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短歌・詩・俳句

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短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。
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2021年9月の記事一覧

抱き枕

抱き枕

僕は、掛け布団を抱きかかえて眠るのですが、聞くところによると、このタイプの人間は寂しがり屋なのだそうです。皆さんはいかがでしょうか?

掛け布団を両腕で抱きかかえて寝ると、背中が出てしまうというので、カミさんが「抱き枕」を買ってくれました。全体が「魚」のデザインっぽいやつです。

もっとやわらかい物かと思っていたのですが、意外と明確な物質感があって、布団を抱きかかえる心地よさに比べると、かなりの違

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風の時間を生きる

風の時間を生きる

輪郭は次第しだいに奪われて いつか私は芒であった

人はみな風の時間を生きるゆゑ 秋の野にふと置かれた芒

秋の夕日の中で、自分の存在の輪郭が薄らいでゆき、風景そのもの中に溶け込んでいってしまうような感覚。僕が消え去った後に残るのは、夕日を背景に揺れる芒(すすき)の景。人は、はかない風の時間を生きる、秋の野に置き忘れられた芒かもしれない・・。

・・みたいなことを考えていたのですが、昨日、プレバト

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青空の歌

青空の歌

今日は一日雲ひとつない快晴でした。

いかにも「ああ、秋だ」と呟いてみたくなる秋空。

澄んだ空気、稲は刈り取られ、夜には虫が鳴き、月は(これは昨日の宵の写真ですが)ほぼ真ん丸。
柿は熟して黄色、橙色の実を青空に浮かべています。

青空にゆわんと柿は熟れてゐて どうにかならないことなどないさ

と、思ってみました。

車に乗ろうとエンジンをかけた瞬間、車(ナビ?)が「今日は空の日です」と言っていま

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彼岸花と猫と

彼岸花と猫と

ウィキペディア(Wikipedia)によれば
彼岸花は
曼珠沙華
死人花
地獄花
幽霊花
蛇花
剃刀花
狐花
捨子花
はっかけばばあ
など様々な名を持つらしい

名前が多いのは恐らく
その不思議さにあるのだろうが
彼岸花の不思議さは
あの紅さと
あの茎に花がにょきっと立った姿と
一瞬の生命の燃焼のように
姿を消すことにある

ひとは地上に現れることを
「萌ゆ」と言い
地上から消えることを
「枯る」

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猫とゆく夕焼け小焼け散歩道

猫とゆく夕焼け小焼け散歩道

夕暮れの奏でる紺のメロディの生きることは悲しみ

同じ短詩形でも、俳句は人気があり、短歌はそれに比べると人気のないジャンルかもしれません。

俳句と短歌の大きな違いは、五七五と、五七五七七の違いであることは明らかですが、それはたぶん、簡潔な17音で省略された乾いた抒情を構成する俳句と違い、短歌は31音、俳句より余分?な14音に、その分量のウェットな「情」が加わってくるという違いと言えるのではないか

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鰯雲

鰯雲

鰯雲高く高くにありまして届かなかった夢があります

届かないものみなうつくしく道草の土手に転がって見た鰯雲

鰯雲人に告ぐべきことならず
・・・加藤楸邨の人口に膾炙した句ですが、鰯雲、鱗雲・・なんだろう、秋を象徴するこれらの雲には、人を惹き付けてやまないものがあるような気がします。

僭越ながら、かなつんさんの俳句とご家族との温かいやりとりに感銘を受けましたので、紹介させてください。

まるまって猫の背中が語る秋

まるまって猫の背中が語る秋

暑い夏と思っていたら昨日は突然秋めいて
ここ御殿場では、ほとんど寒いといった感じでした。
みなさん、お体、大丈夫でしょうか。

夏中、わが家の猫は
暑さを逃れて
家の中にはご飯を食べる時くらいしか戻って来ず、
まるで野良猫のように
屋外や、ガレージを棲み処にいていますが、
昨日はさすがに寒かったようで、
やっと家に戻り
カミさんの枕を横取りして就寝。

猫は気まま。
その、ほとんど我儘のような気ま

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輝いても輝いても孤独

輝いても輝いても孤独

若さとは青き真水を身に抱き 輝いても輝いても 孤独

若さとは自分の体の中に
青き真水を
隠し持っているようなものかもしれません。
清流は美しくありながら、
その美しさゆえに
僕らを拒むものでもあります。
水が陽を受けてきらめいても、
若さが、若さゆえに輝くものであっても、
かえってそれゆえに他と馴染むことを赦さない
屹立した「清冽」を内包している、
そんな気がします。
孤独はむしろ自らの志向のう

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