姉ちゃんと一緒に大冒険ができるだけで、私もすごくうれしいもん♪」

 その時ふいに、メガネの隙間から、ひっそりたたずむ泉の奥底が、アクアの横目に姿を現した。

「あ、お姉ちゃん、あそこ!あそこに洞窟の入り口が見えたよ!」

「えっ?どこ?」

 リアナが、静寂な水面の向こう側に、じっと目を凝らしたその時に、風に揺られたさらなる光が、泉の深くをボンヤリと照らし出す。

「んっ、たしかに...。何かがありそうな気がするね」

「でしょ〜!」

「よ〜しっ!そうとわかればアクア。これはもういよいよ行くっきゃないよねっ」

「うん、お姉ちゃん!」

 リアナはアクアを振り返って両手をつかむと、

「よ〜し!それじゃあいよいよ、リアナ&アクアの大冒険、海のセノーテ編の始まり!」

「せ〜のせ〜でっ!エイ、エイ、オ〜〜ッ!」

 アクアも満面の笑顔でリアナに応えると、二人は声を合わせて、いつもの元気な掛け声を合わせた。

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