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身体活動低下の病態生理学的メカニズム

📖 文献情報 と 抄録和訳

身体活動低下の病態生理学的メカニズム:ヒト歩数減少モデルと動物類似体からの洞察

📕Sarto, Fabio, et al. "Pathophysiological mechanisms of reduced physical activity: insights from the human step reduction model and animal analogues." Acta Physiologica (2023): e13986. https://doi.org/10.1111/apha.13986
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[レビュー概要] 運動不足は現代社会にとって大きな負担であり、世界中に広がっている。運動不足はパンデミック(世界的大流行病)であり、世界の死亡原因の第4位である。当然のことながら、身体活動の低下が様々な生理学的システムに及ぼす影響に関する縦断的研究への関心が高まっている。この叙述的総説では、歩数減少(step reduction, SR)の病態生理学的メカニズムに焦点を当てる。SRは、参加者の習慣的な1日の歩数を急激に減少させ、座りがちなライフスタイルの影響を模倣する実験パラダイムである。また、類似の身体活動低下モデルである「ホイールロック」モデルや「ケージリダクション」モデルについても議論した。これまでに得られた経験的証拠は、短時間の身体活動低下でさえ、骨格筋の健康と代謝機能に大きな変化をもたらすことを示している。特に、除脂肪量・筋肉量、筋機能、筋タンパク質合成、心肺機能、内皮機能、インスリン感度の低下、脂肪量と炎症の増加が観察されている。

運動介入は、身体活動の低下によって引き起こされるこれらの病態生理学的変化を打ち消すのに特に効果的であると思われる。SRと、ベッド上安静や下肢の吊り下げ/固定といった他のヒトの負荷軽減モデルとの直接的な比較について述べる。さらに、歩行活動低下という特殊な状況における筋萎縮とインスリン抵抗性のメカニズムを解明することを目的とした概念的枠組みを提案する。最後に、動物モデルとヒトモデルの両方について、方法論的考察、知識のギャップ、将来の方向性についても論じている。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「退院後も身体活動を保つことが重要ですので、1日〇〇歩は歩きましょう!」
退院支援として、筋トレの自主トレーニング指導、それに加え、身体活動の推奨をすることが多い。
だが、例えばこの時に、患者さんから、
「わかりました。でも、それってどうしてですか?」
と言われたとき、なんと答えられるだろう。

今回抄読した研究は、その答えの一部を与えてくれるものだった。
身体活動が減少すると、どのような弊害があるかを美しい図とともに示してくれている。
疾患リスクを明らかにしたエビデンスとともに、
「筋量や筋力が低下することで、フレイルという危険な状態に陥りやすくなってしまいます」
「インスリン感度が低下することで、糖尿病リスクが高くなることが考えられます」
など、1つ下の仕組みとともに、危険性を示すことができるようになりそうだ。

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