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高齢者の自立維持のための行動構成要素14選


📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者の自立を維持するための地域ベースの複合的介入(CII-OP)類型の開発:無作為化比較試験における介入の質的統合

📕Crocker, Thomas Frederick, et al. "Development of the Community-based complex Interventions to sustain Independence in Older People (CII-OP) typology: a qualitative synthesis of interventions in randomised controlled trials." Age and Ageing 53.5 (2024): afae102. https://doi.org/10.1093/ageing/afae102
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[背景・目的] 高齢者の自立を維持するためのコミュニティベースのサービスには、様々な構成がある。このような介入を類型化することは、概念的な明確さを提供し、効果的な構成の特定を可能にすることで、サービス提供や研究を改善することになる。我々はそのような類型化を目指した。

[方法] (i)関連するRCTを系統的に特定すること、(ii)介入の記述と再現のためのテンプレートを用いて介入(対照を含む)の記述を抽出すること、(iii)主要な介入の特徴のカテゴリーを生成すること、(iv)これらのカテゴリーに基づいて介入をグループ化すること。PROSPERO登録: CRD42019162195。

[結果] 検索により、266の介入群を含む129のRCTが同定された。高齢者の自立を維持するための地域ベースの複合的介入(CII-OP)の類型は、14の行動構成要素と5つの調整構成要素からなる。

■ 高齢者の自立維持のための行動構成要素14選
(1) ホームケア(41の介入で確認):ホームケアは、家事の支援、セルフケア、看護ケアなどのサービスを提供するために、医療従事者や介護従事者が頻繁に自宅を訪問するものである。
(2) 身体運動(30件の介入):トレーニングセッションや専門的なアドバイスや活動を通じて、身体運動(体力向上を目的とした身体活動)を行うための支援。これは、健康教育で提供されるものよりも具体的で詳細である。
(3) 健康教育(26の介入):あらかじめ規定された計画やプロトコールに従って、グループセッションまたは1対1で一連の健康トピックに関する情報を提供すること。臨床診療の一環として提供されるアドバイスや、書面のみの情報では不十分である。
(4) 日常生活動作(ADL)訓練(13の介入):ADLを練習し、より成功および/または安全に自立して行うための支援や助言を提供すること。
(5) 援助と適応の提供(12件の介入):ADLの自立を支援するための機器や技術の提供(コミュニケーションと社会参加を除く。) 例えば、キッチン補助器具、手すり、照明をつけるためのセンサーシステムなど。
(6) 栄養サポート(10件の介入):栄養関連の支援(理論または実践に関する情報を含む)の提供。食事日誌の記入、体重モニタリング、サプリメントの提供などの活動が含まれる。
(7) 心理(気分)療法(4件の介入):さまざまな領域(不安など)に対処するための有用な心理的プロセスの維持または支援を目的とした活動の提供。この目的を持つ心理学的原理や技法に関する教育や訓練を含む。
(8) コミュニケーションと関与のための技術(4件の介入):友人、家族、隣人、または地域社会とのコミュニケーションを支援する機器/システム(タブレットやソーシャルメディアのアプリケーションなど)を提供し、通常はそれらを使用するための支援を行う。
(9) 認知訓練(介入3件):認知戦略に関する実践的な練習や情報提供を含む、認知活動(記憶など)のトレーニングの提供。
(10) 有意義な活動への参加(3つの介入):例えば、余暇、手芸、ボランティア活動など、参加者が有意義だと思う活動を特定し、それに参加するための支援を提供する。
(11) 介護券の提供(介入2件):医療や介護サービスに使用できるバウチャーを提供する。バウチャーの使用方法に関するアドバイスや事務的サポートも提供される。
(12) ホメオパシーや自然療法などの代替医療(1件):自然療法やホメオパシーの相談や治療を行う。
(13) 社会技能訓練(1件の介入):社会的スキル(自己主張など)に関する情報提供や訓練。
(14) 福祉的権利に関する助言(1件):利用可能な福祉サービスや給付金を利用するための個別相談や支援を提供する。

テーラーリングの構成要素には、ケアプランニングにつながるプロセスが含まれ、複数の行動要素が計画、推奨、処方される。ケアプランから得られる多要素の行動は、最も一般的なテーラーリングの要素である。包括的な老年アセスメントと同様に、個別化された多領域のアセスメントと管理が含まれる。63の異なる介入タイプ(組み合わせ)が確認された。

[結論] 我々の類型論は、サービス計画およびエビデンス統合のための経験的基礎を提供する。介入と通常のケアの組織的側面についてより良い報告を推奨する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

われわれを人間にするのは、選択する能力である。
マデレイン・レングル(作家)

「〇〇さんへの介入、どうしますか?」

そう聞かれた時、少し戸惑ってしまう。
その質問に対する回答が、海のように広く、雲のように捉え所のないものだからだ。
0→1に形を与えるということは、大きな労力と困難が伴う。
だが、次のように聞かれたとしたら、どうだろうか。

「〇〇さんへの介入、A、B、C、Dという選択肢がある中で、何にしますか?」

これに対しては、安心して取り組むことができる。
どうやら、僕たちにとって、作り出すことよりは選ぶほうが容易のようだ。
そんな中で、今回の抄読研究は、地域の高齢者の自立を維持するための介入における行動構成要素を14与えてくれた。
まあ、これは選択肢というよりは、全部満たすことが推奨されるものなのだろうと思うけれど。
この14の行動要素を知った人にとっては、介入を考えることは容易くなる。
ただ、目の前の対象者の現実に照らし合わせて、それぞれの行動要素を具現化する方法を考える作業だ。
この14枚の選択肢は、介入のヘッドラインとしてしっかり保存しておきたい。

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