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大胸筋ストレッチ。7週間のRCTでどんな効果?

📖 文献情報 と 抄録和訳

7週間の大胸筋ストレッチ・トレーニングが筋機能と筋硬度に及ぼす影響

📕Reiner, Marina, et al. "Effects of a High-Volume 7-Week Pectoralis Muscle Stretching Training on Muscle Function and Muscle Stiffness." Sports Medicine-Open 9.1 (2023): 40. https://doi.org/10.1186/s40798-023-00582-8
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🔑 Key points
🔹本研究は、大胸筋の包括的な7週間の静的ストレッチングトレーニングプログラムが、肩甲上腕関節ROM、筋力、筋硬度に及ぼす影響を検討した初めての研究である。
🔹ストレッチング群は、より長い筋長でROMおよびMVICの増加を示した。
🔹ROMの増加は筋硬度の低下とは関連していなかった。
🔹したがって、伸張耐性の増加、および/または腱、靭帯、被膜などの他の構造の変化がROMの増加に関与している可能性がある。

[背景・目的] 下肢の大量の静的ストレッチング・トレーニングは、筋硬度を低下させながら可動域(ROM)を増大させるというエビデンスがある。しかし、現在までのところ、上肢のストレッチトレーニングの効果やその効果メカニズムに関するエビデンスはない。そこで本研究では、大胸筋(PMa)の包括的な7週間の静的ストレッチングトレーニングプログラムが、肩甲上腕関節ROM、筋力、筋硬度に及ぼす影響を検討することを目的とした。

[方法] 健康で身体活動的な38名の参加者(男性23名、女性15名)を、PMa-静的ストレッチング介入群(PMa-SS群)と対照群のいずれかに無作為に割り付けた。PMa-SS群では、週3回、1回あたり15分のセッションからなる7週間の介入を行い、その中には1回あたり5分のPMaの静的ストレッチ運動が3回含まれた。介入期間の前後で、肩関節伸展ROM、PMa(pars clavicularis)の筋硬度、および最大随意等尺性収縮(MVIC)ピークトルク(長筋長(MVIClong)と短筋長(MVICshort)の両方で評価)を、特注の検査装置を用いて肩関節外転45°で調査した。

[結果] PMa-SS群では、肩伸展ROM(+6%;p<0.01;d=0.92)とMVIClong(+11%;p=0.01;d=0.76)が増加した。しかし、PMa-SS群では、MVICshortにもPMa筋硬度にも有意な変化はみられなかった。対照群では、どのパラメータにも変化はみられなかった。

[結論] ROMの増加に加え、筋長が短い場合ではなく長い場合にMVICの改善が観察された。このことは、筋膜の長さの増加、ひいては直列のサルコメアの増加の可能性を示している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまで、主に下肢筋を対象とした研究によって、ストレッチングの効果が検証されてきた。

その効果は、主には柔軟性、関節可動域(ROM)。
だが、驚くべきことに筋力や筋パワーも増大させる効果があるという(上記note参照)。

では、上肢筋はどうなのだろう?
確かにエビデンスを見る機会は少ないかもしれない。
そもそも、これはなぜなのだろう?

おそらく、傷害リスクの高さと日常生活への影響の大きさ、か。
歩行や姿勢など下肢筋が関わる部分は、人間にとってバイタル。
上肢の使用は、人によって異なるし一般的に需要を論じることは難しいのだろうか。

何にせよ、投球動作というオーバーヘッドスポーツに興味がある僕としては、バイタルな部分。
今回の研究は上肢筋の中でも、大胸筋のストレッチング効果を明らかにした。
その効果は、下肢筋で明らかにされた効果に近く、ROM改善、最大筋力改善、というものだった。
これまでよりも少し自信を持った声で、大胸筋ストレッチを推奨できる。

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