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地域在住高齢者の歩行速度の測定特性

📖 文献情報 と 抄録和訳

地域在住高齢者における通常歩行と速歩速検査の測定特性:COSMINに基づく系統的レビュー

📕Mehdipour, Ava, et al. "Measurement properties of the usual and fast gait speed tests in community-dwelling older adults: a COSMIN-based systematic review." Age and Ageing 53.3 (2024): afae055. https://doi.org/10.1093/ageing/afae055
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[背景・目的] 歩行速度検査は、高齢者の移動能力評価として最も広く用いられている検査の一つである。我々は、地域在住の高齢者における快適歩行速度検査と最大歩行速度検査の測定特性を評価し、比較するために系統的レビューを実施した。

[方法] 3つのデータベースを検索した: MEDLINE、EMBASE、CINAHLである。地域在住高齢者における歩行速度検査の測定特性または解釈可能性を評価した査読付き論文を対象とした。データ統合と質評価については、Consensus-based Standards for the selection of health Measurement Instrumentsガイドラインに従った。

[結果] 95の論文が包含基準を満たし、79の論文が測定特性を評価し、16の論文が解釈可能性について報告していた。両検査とも十分な信頼性があり、クラス内相関係数(ICC)は概ね0.72~0.98の範囲であったが、全体的なエビデンスの質は低かった。収束的/判別的妥当性については、両検査とも中程度のエビデンスの質で全体的に十分な評価が認められた。快適歩行速度検査の同時妥当性は、エビデンスの質が中等度で十分であった(より長い距離でのICC = 0.79~0.93);しかしながら、最大歩行速度検査については、質の高い研究によって支持された結果が不十分であった(例えば、より長い距離での一致度が低い)。反応性は3つの論文でのみ評価され、エビデンスの質は低かった

各測定特性に関する評価とエビデンスの質を速度別にまとめたもの。+ は十分な評価を、-は不十分な評価を示す。Y軸は仮説の数を表す(例えば、1つの論文が収束妥当性について複数の相関値を報告する可能性がある)。

[結論] このレビューから得られた知見は、地域在住の高齢者における快適および最大歩行速度検査の信頼性と妥当性を支持するエビデンスを示した。しかし、今後の検証研究では、厳密な方法論を採用し、検査の反応性を評価すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「やりましたね。歩行速度が2週間前より、0.5秒早くなりましたよ」

この言葉に、どれだけの意味があるだろう。
その意味を決めるにあたって、絶対的に考慮しなければならないことがある。
それは、「どれだけ正確に計測できているか?」ということだ。
例えば、全く同じ歩行速度で歩く人がいたとして、その人を2回測定したとする。
その時に、どのくらいの誤差が生じ得るか(検者内信頼性)。
または、測定者を変えて2回計測した際に、どのくらいの誤差が生じ得るか(検者間信頼性)。

歩行速度というのは、普段から高頻度で使われている評価尺度の1つである。
そのため、僕たちはなぜか、無条件にその定規の質を信じきっている。
だが、ときにはその定規の正確性(信頼性)など測定特性を顧みることも重要かもしれない。
今回の抄読研究は、まさにその部分をやってくれた研究で、地域在住高齢者における歩行速度の測定特性を改めて明らかにしてくれた。
その結果としては、概ね歩行速度の評価という定規の測定特性は信頼できるものだった。
これまでよりも、もう少し自信をもって歩行速度の結果を提示できそうだ。

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