臨床実習について、“実習地側”はどう思っている?
📖 文献情報 と 抄録和訳
理学療法士は個人診療所での臨床実習の受け入れは将来の理学療法士への投資であると認識している:混合方法研究
[背景・目的] 質問:個人開業理学療法士は、理学療法学生の臨床実習を受け入れるメリット、障壁、コスト、リスクをどのように認識していますか?どのような実習モデルが利用されているのか、また、個人開業理学療法士が学生を受け入れ続けるためにどのような支援を望んでいるのか。
[方法] デザイン調査および4つのフォーカス・グループからなる全国規模の混合法研究。参加者年間平均208名の学生を受け入れている6つの州と準州の個人開業理学療法士45名(オーストラリアの個人開業理学療法士の約3分の1)が調査に回答した。14人の開業医がフォーカス・グループに参加した。
[結果]
■ 臨床実習生を受け入れる実習地側のメリット
・参加者は、実習受け入れが卒業生の採用に役立ち、個人開業理学療法士の臨床および教育者としての知識と技術の向上に役立っていると報告した。
■ 臨床実習生を受け入れる実習地側の障壁
・コスト(時間的・金銭的)と学生にとって十分な症例数を確保することが困難であることが、実習受け入れの障壁であると認識されていた。
・実習の受け入れは、監督下のケアであるため、クライエントにとってリスクは低いが、成績の悪い学生を受け入れた場合、ビジネスの評判や収入にリスクが及ぶ可能性があると認識されていた。
・参加者の多くは、最終学年の学生が観察から共同ケア、監督下でのケア提供へと段階的に進む、段階的エクスポージャー・プレイスメント・モデルについて説明していた。
■ 臨床実習生を受け入れる実習地側の要望
・参加者は、大学から追加的な財政的支援や個人的な支援を受けることができれば、実習受け入れの支援が受けられると認識していた。
[結論] 個人開業理学療法士は、学生の受け入れは診療所、専門職、スタッフ、顧客にとって有益であると認識しているが、費用と時間がかかると報告している。大学は、継続的な実習を提供するためのトレーニング、サポート、教育者や学生とのコミュニケーションを提供する上で、重要な役割を果たすと認識されている。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
そう問われたなら、実習中に関わった理学療法士の先生が複数人、入ってくることだろう。
それほど、理学療法士にとって臨床実習で誰がバイザーになるか、というのは切実な問題である。
一方で、実習地側は実習生のことをどう見ているだろう?
今回の研究は、個人開業の理学療法士目線から、その実態を明らかにしてくれた。
その内容は、「確かに!」「そうそう!」と思えることが多く、面白かった。
また、「なるほど」「そこまで考えてるんだ」という驚きもあった。
この論文の1番の主張である「採用に役立てている」は本当にそうだと思う。
「あの子(実習生)就職決まっているの?」「うちに入る気ありそう?」は実習中にバイザーと所属長の間で、必ず交わされる会話の1つだろう。
だが、その採用の機会としての実習を、実習地側はどれだけ生かせているだろう?
ただ、感覚的 & 受身的に実習生の「採用対象」としての評価をしていないか?
もっと、積極的な評価や、声かけや、採用へのリンクの仕方があるのではなかろうか。
最強の採用、の一部分をなす実習生の受け入れと対応、その部分は今後発掘していきたいと思う。
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