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ジジイが書く詩【短編】
艶が失われた瞼に文字が羅列している携帯の光が当たって黒い筋が明瞭に現れている。
横臥したまま、文字を淡々と入力していく。
こんなはずではなかった。
俺は興味本位に作詩教室に入会したのだが、同年代の者はおらず、ジジイばかりだ。
加えて、初回で3ヶ月分の月謝を払ってしまったらしく、良心の呵責に苛まれつつも、抜けるにも勿体ないので3ヶ月間は続けてみることにした。
ここのジジイの書く詩には共通点がある
ヤバめの芸術論【エッセイ】
しかし、この国は暑すぎる。
どんな些細な時間にも、常に頭に過ぎるその感情は自分を溶かしてしまうようだった。緊張が紐解けることはなく、食えなかったおにぎりは鞄の中で楕円上につぶれてしまっていた。それに不快感を覚えた私は、全てを夏のせいだと暑さに押し付ける。
交通にとって無益な信号を渡る。
空は嫌にも快晴だ。
コンクール当日、県庁がある市に電車で向かう。
とにかく、席に座るのが嫌だった。プライドの
湿地帯の夢【エッセイ】
最近、アメリカの湿地帯の夢をよく見る。本当に何の面識もない場所なので、少し怖かったりもするのだが、特に気にせず生きている。
先日、変なことに詳しい友人と会った。そこで、湿地帯の夢の話をした。
「随分と変な夢を見るね」
「変じゃない夢なんてあるの?」
「夢が変なんじゃなくて
この世が変なんだよ」
そう言って彼女は笑った。
いまいち、言っていることが分からなかった。
その夢のことについ