大学生となり寮暮らしを始めたレトロゲーマーうら。隣部屋から転がり込んできて居座りモンスターと化した嶋先輩。スーパーファミコンのゲームをめぐる短編小説集。ゲームを通して人生が見えて…
- 運営しているクリエイター
記事一覧
第4話 スーパー桃太郎電鉄DX
炎天下、灼ける砂浜、寄せては返す白波に青い海、浜中に建てられたパラソルの下にバカンスを楽しむ老若男女。着ているティーシャツが汗でじっとりと濡れて気持ち悪い。荷物を今すぐ肩から下ろしたい。
インドア派の私にとって、これほどの厳しい環境は他に無い。
隣に立つ嶋先輩は、到着し開口一番「海だー!」と雄たけびを挙げた。麦わら帽子に大きな真っ黒のサングラスが鬱陶しい。
普段は殆ど屋外へ出ない癖に、こ
第5話 スーパーマリオRPG
差した傘にばたばたと雫が滴る。
冷える掌をさすりながら、深夜の坂道を降り続ける。
人は何故、あんな山の上に大学を建てたのだろうか。これを毎日登り降りするくらいならと引越し先をすぐ側の寮に決めたのだけれど。
この山には大学と学生寮しか存在せず、学内のコンビニが利用出来ない時間に至っては、ちょっとしたものを買う為だけでもこの山を降って登らなければならない。
結果として予測したストレスに対す