コンプレッションウェア。3種類で最も効果的なのは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
スポーツ用コンプレッションウェアは男子バスケットボール選手の静脈還流と筋血流の安静時マーカーを改善する
[背景・目的] スポーツ用コンプレッションウェアの利点は、血流量の増加と密接な関係があると考えられている。しかし、血流測定に使用される技術、使用される衣服の種類、および適用される圧力が不均一であるためか、所見は不明確である。本研究では、ドップラー超音波と近赤外分光法を組み合わせ、3種類のスポーツ用コンプレッションウェアが安静時の静脈還流と筋血流のマーカーに及ぼす影響を初めて包括的に評価した。
[方法] エリート、ジュニア、男子バスケットボール選手22名(年齢=17.2±0.9歳、平均±SD)の安静時下肢血流測定(静脈還流のマーカー、筋血流、筋酸素化)を、コンプレッションなし(CON)、コンプレッションタイツ(TIGHTS)、コンプレッションショーツ(SHORTS)、コンプレッションソックス(SOCKS)の4つの条件で評価した。静脈還流のマーカー(断面積、時間平均平均血流速度およびピーク血流速度、静脈血流量)を、膝窩静脈および総大腿静脈のドップラー超音波検査により測定した。筋血流と筋酸素化は、近赤外分光法を用いて内側広筋と外側広筋で測定した。
[結果]
■ 膝窩静脈還流マーカーは、TIGHTSではCON(p<0.01)およびSHORTS(p<0.01)と比較して高く、SOCKSではCON(p<0.05)と比較して高かった。
■ 総大腿静脈の静脈還流マーカーは、CONと比較してすべての条件で高く(p<0.05)、SOCKSと比較してTIGHTSの値も高かった(p<0.05)。
■ 内側広筋の血流量は、CON(p=0.000)、SOCKS(p=0.012)、SHORTS(p=0.000)と比較してTIGHTSで高く、SHORTS(p=0.046)と比較してSOCKSで高かった。
■ 外側広筋血流は、TIGHTSがCON(p=0.028)およびSOCKS(p=0.019)と比較して高く、SHORTSもCON(p=0.012)およびSOCKS(p=0.005)と比較して高かった。
■ 内側広筋の酸素化は、TIGHTSがCON(p=0.003)、SOCKS(p=0.033)、SHORTS(p=0.003)と比較して高く、SOCKSはCON(p=0.044)、SHORTS(p=0.032)と比較して高かった。
■ 外側広筋の酸素化は、CON(p = 0.020)およびSOCKS(p = 0.006)と比較してTIGHTSで高かった。
[結論] 静脈還流、筋血流および筋酸素化のマーカーは、スポーツ用コンプレッションウェアにより増加する。TIGHTSが最も効果的であるのは、潜在的に、圧迫される身体の面積が大きいためである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
いつもと同じことをしているのに、いつもより効果が大きくなる
そういう外的環境や事前準備がある。
例えば、運動時に骨盤ベルトを着用すると脳卒中者のバランスが改善される。
これは、バランス練習としてはいつも通りの練習をしていても、より効果的になる可能性が高い。
そして、こういう介入のことを「エンパワーインターベンション」と呼んでいる。
エンパワーインターベンションの代表的な1つが今回の抄読研究のテーマとなったコンプレッションウェアだ。
そして、今回の研究の中では、靴下、ショーツ、タイツのどれが効果的かを検証し、一番面積の大きいタイツが効果的であることが明らかとなった。
僕は、ショーツとタイツタイプを持っているのだが、確かに着用感、着用後の感覚として、ショーツではあまり着用なしと
変わらないのに対し、タイツでは随分強めの圧を感じる。
せっかく、ある程度高いお金を支払い、装着するのだから、効果は出したいものだ。
⬇︎ 関連 note✨
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び