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筋腱移行部の面積。速筋線維と遅筋線維の比較

📖 文献情報 と 抄録和訳

ヒトの筋腱接合部における界面面積は、タイプ1筋繊維とタイプ2筋繊維でより大きい

📕Jakobsen, Jens Rithamer, et al. "Larger interface area at the human myotendinous junction in type 1 compared with type 2 muscle fibers." Scandinavian journal of medicine & science in sports (2023). https://doi.org/10.1111/sms.14246
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[背景・目的] 筋腱移行部(myotendinous junction, MTJ)は,力を伝達するために構造的に特化した部位である。MTJの高度に折り畳まれた筋膜は、筋と腱の接触面積を増加させ、潜在的にMTJの負荷耐性を向上させる。タイプII線維を多く含む筋肉は、タイプI線維を含む筋肉と比較して、より頻繁に肉離れなどの筋傷害を受ける。このことは、タイプIの筋線維に比べ、タイプIIの筋線維ではMTJの界面面積が小さいことで説明されると仮定される。本研究の目的は、共焦点顕微鏡を用いて、タイプ I とタイプ II の筋線維の間で MTJ の表面積に違いがあるかどうかを調べることであった。

[方法] ヒト半腱様筋の試料から、MTJを有する個々の筋線維を顕微鏡下で分離し、コラーゲンXXII(MTJを示す)およびタイプIミオシン(MHCI)に対する抗体で標識した。スピニングディスク共焦点顕微鏡を用いて、各繊維のMTJをスキャンし、その後、3D-モデルに再構成した。これらの再構成から、I型線維とII型線維の筋と腱の界面面積を算出した。314本の筋繊維のMTJが解析された。

[結果] タイプIの筋線維(遅筋線維)はタイプIIの筋線維(速筋線維)に比べ、MTJの界面面積が22.3%大きかった(p<0.05)。

[結論] この新しい手法により、多数のヒト筋線維からMTJの構造を解析することが可能になった。筋と腱の界面面積がII型線維に比べてI型繊維で大きいという結果は、II型線維は歪みに対する抵抗力が弱く、そのため傷害を受けやすいことを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまで、速筋線維と遅筋線維の違いについては、いくつかの側面から文献抄読をしてきた。

今回の論文は、傷害リスクに直結する部分を捉えている。
筋腱移行部の界面面積。
同じ力が加わるとき、ハンコのような面で加わるのと、針のような点で加わるのでは、結果が異なることは容易に想像できる。
牽引力でも類似のことがいえる。
そして、速筋線維においてはより点に近く、肉離れのリスクが大きいと思われる。

気になるのは、どうしてそうなっているか?
速筋線維の方が瞬発的な出力をして、加わる負荷量は高いはずなのに。
どうして構造的に壊れやすいデザインを採用しているのか。
1本1本の腱をより強く引き伸ばせるように、力を収束させているのか。
そこは、追いかけたい。

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