高速レジスタンス運動。最大歩行速度などに効果
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢者において、高速レジスタンス運動は従来のレジスタンス運動よりも身体機能への効果をもたらすか?79試験のシステマティックレビューとネットワークメタ分析
[背景・目的] 高齢者における最大歩行速度、TUG、5回座位-立位、30秒座位-立位、6分間歩行テストにおける抵抗運動速度の異なるモードの有効性を検討するために、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った。
[方法] CINAHL、Embase、LILACS、PubMed、Scielo、SPORTDiscus、Web of Scienceのデータベースを2022年2月まで検索した。適格とされたランダム化試験は、高齢者(すなわち、60歳以上)において、監督下での高速または伝統的なレジスタンス運動の効果を調べたものであった。このレビューの主要アウトカムは、最大歩行速度、TUG、5回座位-立位、30秒座位-立位、6分間歩行距離で測定された身体機能であり、最大筋力と筋力は副次的なものであった。さまざまなレジスタンス運動介入の効果を検討するため、ランダム効果ネットワークメタ解析が実施された。
[結果] 79の臨床試験を記述した80の論文(n=3,575)が含まれた。
■ 高速レジスタンス運動
・最大歩行速度の改善に最も有効であった(標準化平均差[SMD] 0.44、95%信頼区間[CI]: 0.00~0.87)
・TUG(SMD -0.76、95%CI:-1.05~-0.47)
・5回立ち上がり(SMD -0.74、95%CI:-1.20~-0.27)
・6分間歩行距離(SMD=0.74、95%CI:0.11~1.38)
■ 従来のレジスタンス運動
・30秒座位-立位(SMD 1.01、95%CI:0.68~1.34)に有効
・TUG(SMD=-0.74~-0.62)
・6分間歩行(SMD 0.47、95%CI:0.10~0.84)に有効
[結論] 本研究は、身体機能検査依存性から明らかなように、レジスタンス運動の速度効果は高齢者において特異的であるという証拠を提供する。我々は、収縮速度に基づく処方は、参加者の特定の機能的ニーズに対応するために個別化されるべきであることを示唆する。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これは臨床においてしばしば言われるところであるが、じゃあ具体的にどのような部分に工夫の糸口があるだろうか。
無限にあるのだろうが、1つの分かりやすい部分に「筋トレの速度」がある。
筋力トレーニングは、理学療法士が臨床現場で行わないことがほとんどないほどメジャーな介入内容だ。
メジャーだからこそ、定型的になりやすく、漫然と行われやすい側面があろうとも思う。
今回抄読した研究によれば、求心相に可能な限り早く収縮させる「高速レジスタンス運動」は、最大歩行速度をはじめ、多くのアウトカムを改善させる。
遠心相には、またそちらの注意点があるとして、少なくも筋トレの求心相には、最大速度をデフォルトとしても良さそうだ。
1つの筋力トレーニングといっても、そこには深淵がある。
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