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ソーサツ・ホーシ・ツイッター・アーカイブ・プラス

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操刷法師が戦闘用twitterアカウント(@sosatsuhoshi)で議論した事柄に補足を加えて記録するもの。魔術について、欲望について、表現の自由について、文芸について。
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2023年1月の記事一覧

twitterアーカイブ+: アバター人身売買騒動に寄せて:人権の範囲

事態の認知 2010年代の後半から2020年にかけての美少女表象をめぐる炎上案件は、私にとってほとんど千本ノックの様相を呈していた。異常な頻度で勃発する実存を賭けた闘争、炎上に次ぐ炎上、擁護に次ぐ擁護、その中で私自身の理論も洗練されたと思っている。

 2020年9月の「美少女アバターは人身売買」騒動もそのうちの一幕であったが、これは珍しく表現擁護派の優勢のうちに終結した騒動である。早期に政治家が

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twitterアーカイブ+:遺伝的アルゴリズムちゃんに寄せて、単調と点

遺伝的アルゴリズムちゃんの概要 遺伝的アルゴリズムちゃんとは、群青ちきん氏が2021年1月に開始した「遺伝的アルゴリズムで最高にエッチな画像を作ろう!」という企画で生成されかけた美少女図像のことである。

 二枚の画像のうち、どちらがより性的だと思うかを人間に選択させ、遺伝的アルゴリズムという機械学習の処理を通すことで、人間の選択を反映した「次の二枚の画像」を生成する。これを数万回繰り返すことで、

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twitterアーカイブ+:映画『ペンギン・ハイウェイ』感想:性衝動と特異点

映画一回目「ペンギン・ハイウェイ」を観てきた。私は今回は原作を読んでいないため森見が凄いのか監督が凄いのか判断できないのだが、心ある者は今すぐ観たまえ。諸君はアオヤマ君を通して、男という生き物の底の底を浚うことになるだろう。ただ、女性がどういう感想を持つかは私には丸っきり分からない。

 これが一部の観客に「女性蔑視のおっぱい映画」と酷評される理由は分からぬでもない。だが、そう評する者が本当にその

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twitterアーカイブ+:ポケモンGOでミュウツーを捕まえた時の話

前編 実は年末に帰省の折、私はポケモンGOでミュウツーを捕獲している。事の次第はこうだ。レイドバトルに明け暮れていた私の母(レベル39)のもとに、ある日EXレイドの招待状が届いた。指定された日時に外せない仕事の入っていた母が目をつけたのは、ちょうどレイドの前日に帰ることになっていた私だった。

【オール・ユー・ニード・イズ・ゴー(前編)】

 もちろん、ポケモンの権利運動家である私はポケモンGOを

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twitterアーカイブ+:メディア効果論における小情報近似と大情報近似

スマホ内画像監視アプリに寄せて 2019年7月、折しも参院選の公示日直前、「子どものスマホに保存されたいかがわしい画像を検出、即座に親に通知するアプリ」の話題がタイムラインを一瞬よぎり、去った。

 表現を製作したり観賞したりする自由の中でも、未成年者のそれは成人の権利に比べて劣後されやすい。「子供ならある程度仕方ないか」と多くの人が考えるのだ。操刷法師は違った。

 ……後から考えれば、学習を汚

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twitterアーカイブ+:ラティアスを追ってヴェネツィアに行く者たちへ

遺書 2019年夏、操刷法師は謎めいたメッセージと一枚の写真をtwitterに残して消息を絶った。

「むかしむかし、アルトマーレという島に、おじいさんとおばあさんがいました。」

「ある日、二人は海岸で、小さなきょうだいが怪我をしているのを見つけました。」

「おじいさんとおばあさんの手厚い看護で、二人はみるみるよくなっていきました。」

「しかし突然、邪悪な怪物が、島に攻めてきたのです。
島は

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twitterアーカイブ+:性表現有益論:フィクションによる欲望の言語化

性表現には固有の価値がある 2021年2月、その時何が燃えていたかは忘れた。性表現や美少女表現が事あるごとに非難を受けるのは、夏に台風が来るのと同じ自然の摂理だ。対策を怠る方が悪い。その時何が燃えていたかは忘れたが、直接的な性器の露出を描いたものではない「全年齢向け」の作品が燃えるのが当時の流行りで、そういう炎上に慣らされているとマジモンのエロを守る太刀筋が鈍るぞ、と私はいつものように思ったのだっ

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