QOL寿命。脳卒中発症による損失
📖 文献情報 と 抄録和訳
脳卒中後の生涯負担:脳卒中が生存と生活の質に及ぼす長期的影響
[背景・目的] 韓国における脳卒中の絶対的負担は増加の一途をたどっている。これまで多くの研究が、限られた観察期間で死亡率、生活の質(quality of life, QOL)、経済的負担の転帰を調査してきた。限られた観察期間を超えて推定される生涯アウトカムを扱った研究は比較的少ない。目的生涯を通じたQOLと生存関数を組み合わせることにより、韓国における虚血性脳卒中および出血性脳卒中患者の質調整生存年(quality-adjusted life expectancy, QALE)とQALE損失を推定し、男女間で比較することを目的とした。
[方法] 脳卒中患者(n=13,994)の生存関数を、韓国の国民健康保険サービス-全国サンプルコホート(2002~2015年)からKaplan-Meier法により推定し、ローリングオーバーアルゴリズムにより生涯に外挿した。脳卒中患者(n=474)のEuroQol 5-dimension(EQ-5D)質問票で評価したQOL測定値をKorea Health Panel(KHP、2008~2018)から抽出し、QALEを推定した。すべての脳卒中患者は、性別および脳梗塞と脳出血の2つのタイプで分類された。年齢、性別、暦年を一致させた参照者を韓国の生命表からシミュレートし、KHPの一般集団のQOLと統合して参照者のQALEを推定した。上記2組のQALEを比較することにより、QALE喪失率を算出した。
[結果] 脳梗塞のQALEは10.8QALY、QALE損失は6.1QALY、脳出血のQALEは14.0QALY、QALE損失は9.0QALYであった。男性のQALE損失は出血性脳卒中の女性よりも3.0QALY大きかったが(p<0.05)、脳梗塞の差は0.6QALYとはるかに小さく、統計的に有意ではなかった。
[結論] 韓国における脳卒中の生涯影響は大きく、特に出血性脳卒中を克服した男性において顕著であった。社会的観点から脳卒中の負担を定量化するために、脳卒中患者の長期ケアに対する生涯ニーズを評価する今後の研究が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
「ピンピンコロリ」という言葉を聞いたことがあるだろう。
死ぬ直前まで元気で過ごし、病気で苦しんだり、介護を受けたりすることがないまま天寿を全うすることを意味する。
最近は略して「PPK」と呼ぶらしい。
🌍 参考サイト >>> site.
ところで、PPKは「日常生活動作に問題がない」、つまりどちらかと言えばフィジカルの話だ。
だが人生は、フィジカルだけで決まるわけではない。
心身とはよく言ったもので、「心」がある。
その人が、その人自身の“人生の質”をどのように捉えているか。
人生の質の高さを加味した寿命を明らかにするのが、QALEであり、QALYという単位である。
今回の研究は、脳卒中の発症によって、その後のQALEが〇〇QALY損失されるかを明らかにした。
人間は、ただ生物学的に生きる、というだけのものではない。
一日に、一瞬に意味を感じながら、生きている。
疾患の発症や、僕たちが提供しているリハビリテーションが、その意味にどのような影響を及ぼすのか、知りたいし、明らかにもしていきたい。
⬇︎ 関連 note✨
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び