もう一人のおばあちゃんと百日紅
小学校のとき、うちの祖父母の家は高台にあった。その庭には様々な樹木がうわっていたが、子供心には、地味な樹木ばかりという印象だった。マキノキとかツゲとか、目立ったお花も咲かない。
庭の外周の柵から下はちょっとした崖のようになっていた。そのため庭からは右側にある山々や正面に広がる空が、視界を妨げられずに見えた。
柵の手前に、一本の百日紅があった。わたしが小学校低学年のときでおばあちゃんの背丈の3倍以上はあったから、今もあればどんな様子になっているだろう。その百日紅は、夏になる