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骨盤ベルトをするだけで、いつもの介入の効果が増す

▼ 文献情報 と 抄録和訳

運動時の骨盤ベルト着用が脳卒中患者のバランスを改善する;無作為化対照予備試験

Choi, Yoon-Hee, Sung-Min Son, and Yong-Jun Cha. "Pelvic Belt Wearing during Exercise Improves Balance of Patients with Stroke: A Randomized, Controlled, Preliminary Trial." Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 30.8 (2021): 105820.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 脳卒中患者において、体幹を安定させる運動プログラム中に骨盤ベルトを装着することが、バランスにプラスの影響を与えるかどうかを検討する。

[方法] 脳卒中患者24名を実験群と対照群に無作為に割り振り、60分間の一般理学療法と30分間の体幹安定運動を追加で行った(週5回、6週間)。実験群と対照群の患者は、それぞれ骨盤ベルトを装着した状態と装着しない状態で体幹の安定性を高める運動を行った。

[結果] 実験群は対照群に比べて、バランスの改善度が有意に大きかった(Postural Assessment Scale for Stroke: +18.3%, F (1, 22)=14.350, p=.001, η2=.395; Berg Balance Scale: +11%, F (1, 22)=19.062, p=.000, η2=.464; Timed Up and Go Test: -10.5%, F (1, 22)=8.562, p=.008, η2=.280; 目を開けているときの圧力経路の中心距離 -15.1%, F (1, 22)=6.770, p=.016, η2=.235; 目を閉じた状態での圧力経路長の中心:-19.5%, F (1, 22)=9.256, p=.006, η2=.296; 目を開いた状態での圧力経路速度の中心:-22.6%, F (1, 22)=37.747, p=.000, η2=.632; 目を閉じた状態での圧力経路速度の中心。それぞれ-13.9%, F (1, 22)=6.511, p=.018, η2=.228)。)

[結論] 骨盤ベルトを装着しながら体幹を安定させる運動プログラムを行うことは、脳卒中患者のバランスを改善するためのより効果的なアプローチとなりうる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

以前に抄読した、「アロマテラピーの効果」と同一線上の介入だ。すなわち、「いつもと同じ介入をしているんだけど、〇〇という外環境 or 事前準備 or 装着をしているだけで、介入効果が増す」という方向性である。
SuperHumanは、このような介入を「エンパワーインターベンション empower intervention」と名づけようと思う。エンパワーとは「力を与える」という意味で、いつものリハビリテーションに力を与えうる介入、というニュアンスである。今回の骨盤ベルトも有力なエンパワーインターベンションである。