マガジンのカバー画像

こどもの読みもの

178
こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。
運営しているクリエイター

#小説

カンディード

カンディード

ヴォルテール 1759

『 この最善なる可能世界においては、あらゆる物事はみな最善である 』

1755年、ポルトガルの首都リスボンを大地震と津波が襲いました。犠牲者は5万5000人~6万2000人と言われています。この未曾有の災害はポルトガルの衰運を加速させただけではありません。自然の猛威は、神によって世界は最善に創られているという世界観を揺さぶり、カント、ルソーなどの思想家に大きな影響を与え

もっとみる
みずうみ

みずうみ

🖌シュトルム(1849年発表)

独身の老人ラインハルトが月光に照らし出された肖像画を前に、過ぎ去りし日々を回想している。その肖像は、彼より五つ年下の幼友達エリーザベットの姿である。

彼らふたりは小さい時から一緒に過ごし互いに離れることもなかった。しかし、やがてラインハルトは大学生となって故郷の町を離れ、エリーザベットと離ればなれになる。学業に勤しむラインハルトが休みに帰省してみると、彼の幼友

もっとみる

サラジーヌ

🖌オレノ・ド・バルザック (1830)

📎物語は、パリの富豪ランチ家の舞踏会に、場にそぐわない一人の異様な老人が登場するところから始まる。物語の前半はこの老人及びその背景の一族の繁栄を描写する。果たしてこの老人は何者なのか?

📖芸術家サラジーヌはイタリアの劇場でプリマドンナ『ラ・ザンビネッラ』に出会い狂気のように愛する。「彼女に愛されるか、それとも死ぬかだ。」気まぐれで挑発的な彼女には『

もっとみる
アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を

🖌ダニエル・キイス

📖33歳のチャーリーは幼児の知能しかない精神薄弱者。昼間はパン屋で雑用にこき使われ、夜は精神薄弱センターに行って読み書きの勉強をする、という毎日を送っていた。従業員によくからかわれるが、彼はそれを親しい仲間関係の証だと思っているし、センターで言葉を教えてくれるミス・キニアンは優しいし。という具合で、人の良いチャーリーは毎日を結構楽しく幸せに暮らしていた。・・・・そんなある

もっとみる
悲しみよこんにちは

悲しみよこんにちは

🖌サガン

📖『物憂さと優しさがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しく立派な名をつけていいものか、私は迷う。・・・・』

🏖セシルは十七歳。快楽と幸福を嗜好する少女。父は独り者の遊び人ですが、セシルは父の生き方を理解し、父と共犯関係にあります。

🏖父とその愛人と三人で地中海沿岸に訪れたある夏の日、セシルは青年シリルと愛し合う。同じく父は亡き母の友人アンヌに出会い結婚

もっとみる

老人と海

🖌アーネスト・ヘミングウェイ

🎣 キューバの老漁師「サンチャゴ」。連日の不漁にも挫けず、今日も一人で小舟を操り沖へと漕ぎ出す。他の舟が一艘も見えない遥か沖合で、この老人はついに巨大な「マーリン」(マカジキ)を針に掛ける。舟上と海中とでそれぞれ全力をつくす。戦いの始まりです。・・・・読み進めていくと、この物語はヘミングウェイが持つエピソードのひとつではないのか、と思えてきます。

📖 アーネ

もっとみる
stand  by me

stand  by me

📖「スタンドバイミー」🖌スティーブン・キング

🛤ゴーディ(大人)は「弁護士クリス・チェンバーズ刺殺される」という新聞記事に目をとめる。・・・時代は彼が12歳の頃にさかのぼる。

🛤仲良し4人組「ゴーディ」「クリス」「テディ」「バーン」。それぞれ事情がある4人。ある者はひどい家庭内暴力を受け、ある者は犯罪者の息子と呼ばれ。またゴーディも・・・。

🛤ある日、行方不明の少年の死体が森の奥に

もっとみる
デカメロン

デカメロン

🖌ジョヴァンニ・ボッカッチョ (イタリア)

タイトルの意味は『十日物語』

男女十名の主人公が一日一話ずつ語り継いだ【新奇な物語】すなわち〈 ノヴェッラ 〉群を十日百話にまとめ上げたものです。枠物語形式によるヨーロッパ最初の物語小説集といわれます。1348年フィレンツェを襲ったペストの惨劇を機に書き始め、1353年に一巻としてまとめられました。中世ヨーロッパの民間伝承、史実、逸話、伝説などを素

もっとみる