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ソーシャルメディアと僕たち。健康リスク行動との関連 (メタ解析)


📖 文献情報 と 抄録和訳

若者のソーシャルメディア利用と健康リスク行動:系統的レビューとメタ分析

📕Purba, Amrit Kaur, et al. "Social media use and health risk behaviours in young people: systematic review and meta-analysis." bmj 383 (2023). https://doi.org/10.1136/bmj-2022-073552
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[背景・目的] 青年期(10~19歳と定義)におけるソーシャルメディアの利用と健康リスク行動との関連を検討すること。

[方法] デザイン:システマティックレビューとメタアナリシス。データソース EMBASE、Medline、APA PsycINFO、SocINDEX、CINAHL、SSRN、SocArXic、PsyArXiv、medRxiv、Google Scholar(1997年1月1日~2022年6月6日)。健康リスク行動は、アルコール、薬物、タバコ、電子ニコチン供給システムの使用、不健康な食事行動、不十分な身体活動、ギャンブル、および反社会的、性的リスク、複数のリスク行動と定義した。組み入れられた研究は、ソーシャルメディア変数(すなわち、利用時間、利用頻度、健康リスク行動コンテンツへの暴露、またはその他のソーシャルメディア活動)と1つ以上の関連するアウトカムを報告した。スクリーニングとバイアスのリスク評価は、2人のレビュアーが独立して行った。効果方向およびランダム効果メタ解析に基づくメタ解析なしの統合が用いられた。効果修飾はメタ回帰と層別化を用いて検討した。エビデンスの確実性はGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluations)を用いて評価した。

[結果] スクリーニングされた17 077件の研究のうち、126件が組み入れられた(メタアナリシスには73件が組み入れられた)。最終的なサンプルは1,431,534人の青年(平均年齢15.0歳)であった。メタアナリシスを含まない統合では、63.6%の研究で有益な関連が報告された不十分な身体活動を除き、ほとんどの研究でソーシャルメディアとすべての健康リスク行動との有害な関連が示された

ソーシャルメディアの使用頻度が高い(低い)ことは、アルコール消費(オッズ比: 1.48)、薬物使用(1.28)、タバコ使用(1.85)、性的リスク行動(1.77)、反社会的行動(1.73)、複数のリスク行動(1.75)、ギャンブル(2.84)の増加と関連していた。ソーシャルメディア上の健康リスク行動を紹介するコンテンツへの暴露(暴露なしとの比較)は、電子ニコチン供給システムの使用(1.73)、不健康な食事行動(2.48)、アルコール消費(2.43)のオッズ上昇と関連していた。アルコール消費については、ユーザーが作成したコンテンツへの暴露(3.21)とマーケッターが作成したコンテンツへの暴露(2.12)では、より強い関連が確認された。ソーシャルメディアの利用時間では、1日2時間以上(2時間未満)の利用がアルコール摂取のオッズを増加させた(2.12)。GRADEの確実性は、不健康な食事行動では中程度、アルコール使用では低く、その他の調査アウトカムでは非常に低かった。

[結論] ソーシャルメディアの利用は、若者の有害な健康リスク行動と関連しているが、因果関係を確立し、健康格差への影響を理解し、ソーシャルメディアのどの側面が最も有害であるかを決定するためには、さらに質の高い研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

できるだけ人を知り、できるだけ人に知られなさい
福沢諭吉

この言葉を胸に、ぼくはSNS活動に注力してきた。
note, 𝕏 (Twitter), Facebook…、主にこの3つのプラットフォームにおいて。
そして、活動を2-3年続けてきて分かったことがある。

これらのソーシャルメディアは、確かに有益だ。
だが、それ以上の弊害を含むかもしれない。

まず、中毒性。
とにかく、ずっと見ていられる。
そこは最新の情報に溢れ、そしてリアルタイムに自分の投稿の評価が下され続ける。
小学生の時、緊張とワクワクの精神状態で開いた成績表が、常にそこにあるような感覚だ。
だからこそ、危険なのだ。そこには、中毒性がある。
その頻回な接触は、同時に『時間泥棒』でもある。
言い換えれば、ソーシャルメディアは可処分時間(自分で自由に使える時間)を無限に食ってゆく怪物でもある。
そして、残念なことに時間は、誰にとっても有限なのだ。
成績表の結果を気にすることよりも、より良い成績を叩き出すための内的な努力に時間を費やしたい、と冷静な自分は思う。

次に、精神疲労。
上で述べたように、ソーシャルメディアは、常に評価し、評価される、そしてそれが可視化される。
上りも下りも、とても激しい世界だ。
ジェットコースターが上昇も落下も、興奮と同時に疲弊をもたらすように、ソーシャルメディアに接している時間は、精神疲労と比例関係にあると思っている。
そして、精神疲労は、人々をくたくたにさせて、次の仕事に向かう気力を削ぐ可能性がある。

そして、最後に健康リスク行動。
これが、今回の論文において示されたところで、中毒性、精神疲労の最終起結とも呼ぶべきものかもしれない。
鬱憤が溜まった日に暴飲暴食してしまうように、「今日くらいいいだろう」という気分が何かをはちゃめちゃにしてしまうように、ソーシャルメディアへの過剰な暴露は、人々を危険な行動に駆り立てるらしい。

だからこそ、ぼくは大事にしていることがある。
それは、『社会の窓』だ(安心してください。下ネタではございません)。
簡単に言えば、自分自身がソーシャルメディアと接する場所、時間を限定する営みだ。
それによって、エネルギーの流出を防ぎつつ、ソーシャルメディアから受ける恩恵は享受するのだ。
ぼくの場合の社会の窓は、以下の通りだ。

①自由閲覧時間は5:00~5:30の30分とする (多少の前後は可)
②①以外にソーシャルメディアを開くのは、自分が出力する場合においてのみ
③①以外の時間はウェブブロッカーを用いて自分がソーシャルメディアを開くのに鍵をかける

このような社会の窓をもってしても、完全とはいかない。
「ちょっと今日の投稿の評価がどうだったかを見てみるだけ…」とか、すぐそんな気持ちがもたげてくるのだ。
2024年は、この社会の窓のあり方を、もっともっと考えてゆきたいと思っている。
それを考えることは、自分の人生において何が重要で、何を尊重したいかを突き詰めてゆく営みに近いと思うから。
大海を知らなくとも、空の蒼さを知る「井の中の蛙」にだって、尊さがある。
そのバランスを、最適化してみたい。

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