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アニメになった児童文学から見えてくる世界

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1975年から2009年まで (1997年から2007年まで中断) 放映されたアニメ世界名作劇場シリーズなどの作品をめぐる考察。
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#アルプス物語わたしのアンネット

アニメになった児童文学から見えてくる世界<11>:心の闇を描く「わたしのアンネット」

アニメになった児童文学から見えてくる世界<11>:心の闇を描く「わたしのアンネット」

1983年(昭和58年)の世界名作劇場作品「アルプス物語・私のアンネット」。

子供の頃にテレビ放送で毎年続けて見ていた世界名作劇場だったのですが、この作品は当時は途中から興味を失ってしまい、最後まで見ることができなかったものでした。2022年になってインターネットで39年ぶりに見ることができました。

ちなみにアンネットという名前、英語版原作ではAnneteで、英語圏ではよく知られたアネットとい

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アニメになった児童文学から見えてくる世界<10>:動物たちの隣で

アニメになった児童文学から見えてくる世界<10>:動物たちの隣で

有給休暇を週末の連休につなげて、ニュージーランド北島中央の、わたしの住んでいる中規模の地方都市の隣にある小さな街を久しぶりに訪れました。

乳牛の街 Morrinsvilleモリンスヴィル Morrinsville という名の、日本語を母語とする人が発音を苦手にしそうな名前を持つ街。

アクセントは最初のMoの部分。モリンスとヴィルで二音節の言葉。

舌を深く後ろに引いてR、上の歯を下唇に触れさせ

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アニメになった児童文学から見えてくる世界<5>:割愛された聖書物語

アニメになった児童文学から見えてくる世界<5>:割愛された聖書物語

新約聖書の福音書新約聖書の冒頭に置かれている福音書は四つ。

最初の三つの福音書(マタイ・マルコ・ルカ)は共観福音書とよばれ、同じ物語を少しばかり違った角度から語り直すといった体裁を取っています。

最後のヨハネ福音書は四つの中でも一番最後に編纂されたもの。
グノーシス派という非常に思念的な教義(知識と認知において救済されると唱えることは、信仰のみとするパウロ神学に反する)を信奉する初期キリスト教

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アニメになった児童文学から見えてくる世界<4>:日本化される外国文学

アニメになった児童文学から見えてくる世界<4>:日本化される外国文学

十年ほどの中断を挟みながらも三十年以上もの年月をかけて放映された世界名作劇場は総数二十六作ほどを数えるそうですが、原作は日本以外の国で書かれた作品ばかり。

自分にとっては子供の頃に世界中からの素晴らしい児童文学をアニメにおいて親しむことができたことは本当に貴重な体験で、のちにわたしが日本文学よりも外国文学に、日本の音楽よりも西洋古典音楽に、そして長じては外国に移住して暮らすようになったのも、おそ

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