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神はSlackに宿る

以前、こんなツイートをしました。

そうしたところ、クライアントに「Slackに神を宿らせるにはどうしたらいいのか?」と聞かれたので、ある程度の数のクライアントのSlackに入っている一法務受託者の視点で書いてみます。2022年の大晦日に、紅白を見ながら。。。

以下に書くことは個人的意見です。
異論は歓迎ですし、「こういう風にするとより良いんでない?」というのがあれば、リプやDM等で教えていただけると大変嬉しいです。でも意外とガラスの三十代なのでお手柔らかにお願いします🙏

なお、Slackには色々な機能がありますし、有効な活用法を話しだせば色々あるのだと思いますが、ここでは種々の機能には立ち入らず基本的なところのみを対象にしたいと思います。

神が宿ったSlackとは?

そもそも、「神が宿ったSlack」とは、どういう状態を言うのでしょうか?

私は「情報がスムーズに流通している状態」を言うと考えます。

ビジネスはスピードが命。
情報流通がうまくいかないとスピードが損なわれます。で、スピードが損なわれるとモメンタムも損なわれることに。情報流通がうまくいっていない場合、「ネットがうまくつながらなくて、イライラしてだんだんとやる気が損なわれていく」のに等しい状態になります。

情報流通不全による時間のロスは、仮に一つ一つは数分〜数十分くらいであっても組織全体で見れば膨大な時間のロスになります。また、情報流通不全は、各々の認識の齟齬につながり思わぬトラブルを引き起こしかねません。なので、リスクマネジメントやガバナンスの観点からも情報流通不全は問題になります。

このように、「強い会社」であるためにはスムーズな情報流通は不可欠であり、それは会社の情報流通のプラットフォームとなるSlackでも同様です。

「Slackの乱れは経営の乱れ」

そう言っても決して過言ではなく、逆に言えば強い会社であるための第一歩として、Slackに神を宿らせる(=「情報がスムーズに流通している状態」にする)ことは大事なのです。

Slack七つの大罪

ということで、Slackにおけるスムーズな情報流通はとても大事なわけですが、逆にSlackにおけるスムーズな情報流通を阻害するものは何なのでしょうか?

私は、個人的にSlackにおける情報流通を阻害する事象を「七つの大罪」と呼んで日々怨嗟を募らせています。

七つの大罪とは?

Slack七つの大罪は以下7つです。

①チャンネル乱立
②スレッド無視
③DM濫用
④ダラダラ長文投稿
⑤日本語能力欠如
⑥NO メンション
⑦本名不明

①チャンネル乱立

多分一番スラック特有の事象。

ルールなしに無秩序にチャンネルが乱立していくと、
「あの話題どこでやってたっけ?」
「このチャンネルとあのチャンネルの違い何だっけ?」
「この話、どのチャンネルに投稿すればいいんだっけ?」
「このチャンネル全然使っていないけど、消していいんだっけ?(誰がいつアーカイブ判断するんだよ…チャンネル多すぎるんだよな…)」
といった悩みが生じます。

この悩んでいる時間が本当に無駄

チャンネルの命名ルール、個々のチャンネルの目的・機能、管理部門(管理者)を明確にすることが肝要です。各チャンネルに設けられている「トピック」や「説明」の欄に、そのチャンネルの目的や機能、管理部門(管理者)を明記することをルール化しておくことも良いと思います。

命名ルールとしては、部門やプロジェクト単位で名前をつけたりすることが多いかと思います。個人的には、可能であればチャンネルの冒頭に当該チャンネルを管理する部門の「機能」を表記して、その後に目的に即した名前を付けるのが良いのでは?と思っています。

例えば、IR部門が管理するIRとPRの情報共有チャンネルだとしたら、"ir_pr"みたいな感じです。

ここで重要なのは、特に管理部門等では、部門の名前ではなく部門の「機能」を表記することです。部門の名前を表記すると、組織変更があったときに名前を変えるのが面倒です(そして、スタートアップは組織変更が頻繁に起こる)。組織が如何様になったとしても、legal, pr, ir, hrなどの機能を司る部署は大体認識可能だし、その機能の長もなんとなくわかるので機能で名前と付けておくのが良いのではと考えています。

注:もちろん事業部だと機能表記で貫徹するのは難しい部分はあり、組織変更に伴いガラッと名前を変えることは避けられないこともそれなりにあるかと思います。また、会社全体向けのチャンネルは、管理者さえしっかり決めておけば、allとかinfoとかの名前を冒頭につけることで良いと思います。

まだ組織が小さいうちは、チャンネルを立てられる人を一人に決めてその人がオーナーシップを持って最適なSlackチャンネルルールを確立していくというのも良いかと思います。実際、まだメンバーが10-20名くらいの会社では社長がSlackチャンネルルールを始めとした情報流通マネジメントを行っているというところもあります。

②スレッド無視

個人的に結構イラッとするのはこれです。

特定のトピックはスレッドをスクロールすればわかる状態にしていたにもかかわらず、突然スレッドを無視して他のところで同じ話題を繰り広げるやつです。これはマジでギルティ。

