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肥満×脊椎変性


📖 文献情報 と 抄録和訳

肥満は椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の確率を高める:腰痛患者1634人を対象としたMRI研究

📕Segar, Anand H., et al. "Obesity increases the odds of intervertebral disc herniation and spinal stenosis; an MRI study of 1634 low back pain patients." European Spine Journal (2024): 1-9. https://doi.org/10.1007/s00586-024-08154-4
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[背景・目的] 本研究の目的は、BMIと椎間板変性症(Disc degeneration, DD)、椎間板ヘルニア(Disc herniation, DH)、脊柱管狭窄症(spinal stenosis, SS)との関係を、前向きに募集した大規模かつ異質な患者集団を用いて検討することである。

[方法] 患者はEuropean Genodisc Studyで募集された。経験豊富な放射線科医がDD、DH、SSについてMRI画像を採点した。多変量線形回帰分析およびロジスティック回帰分析を用いて、患者およびMRIの交絡因子を調整した上で、これらの変数とBMIとの関係をモデル化した。

✅ 各パラメータの定義
<椎間板変性スコア>
・椎間板変性(Disc degeneration, DD)
・Pfirrmann grading scheme
・1~5のスコア:グレード1は若い正常椎間板、グレード5は高度に変性した椎間板を表す
<終板の変化>
・3つの終板の変性について検討
・モディック変化、終板欠損(Schmorl結節と亀裂)、終板硬化
<椎間板ヘルニア>
・椎間板ヘルニア(Disc herniation, DH)
・2mm以上の後方脱出をDH+と定義

[結果] 平均年齢51歳、BMI27.2kg/m2の患者1684人を分析した。
■ 肥満集団×変性特徴の概略図

平均DDスコアは2.6点(5点満点)であり、年齢が高くなるほどDDの重症度は高くなった(R2=0.44)。完全調整モデルでは、年齢が10歳上昇すると0.31単位[95%CI 0.29,0.34]、BMIが5kg/m2上昇すると0.04単位[CI 0.01,0.07]変性が増加した。年齢(OR 1.23[CI1.06,1.43])とBMI(OR 2.60[CI2.28,2.96])はSSと正の相関を示した。DHでは、年齢は負の予測因子(OR 0.70 [CI 0.64,0.76])であったが、BMI(OR 1.19 [CI 1.07,1.33])では正の相関であった。BMIは、上部腰椎における3つの特徴すべての最も強い予測因子であった。

[結論] BMIの上昇はDDのわずかな上昇としか関連しなかったが、DHとSS、特に上部腰椎椎間板ではより強い予測因子であった。このことは、減量がこれらの病態に関連する障害の予防に役立つ有用な戦略であることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

ぼくは、体格が大きくない。
身長163cm、体重51-2kg程度の小柄な体格である。
そんな僕は、運動会の組体操のピラミッド(現在ではもうやられていない?)が好きだった。
なぜなら、その花形である頂上付近を任される確率が高かったから。
あの組体操というのは、下に行けば行くほど、屈強な心身の力が必要になる。
簡単な話で、下に行けば行くほど、上に積み上がっている人が多く、重量が大きくなるから。
当たり前の話だ。

そんな、当たり前の話が、どうやら脊椎変性においてもはてはまるらしい。
今回の抄読研究の結果、胸腰椎の変性は、レベルが下に下がるほど、その変性スコア、変性有病率が高くなっていた。
下部腰椎が、ピラミッドの下の方を支える生徒のように哀愁をもって感じられた。

BMIとの関連はわずかだったとのことだが、これは今回の集団特性が関係しているように思われた。
つまり、肥満集団を対象としているため、その中の差異はあまり大きくなかったのでないだろうか。
肥満集団と非肥満集団での比較や、どこかに変性を強める境界線が存在するような気がする。
更なる研究が待たれるところだ。

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