“ながらスマホ” の危険性
📖 文献情報 と 抄録和訳
歩行中のスマートフォン使用は歩行周期変動の正の持続性を減少させる
[背景・目的] 歩きスマホや前抱えリュックサックは歩行中の転倒リスクを増大させることが知られている。スマホ画面注視や前抱えリュックによる足元や周辺視覚情報の損失が、段差や障害物等(外因性の要因)による躓きを誘発することでリスクが増大するとされている。ここでは、歩きスマホに伴う内因性の要因(歩行者自身の歩行安定性の低下)が、歩行の安定性を低下させるかを検討した。
[方法] 具体的には、対照条件、利き手でスマートフォンを胸の前に持ち、スマートフォンの空白画面を注視する非認知課題、非認知課題と同様にスマートフォンを持ち、スマートフォンに表示されるパズルゲームを親指1本で操作する認知運動課題の3つの歩行条件を検討した。この研究では、一定速度でベルトが回転するトレッドミル上を歩行する際の歩行リズム、すなわち歩行周期(歩行サイクル時間)の変動、つまり歩行周期ゆらぎを計測することで、歩行の安定性を反映する指標値が評価された。
[結果] 認知条件では、スマートフォン使用時の認知・運動負荷によって、平均値や標準偏差統計量ではなく、正の持続性のみが影響を受けることが示された。より具体的には、対照条件および非認知条件において示された正の持続性は、認知条件において有意に減少した。
[結論] この結果は、健常歩行パターンの劣化を表すと考えられる認知課題中の陽性持続性の低下は、認知・運動負荷によって内因的に引き起こされるものであり、必ずしも一般に考えられているような視野の減少によるものではないことを示唆している。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
“ながらスマホ” は危険である。
かくいう僕自身、自転車通勤をしている際に、その危険性を何度となく経験してきた。
まず、ながらスマホをしている人は、外部環境に対する注意力が低下している。
つまり、自転車が近づいているのに、気がつかない、のだ。
だから、仕方なく、咳払いをしたり、自転車のベルを鳴らしたりして、警告を与えている。
このような外因性の要因に加え、本研究においては『内因性』にも歩行能力が低下することを明らかにした。
ながらスマホ条件では、歩行周期の持続性が低下し、ゆらぐ歩行に近づいたのだ。
つまり、「いや、周りに障害物や人がいないので、ながらスマホしても大丈夫だと思って・・・」という話ではなくて、ながらスマホをすることは歩行安定性自体を低下させるので、やめましょう、という話だと、部分的に証明されたわけだ。
高速道路の標識に、以下のようなものがあった。
「ながらスマホ。本当に今みる(やる)必要がありますか?」
各自が、自分自身に問いかけたい。
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