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大臀筋, 中殿筋を最も活性化する運動は?


📖 文献情報 と 抄録和訳

大臀筋を最も活性化するには?加速に特化したプレアクティベーションと従来の筋力トレーニングエクササイズの筋活動ピーク

📕Goller, Maximilian, Oliver J. Quittmann, and Tobias Alt. "How to activate the glutes best? Peak muscle activity of acceleration-specific pre-activation and traditional strength training exercises." European journal of applied physiology (2024): 1-13. https://doi.org/10.1007/s00421-023-05400-3
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[背景・目的] 等尺性トレーニングとプレアクティベーションは、加速パフォーマンスを向上させることが証明されている。しかし、伝統的な筋力トレーニングエクササイズは、対側の股関節屈曲時に同側の股関節伸展を特徴とする臀筋群の加速に特異的な活性化パターンを反映していない。したがって、本研究の目的は、従来の筋力トレーニングエクササイズと比較して、加速に特化したエクササイズの臀筋群の活動を測定することであった。

[方法] 横断的研究デザインにおいて、大臀筋と中臀筋それぞれについて、2つの加速度特異的エクササイズのピーク筋電図活動を調査し、2つの伝統的筋力トレーニングエクササイズと比較した。様々な運動経歴を持つ24名の参加者(男性13名、女性11名、26歳、178cm、77kg)が、4つの大殿筋[片膝立ちの臀部収縮 (HKGS)、抵抗付き膝スプリット (RKS)、スプリットスクワット (SS)、 ヒップスラスト (HT)]と4つの中臀筋[抵抗付き腹臥位股関節外転(RPHA)、等尺性クラム(IC)、下肢挙上サイドプランク(SP)、抵抗付きサイドステップ (RSS)]のエクササイズを無作為の順序で行った。

[結果]
■ 大臀筋の各エクササイズの筋活動
🥇HT (3-RM):143%MVIC, 95% CI: 133-154
🥈RKS:128%MVIC, 95% CI: 119-138
🥉HKGS:125%MVIC, 95% CI: 109-140
❹ SS (3-RM):100%MVIC, 95% CI: 86-115
・HT (3-RM)とSS (3-RM)の間で有意な差が見られ、HT (3-RM)の方が高いEMG活動を示した (p < 0.001, d = 1.40)。
・他の比較では有意な差はなかったが、RKSとSS (3-RM)の間でも差が見られた (p = 0.011, d = 0.96)。

■ 中殿筋の各エクササイズの筋活動
🥇RPHA:149%MVIC, 95% CI: 131-167
🥈SP:118%MVIC, 95% CI: 104-133
🥉IC:108%MVIC, 95% CI: 104-133
❹ RSS:93%MVIC, 95% CI: 77-109
・RPHAと他のエクササイズの間で有意な差が見られ、RPHAの方が高いEMG活動を示した (p < 0.001, d = 1.41)。
・SPとRSSの間でも差が見られ、SPの方が高いEMG活動を示した (p = 0.040, d = 0.71)。

[結論] 加速に特化したエクササイズは、事前活性化および筋力トレーニングの目的で臀筋群を効果的に活性化し、その直接的な協調性伝達により水平加速の改善に役立つ可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

中臀筋を強化する練習を教えてください。

これに対して、いくつ答えが思い浮かぶだろうか。
背臥位での股関節外転、側臥位での股関節外転、クラムシェル、サイドブリッジ・・・。

では、それらのエクササイズを中臀筋を強く活性化させる順に並べ替えてください。

この問いは難しい。
理論上、中臀筋に負荷が加わるか否かは、抵抗の方向と関節軸の関係から理解しやすい。
だが、その負荷量、活性化需要はとなると、理論的に紐解くことが難しくなる。
理論的な正しさは、大小を持ちにくい。
二元論になりやすい。
だからこそ、飛躍につながりやすい。

そこで、必要な営みがある。
『研究(実験)』である。
実験的な正しさは、大小関係を明確にする。
プライオリティをアラートしてくれる。
だからこそ、妥当な実践に繋がりやすい。
それだから、貴重なのだ、研究データが、論文が。

今回の場合、大臀筋を最も活性化させたのは『ヒップスラスト』、中臀筋は『抵抗付き腹臥位股関節外転』
少なくとも、今回示されている4つずつのエクササイズに関しては、強く活性化させる順序に並べ替えることができるようになった、これが臨床現場におけるエクササイズ選択に役立つことだろう。
プライオリティーの明確化と実践妥当性の保証。
これが実証・実験のもつ特権である。

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