リプライは些細なものでもスレッドで返すのを原則とし、スレッドに埋もれさせたくない重要な投稿についてはスレッドにした上でチャンネルに表示とすべきと考えます。

スレッドを無視して別で当該トピックを展開するのは重罪です。

③クローズ濫用

Slackの良さは、メールと違って情報が広く共有可能なところにあります。

にもかかわらず、DMやクローズドチャンネルを濫用したのでは、Slackを利用している価値が激減します。メールでええやんと。

もちろん、人事情報やインサイダー情報など、DMやクローズドチャンネルチャンネルですべきトピックもあります。

なので、クローズの"濫用"にならず情報の適切な共有・流通がなされるためには、オープンチャンネルでの情報流通を原則としつつも、クローズドにすべき情報のルールをしっかり作って浸透させていくことが肝要です。

④ダラダラ長文投稿

強い会社は、メンバーレベルまで投稿が簡潔でわかりやすいです。そうすることが「当たり前」になっています。

簡潔でわかりやすい投稿をするポイントは以下の通りです。

(i)   何についての話か、投稿の背景・目的等の前提を冒頭でしっかり共有
(ii)  結論(相手にして欲しいこと等を含む)の簡潔な記載
(iii) 理由の簡潔な記載(長くなるようだったらSlackでは簡潔な記載のみで、残りはdocsのURLを貼るかPDF添付)
(iv) URLはハイパーリンクにして貼り付け
(v)  箇条書き、ナンバリング、コードブロックの活用により読みやすい記載を意識

もちろん、Slackはカジュアルにチャットとして使えることが利点の一つでもあります。なので、形式にこだわり過ぎて投稿に時間がかかりすぎると本末転倒という面もあります。

しかしながら、
・そもそも長くて読む気が失せる
・読んでも何についての話か分かりづらい
・読んでもなぜその結論になるのかわからない
・投稿を読んでも読み手として何を期待されているのかわからない
こういう投稿はギルティです。
スピードとクオリティのバランスが大事ですね。

⑤日本語能力欠如

こう書くと辛辣な感じがでますが、内容としては以下のような基本的なことです。

(i)  主語、述語、目的語が省略されててわかりづらい
例:X「押印お願いします!」
  Y「?(何に誰がどの印鑑で押印すればいいんじゃ…)」
(ii) 指示語の対象が不明確
例:X「~について、AとBがありますが、どうしましょうか?」
  Y「それでお願いします!」
  X「?(それってなんやねん)」

「意味が分からなかったら聞き返せば良い」ということもあるのですが、聞き返している時間が勿体ないです。
また、聞き返さずに自分の解釈でコトを進めていって後で認識の齟齬に気づくということは往々にしてあります(トラブルの元)。

相手にキチンと伝わる丁寧なコミュニケーションを心掛けたいですね。

⑥NOメンション

たまに、業務時間外とか休みだからといって相手に気を使ってメンションをつけない人がいます。

投稿に気づかず放置されることにつながりかねないので、遠慮なくメンションはつけるべきだと思います。通知は受ける側の設定で管理すれば良いことなので。

気を使ってタイマー設定して予約投稿ということも考えられますが、スレッドではできません。ルールのシンプルさから、通知は受ける側の設定で管理ということにして、メンションは必要なときはいつでもつけて投稿というルールにする方が良いと思います。

注:もちろんメンションつけなくても良いようなカジュアルな情報共有はNOメンションでOKです。

⑦本名不明

これはSlackであだ名表記にしている場合に、「この人の本名なんだったけ?」が起きる問題です。

よくあるのが、外線がかかってきたときに
「佐藤さんいらっしゃいますでしょうか?」
「(うちで佐藤って誰や…)」
ってなる問題ですね。

名簿見るか誰かに聞くかの一手間が生じ、ものすんごく面倒です。

フランクな関係性醸成のためにSlackネームを使うこと自体は悪くないと思いますが、必ず本名も併記するようにしましょう。

また、更に発展形として、リモートワークの普及や会社の規模拡大により
「この人の顔見たことないんだよな…」
という事象も結構生じています。

心理的安全性の観点からも、Slackのアイコンは顔写真にしましょう。

実際にSlackに神を宿らせるには?

以上述べた「七つの大罪」に気をつければSlackが神の社に近づくわけですが、実践にあたって一番大事なのは経営陣のリーダーシップです。

Slack利用についての規律を打ち立てることは勿論、その規律を浸透させて「当たり前」にしていくことについて、経営陣が意志を持ってしっかりコミットしないとメンバーはついていきませんし、Slackはすぐに荒廃します。

ましてや、経営陣に七つの大罪人がいる場合には、Slackは神の社どころか堕天使のすくつ(なぜか変換できない)になります。

見てみると、Slackが綺麗な会社は経営陣のマネジメントもしっかりしています。逆に、Slackが汚い会社はSlack以外も含めてマネジメントや規律にルーズなところがあります(注:個人的な見解です)。

まさに「Slackの乱れは経営の乱れ」です。

Slack以外にも言えることですが、人数が増えてから規律を打ち立てて浸透させるのはかなり大変です。人は綺麗なところは綺麗に使おうと思いますが、汚いところはそのままぞんざいに扱ったりします(道端に空き缶一つ置かれるとなぜかテトリス状に積みあがっていくアレですね)。

なので、創業初期から成長を見据えた規律やハイレベルの「当たり前」文化をつくっていくのが大事だなと、色んなスタートアップに携わる中で感じています(簡単ではないですが)。

それでは、紅白も終わりそうなので今日はこの辺で(あ、白組勝った)。

みなさま良いお年を。

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