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アップルウォッチの心電図による左室機能不全の検出

📖 文献情報 と 抄録和訳

スマートウォッチによる左室機能不全の検出の前向き評価

📕Attia, Zachi I., et al. "Prospective evaluation of smartwatch-enabled detection of left ventricular dysfunction." Nature Medicine (2022): 1-7. https://doi.org/10.1038/s41591-022-02053-1
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[背景・目的] 人工知能(artificial intelligence, AI)アルゴリズムは、12誘導心電図(electrocardiograms, ECG)から駆出率(ejection fraction, EF)≦40%と定義される心機能障害を特定できることが示されているが、スマートウォッチの単一誘導心電図を用いた心機能障害の特定はまだ検証されていない。

[方法] 本研究では、Mayo Clinicの患者を対象に、Apple watchの心電図を安全なデータプラットフォームに送信するMayo Clinic iPhoneアプリケーションをダウンロードするようメールで呼びかけた前向き研究において、患者の研究アプリへの関与と心電図の診断的有用性を検討した。

[結果] 米国46州と11カ国から2,454人のユニークな患者(平均年齢53±15歳、女性56%)をデジタル登録し、2021年8月から2022年2月の間に125,610枚のECGをデータプラットフォームに送信した。421人が心エコー検査から30日以内に少なくとも1枚の時計分類の洞調律ECGが登録されたが、そのうち16人(3.8%)がEF ≤ 40%であった。AIアルゴリズムは、30dウィンドウ内の平均予測値またはEFを決定した心エコー図に最も近い心電図をそれぞれ用いて、0.885(95%信頼区間0.823-0.946)および0.881(0.815-0.947)の曲線下面積で低EF患者を発見した。

[結論] これらの知見は、非臨床環境で取得されたApple watchの心電図が、生命を脅かす可能性があり、しばしば無症状である心機能障害患者の特定に使用できることを示す。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

ウェアラブル端末の重要な役割の1つに『前兆を捉える』ことがある。
人間、普通に生活していて、「ちょっと疲れやすくなった」、「ちょっと胸が痛いかな」ということは、放っておくことが多い。
ただの、体調の日差として。
だが、その時にとても重要な変化が身体に起こりつつある、かもしれないのだ。

転倒は、転びはじめに助けなければ救えない。
これは理学療法士として患者さんと関わっていて会得したコツの1つだ。
転びはじめは、介助に必要な力が少なくて済むが、行ききった転倒は救えない。
疾患についても、同様の考え方ができるだろう。

重症化の前に、前兆の段階で早期発見し、早期治療できれば、救われる命がたくさんあるだろうと思う。
その前兆を、ウェアラブル端末が抜け目なく発見して、アラートを人々に伝える。
今回の研究においては、重要な疾患である心不全において、それをやった。
そして、AUC>0.88という高い検出能を有することが明らかになった。
このような機能がどんどん搭載されたら、ウェアラブルはいよいよ手放せないものになるかもしれない。

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