仕事についての患者の悩み。医療者に期待される役割とは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
患者の視点から見た、専門医と仕事について話し合うことの現状、ニーズ、期待:質的研究
[背景・目的] 臨床医療における有給労働への配慮-臨床労働統合ケア(CWIC)は、現役世代の患者にとって有益であるかもしれない。しかし、CWICに対する患者の認識や期待は不明である。本研究の目的は、患者が専門医に仕事について相談する際の現状、ニーズ、期待について理解を深めることである。
[方法] 多様な病状の患者(n=33)を対象とした質的研究を実施した。8回のオンライン同期フォーカスグループが行われた。その後、主題分析が行われた。
[結果] (1)再び働きたいと思いながら患者になる過程、(2)患者によって異なるニーズ、(3)患者がCWICに期待すること、の3つのテーマがデータから浮かび上がった。(a) 仕事が病気に与える影響、(b) 病気や治療が仕事の能力に与える影響、(c) 仕事の能力が低下したままの場合の懸念である。また、それぞれのカテゴリーにおいて、患者が専門医に期待する役割は異なっていた。
[結論] 患者は、仕事に関連した心配事について、専門医や他の専門家によるサポートを必要としていることが示された。現状では、すべての仕事上の懸念が要求された注意を受けたわけではなく、CWICに関して満たされていないニーズが患者の一部に残されている。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
特に若い患者さんにとって、職業復帰というのは切実な問題である。
このままリハビリを続けていって、復職できるのか、職業能力はどこまで回復するのか。
常に遠くの灯台を眺めるような心持ちで、いる方は多いだろう。
だが、医療者にとっては、その気持ちを理解し切ることは難しい。
本当のその立場になってみたことが、ないからだ。
本当のところは、そうなってみないとわからない部分も、あろう。
そんな中で、今回の抄読研究は有難い情報を提供してくれた。
患者の悩みを3層レベルで整理した状態で、しかも医療者に期待される役割まで具体的に示してくれている。
今回の図は、まさに職業リハを考える上でのマップとも呼べるかもしれない。
このマップをもって患者さんと一緒に前に進みたい。
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