いじめられっ子が空手で手に入れたもの
息子が通っていた道場の1学年上に当時小学1年生のY君がいた。
体は大きく、優しい顔している少年だ。
親御さんはと言うと、ほぼ同世代が多い印象の保護者と比べると、おそらく10歳近く年長ではなかろうかと思えた。
遅くに授かった一粒種。可愛いさは、ひとしおであろう。稽古が終わり、バスに乗ってから降りるまで、ずっと携帯電話を繋いだままでいるように指示をする母親。
Y君は甘やかされて育った。
そんな彼を幼稚園の悪ガキどもは、見逃すはずはない。イジメの標的になるのに時間はかからなかった。