見出し画像

患者数こそ正義!?多数の患者→高いADL改善

📖 文献情報 と 抄録和訳

急性期病院における脳卒中リハビリテーションの受診者数と日常生活動作の改善度との関連性

📕Tani, Takuaki, et al. "Association between volume of patients undergoing stroke rehabilitation at acute care hospitals and improvement in activities of daily living." Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 32.2 (2023): 106872. https://doi.org/10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2022.106872
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

🔑 Key points
🔹脳卒中急性期リハビリテーションの質を示す臨床指標として、リハビリテーションの量を施設での治療患者数(患者数)で測定している。
🔹本研究では、1病院あたりのリハビリテーション提供患者数の年間量と、急性脳卒中で入院した患者の転帰との関係を明らかにすることを目的とした。
🔹脳卒中患者の集学的リハビリテーションの年間実施量は、ADLの改善と関連していた。

[背景・目的] 本研究は、1病院あたりの年間リハビリテーション実施患者数と急性脳梗塞で入院した患者の転帰の関係を明らかにすることを目的とした。

[方法] 本観察研究は、全国規模の行政データを用いたものである。日本国内の1,182の急性期病院から、リハビリテーションを受けた20歳以上の脳卒中患者に関するデータを抽出した。除外基準は、180日を超える長期入院と入院中の死亡とした。病院数は、1病院あたりの総患者数を4つの四分位数に分けた。主要アウトカムは、Barthel indexを用いて測定した入院から退院までの日常生活動作の改善であった。日常生活動作の改善については、治療の逆確率加重を用いたポアソン回帰分析が行われた。

✅ 患者数による病院の分類の詳細
・年間病院数は、各病院の入院患者数に基づいて4つの四分位に分けられた(非常に低い:≦108.4、低い:108.5-186.4、中間:186.5-288.4、高い:≧288.5)。
・日本では診療報酬が2年ごとに改定されるため、2年分のデータを使用した。
・2年間の患者数を半分に分割し、年間のボリュームを評価した。

[結果] 患者数が多いことは、「非常に少ない群」を基準とした日常生活動作の改善と有意な相関があった(リスク比[95%信頼区間]。1.06 [1.05-1.08], P<0.001). また、低容量は日常生活活動の改善と有意に関連していた(リスク比[95%信頼区間]:1.04[1.03-1.06]、P<0.001)。

[結論] 特定の病院で集学的リハビリテーションを受ける脳卒中患者の年間受診者数は、患者の日常生活動作の改善度合いを左右する要因になる可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

『バンドワゴン効果』というものがある。
多数がある選択肢を選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果のこと。
つまり、「行列には並んでしまうよね〜」という効果。
それは “世間の流行りや周りの評判を判断材料にしてしまう心理” とされる。

リハビリテーションにおいて、その判断基準はあながち間違いではないらしい。
今回の研究によって、患者数の多い病院ほど、高いADL改善率を出していることが明らかになった。
行列のできるリハビリテーション病院には、並んだ方がいいのかもしれない。

これには、「もともと価値を持っている」ことと、「行列が病院を鍛える」ことの両輪の仕組みがあると思う。
もともと価値を持っている→そもそもその病院のスタッフや提供する技術が優れているから、行列ができている。
行列が病院を鍛える→多くの患者数を治療することで、量質転化、スタッフやその技術が鍛えられる。
だから、患者側としては、多くの症例数をこなしている病院を希望されることは、間違っていない選択かもしれない。
そして、医療者側としては、行列ができる病院を目指すことは、結果的に質を高めることにもつながる、1つの道かもしれない。

⬇︎ 関連 note✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,931件