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17. 小説MCH - フレアと母「Knoah: (ノア:)」(修正版 vol.3 2024/3/5) 

「それはそうと、フレア。あなたのそのボサボサ頭は、一体誰に似たのかしらねぇ…」

 ふと目についた息子の頭を、アティカは笑いながら眺めている。たしかにアティカを見てみると、肩までキレイにそろった髪の毛が、サラサラと風になびいていた。

「え〜、母ちゃんだって小さい頃はおんなじだったんでしょ?みんなそうだし、これが普通のはずたよ〜」

「あら、そうだったかしらねぇ...?」

 すこし口を尖らせるフレアを、アティカはとぼけた顔で笑って見ている。ラルフに劣らず、どうやらアティカも、我が子をいじって遊ぶのが大好きらしい。なんとも微笑ましい親子である。

「...それにしても、まぁとにかく、そろそろちゃんと切ってあげた方がよさそうね」

 フレアの幼いくせっ毛を、ツンツン摘まみながら、アティカはその切り時を見定めている。

「ホント?やった〜!実はボクもさ、本当はそろそろ髪の毛、切って欲しかったんだよねぇ」

 フレアの顔にはすでに笑顔が戻っていた。

 ——— 本当になんとも愛くるしい我が子だなぁ

 アティカはいつもこの笑顔を見るのが一番の幸せだった。

「よ~し!それじゃあ始めよっか、フレア。こっちに座ってみて」

 アティカは、フレアを庭先の椅子に座らせて、その体にクロスを羽織らせた。

「どうせ切るなら、カッコよく切ってよね!」

「もちろん!任せておいて」

 アティカはニッコリ笑顔を返すと、そのままそっと目を閉じた。それから、頬の近くで逆さピースの印を結ぶと、

「... Knoah: (ノア: )」

 静かに発した呪文に呼応し、印を結んだ指先から、小さな赤い炎がほと走る。
 アティカがさらに意識を集中させると、その赤い炎は少しずつ形を変えて黄色く輝き、カミソリの刃のように、その鋭さを増していった。

「よ~し!それじゃあいくよ!」

 アティカはそう言うと、手慣れた手つきで、フレアの幼な毛を、どんどんキレイに切りそろえていった。

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