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慢性疼痛者への介入策は身体活動であるべきである!


📖 文献情報 と 抄録和訳

慢性疼痛を抱える人々に対する主な介入策は、身体活動であるべきである。 欧州疼痛連盟(EFIC)「On the Move」タスクフォースによるポジションペーパー

📕Vaegter, Henrik Bjarke, et al. "Physical activity should be the primary intervention for individuals living with chronic pain A position paper from the European Pain Federation (EFIC)‘On the Move’Task Force." European Journal of Pain (2024). https://doi.org/10.1002/ejp.2278
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[背景・目的] 身体活動(physical activity, PA)が痛みの緩和と健康全般に有益であることは明らかな証拠があるが、慢性的な痛みを抱える多くの人々にとって、身体活動は難しい。運動の専門家でなくとも、費用対効果の高い方法で身体活動の促進は可能ですが、多くの医療従事者は身体活動に関する指導を行う際に多くの障害があると報告しており、身体活動が常に促進されているわけではないことを示唆している。この専門家による意見書では、身体活動的なライフスタイルの採用と維持を、余命の長いあらゆる慢性疼痛を抱える患者が評価し、助言を受け、支援を受けるための5つの推奨事項を、証拠を基にまとめている。

[方法] この見解書は、欧州疼痛連盟(EFIC)の「On The Move」タスクフォースにより作成された。最終的な提言は、欧州疼痛フォーラム、欧州疼痛連合、EFICの執行委員会により承認された。

[結果] 我々は、すべての医療従事者に対して、以下のことを推奨する。

この図は、慢性疼痛を抱える人々に対して身体活動(PA: Physical Activity)の促進に関する5つの推奨事項を示している。この図は、欧州疼痛連盟(EFIC)の「On the Move」タスクフォースによる慢性疼痛患者向けの身体活動促進に関する推奨事項を視覚的にまとめたものである。

■ Recommendation 1
・Take a PA history(身体活動の履歴を確認する)
・Put PA on the agenda(身体活動を優先事項に設定する)

これは、慢性疼痛を抱える患者の現在および過去の身体活動レベルを把握し、日常的に身体活動を話題にするよう促すことが求められている。

■ Recommendation 2
・Advise that PA is important and safe(身体活動は重要であり安全であると助言する)
身体活動が慢性疼痛患者にとって安全であること、またその重要性を医療専門家が患者に明確に伝えることが推奨される。

■ Recommendation 3
・Deliver a brief PA intervention(短い身体活動介入を提供する)
・Support becoming more active(より活動的になることをサポートする)

ここでは、短時間でも良いので、身体活動に関する介入を行い、患者が少しずつ活動的になることを支援することが重要だとされている。

■ Recommendation 4
・Discuss acceptable levels of PA-related soreness and pain(身体活動による筋肉痛や痛みの許容範囲を話し合う)
患者とともに、身体活動に伴う痛みや筋肉痛の程度について話し合い、許容範囲を確認し、無理のない範囲で活動を進めるべきことが強調されている。

■ Recommendation 5
・Support staying active(活動的であり続けることをサポートする)
長期的なサポートを提供し、患者が継続して身体活動を行えるように医療専門家が助けることが推奨されている。

[結論] 身体活動は安全であり、一般的な健康上の利点、副作用のリスクが低いこと、費用が低いこと、医療へのアクセスが不要であることなど、いくつかの利点がある。これらの推奨事項を採用することで、慢性疼痛を抱える人々のケアと生活の質を改善し、健康リスクを全体的に軽減することができる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

Exercise is Medicine。運動は薬である。
近年、様々な領域において、運動は薬との比較において、「確かに運動は薬と同等、それ以上の効果をもたらすかもしれない」という結果を出している。
特に、その研究が盛んに行われている領域が『疼痛』である。
僕も、『運動誘発性痛覚低下』のメカニズムに関して、いくつかの文献抄読を行なってきた(関連note参照)。

「痛くて動けない。動くともっと痛くなるんじゃないか・・・」

そんな患者さんの不安に対して、今回抄読したポジションペーパーは、『大丈夫!疼痛者への介入策は、身体活動であるべきです!』と強く背中を押してくれるものだった。
身体活動は、重要で安全なものであることを共有した上で、スモールステップで徐々に身体活動を取り入れていく。
痛くないから動ける、のではなく、動くから徐々に痛みが軽減されていく、という側面もまた重要なのだ。
今回学んだ身体活動の推奨事項を、患者さんとのやり取りの中で身につけていきたい。

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