新規要介護認定者の疾患パターン分類
📖 文献情報 と 抄録和訳
日本における介護開始高齢者の臨床的サブタイプと予後との関連:データ駆動型クラスター分析
[背景・目的] 日本における介護開始者の臨床的サブタイプを同定し、予後との関連を検討することを目的とした。
[方法] 大都市の医療保険請求データと要介護認定調査データをリンクさせ、新規要介護認定者を同定した。ファジーc平均クラスタリングを用いて、過去6ヵ月間に記録された22の疾患に基づいてグループ化し、クラスタと2年以内の死亡または要介護度悪化との縦断的関連を検討した。
[結果] 2014年10月~2019年3月までに新規要介護認定された65歳以上の4,648人(年齢中央値83[四分位範囲78~88]歳、女性60.4%)を同定した。
■ クラスター分析で6つの臨床サブタイプを同定
(1)筋骨格系疾患・感覚機能異常タイプ(1,025人)
(2)心疾患タイプ(729人)
(3)神経疾患タイプ(765人)
(4)呼吸器疾患・悪性腫瘍タイプ(421人)
(5)インスリン依存性糖尿病タイプ(371人)
(6)その他タイプ(1,337人)
■ 各臨床サブタイプとアウトカムの関連
<死亡を含めた介護度悪化との関連>
・筋骨格系疾患・感覚機能異常タイプを基準として、心疾患タイプの調整オッズ比は1.39(95%信頼区間1.08-1.80)、呼吸器疾患・悪性腫瘍タイプは同2.29(1.67-3.15)、その他タイプは同1.47(1.18-1.83)となり、有意に介護度悪化と関連していた
[結論] 介護度は、筋骨格系および感覚器系のサブタイプよりも、心臓、呼吸器系およびがん、特定不能のサブタイプでより悪化しやすかった。結論として、長期療養を開始する人の中には、それぞれ異なる臨床的サブタイプが存在する。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
入院中の患者さんは、様々な疾患を有している。
腰痛、糖尿病、がん・・・、多種多様の疾患を単一、あるいは複数有している。
そんな多種多様な疾患のうち、新規要介護認定者はどの疾患を持っていることが多いか。
また、どんな疾患を持っていると介護度悪化や死亡といった転帰不良に繋がりやすいのか。
今回の抄読研究においては、これらの疑問を明らかにしてくれた。
まず、新規要介護認定者の疾患を6つのパターン分類として示し、そのうちの心疾患、呼吸器疾患・悪性腫瘍の介護度悪化、死亡リスクが高いことを明らかにした。
合併症の情報収集の際には、ただ並列的に疾患名を並べるのではなく、転帰への影響度を想定しつつ、立体的に捉えていきたい。
その一助となる貴重な研究であった。
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