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1万人チャレンジ毎日エッセイ

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投稿後3日間無料、その後1話100円で販売してます🌻 ①プラハ・ベルリン編(no.1〜no.7)¥500 ②ウィーン・ブラチスラヴァ編(no.8〜no.11)¥300 お得パック… もっと読む
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2019年6月の記事一覧

このドラマの主人公(ドイツ/ベルリン)no.7

 そもそも、この街にくる予定はなかったのだ。しかし今、この街にいるということは事実であり、目の前には涙を流す女性がいた。「たった1日で、こんなドラマが生まれるとは」そう言っている彼女をファインダー越しに見る私からしたら、そのドラマの主人公は間違いなくあなただった。

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刺青問題(ドイツ/ベルリン)no.6

 日本の夏は湿気があって、気温以上にしんどいとは聞くけれど、暑いものは暑い。よっぽど日本の方がコンビニや電車と逃げ場がある。この街は暑くても、冷房がよく効いたところもなければ、水も常温でしか売っていない。
 しかし今日も路上に座れば、ドラマが生まれる。正座の少年どころではない、前のめりの男性がいた。

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子供だけじゃない(チェコ/プラハ、旧市街地)no.5

 この街は、時々激しい雨が降っては何事もなかったようにピタリと止む。本当に急に来るもんだから、雨が降るということを忘れた頃に雨は降って、まるで人間でいう「構ってちゃん」のようだ。

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お手並み拝見(チェコ/プラハ、旧市街地)no.4

 どこの街にいても、子供は世界の中心にいる。子供達の目に映る世界を作る大人たちは責任重大だ。子供たちの笑顔の破壊力と言ったら計り知れない。そして、そんな子供たちは大人にとても厳しい。今からわたしにどんなものを見せてくれるの?

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チップ文化(チェコ/プラハ、マロストランスカー駅)no.3

 ジリジリと肌を焼く陽射しが痛い。地下鉄やトラムを乗り継いで、マップ上に広がる広場に着いたからといって、そこが目指していた目的地だとは限らない。途切れることのない道と、有限の時間を、どういう心持ちでいれば、今歩く道だけを楽しむことができるのだろうか。
 2019年6月20日、チェコ、プラハ。今日、茣蓙を広げたのは、プラハ城というチェコ共和国においてトップを争う観光名所の最寄り駅だった。さまよった挙

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もうひと押しが欲しいだけ(チェコ/プラハ)no.2

 雨の匂いというものがある。クンと鼻の奥に漂う、決していい香りとは言えないのだけれど、雨の匂いは深い呼吸で嗅ぎたくなる。溺れそう。激しい夕立に人が皆屋根下へ走る。雨の香りを普段より強く感じたのはまた、石畳というこの街のせいか。

 2019年6月19日、チェコ、プラハ。今日は新市街地へ向かう。今宿にしているところから駅二つ、電車にゆられ、階段を上がると一目散に視界を埋めるのは国立博物館。

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正座の少年(チェコ/プラハ)no.1

 石畳が広がるその広場に、茣蓙を広げた一人の日本人がいた。その男の周りに現地の人、観光客が集まりだした。

 2019年6月19日、チェコ、プラハ。暑さは大丈夫だと言いながらも日差しの強さには敵わない。街の人たちは筒状のケーキに溢れるほどのソフトクリームを乗せたスイーツを手に持ちながら歩いている。

歩行者天国に店を広げる人たちも日差しを避ける傘をさしている。橋の上で陽気な音楽が流れるていると言う

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