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#考察コラム

『本格科学冒険漫画 20世紀少年』~考察~

1999~2006年連載(日本)

著作、浦沢直樹

 ※ネタバレ含む

 ケンヂは失踪した姉の娘を育てながらうだつの上がらない生活をしていた。そこに刑事が訪ねてくる。お得意先の失踪、小学時代の友だちの死、それらにかかわる「ともだち」と名乗る男を中心とする宗教団体……。「ともだち」の使うマークはケンヂが小学時代、秘密基地の仲間たちと使っていたマークだった。そして当時ケンヂが書いた「よげんの書」のと

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『ゴジラVSスペースゴジラ』~爽やかハッピー~

映画の感想です。

1994年公開(日本)
監督、山下賢章 特技監督、川北紘一 脚本、柏原寛司
 

 G対策センターは、ゴジラ対策としてTプロジェクトとMプロジェクトを立ち上げる。ゴジラに感情移入するようになった未希はTプロジェクトへの参加を渋るが、フェアリーモスラからのお告げを聴いて参加を決める。フェアリーモスラは宇宙から来る生物への警告を告げていた。
 Tプロジェクトの一環でバース島へ行っ

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『ゴジラVSメカゴジラ』~自然回帰願望~

1993年公開(日本)
監督、大河原孝夫 特技監督、川北紘一 脚本、三村渉
 

 G対策センターは海から引き上げたメカキングギドラを解析し、対ゴジラ兵器としてメカゴジラを作る。一方、ベーリング海のアドノア島では古代生物の卵が発見される。その卵はゴジラザウルスの卵だった。
 卵から孵ったベビーゴジラを求めてゴジラ・ラドンが日本に襲来する——。

※ネタバレあり

『ゴジラVSメカゴジラ』は、ゴジ

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『ゴジラVSモスラ』~モスラの神々しさ~(後編)

1992年公開(日本)
監督、大河原孝夫 特技監督、川北紘一 脚本、大森一樹
 

 隕石の落下によって、眠っていたゴジラが目覚めた。それと同時期に、環境破壊によって危機を感じた地球の意志で、モスラが復活する。そしてまた、破壊の神・バトラも復活する。トレジャーハンターをしている主人公は、ひょんなことから小美人とモスラの卵を日本に持ち運ぶことになるが——。

※ネタバレあり

(前編のつづきです)

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『ゴジラVSモスラ』~モスラの神々しさ~(前編)

1992年公開(日本)
監督、大河原孝夫 特技監督、川北紘一 脚本、大森一樹
 

 隕石の落下によって、眠っていたゴジラが目覚めた。それと同時期に、環境破壊によって危機を感じた地球の意志で、モスラが復活する。そしてまた、破壊の神・バトラも復活する。トレジャーハンターをしている主人公は、ひょんなことから小美人とモスラの卵を日本に持ち運ぶことになるが——。

※ネタバレあり

 VSシリーズで一番

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『シン・ゴジラ』を観て

2016年発表(日本国)
総監督・脚本、庵野秀明 監督・特技監督、樋口真嗣

 ※ネタバレ含む 

 まず、庵野秀明さんと樋口真嗣さんがやると聞いた時、失礼ですが不安がよぎりました。「目茶目茶にされるんじゃないか」と。すみません、勝手なイメージですが……だって、庵野さんと樋口さんですよ……(二人ともすごい方だと思っています、エヴァもガメラも名作です、ローレライ好きです、でもそういうことじゃなくて)

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『告白』(映画)を見て

2010年公開(日本)
監督、中島哲也 原作、湊かなえ

 中学校の1年の担任を持っていた森口悠子の娘が学校で死んだ。警察は事故だと判断したが、本当はこのクラスの生徒に殺されたのだ……終業式後の教室で担任教師の衝撃的な告白が始まる。

※ネタばれあり

 修哉のような、ギリギリのギリギリの精神状態でツッパッている若者が好きです。

 まあ彼のキャラは中学生だから許されるもので、高校生以上であの性格

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『あらしのよるに』(映画)を観て

2005年公開(日本)
監督、杉井ギサブロー 原作、きむらゆういち

 ヤギのメイと狼のガブがあらしの夜に出会い、友情をはぐくむ話。

※ネタばれあり

 二匹ともに感情移入はできたし面白かったけど、手放しに喜びづらい内容……ラストはこれでよかったのかと、先のことを考えると暗澹たる思いになったりも。
 たまたま助かったというだけで、やっていることは心中だよねこれ。
 若者が後先考えず二人で逃避行

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『図書館戦争』(映画)~あくまで自由を守る~

 2013年公開(日本)

 監督、佐藤信介 脚本、野木亜紀子 原作、有川浩 主演、岡田准一・榮倉奈々

 舞台は正化31年(2019年)の架空現代日本。1988年に「メディア良化法」という法律が制定される。これは公序良俗を乱し人権を侵害する表現を規制する法律で、実質上の検閲を認めるものだった。
 メディア良化隊のやりすぎた弾圧行為から読書の自由を守るために組織された組織図書隊。
 かつて自分と自

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『煙か土か食い物』~恩讐の彼方に今がある~

 2001年出版(日本)
 著作、舞城 王太郎

 サンディエゴに住む腕利きの外科医・奈津川四郎は母親が怪我で入院したという一報を受けて故郷・福井県西暁町へ帰る。そこで起こっていた連続主婦殴打生き埋め事件に母親は巻き込まれたのだ。母親を鈍器で殴り生き埋めにし意識不明に追いやった犯人に主人公は怒りをたぎらせ復讐のために行動を起こす……。

 主人公が好きになれず、肌に合わないなと思いながら読み進めた

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『ルドルフとイッパイアッテナ』(映画版)

2016年発表(日本国)
監督、湯山邦彦 榊原幹典 脚本、加藤陽一 原作、斎藤洋
ルドルフとイッパイアッテナ

※イメージ画

 小さな黒猫のルドルフは、飼い主のリエちゃんが大好き。ある時リエちゃんを追いかけて家を出て、ハプニングの結果、トラックの荷台に乗って東京まで来てしまう。
 そこで出会った「教養のある」野良猫・イッパイアッテナの協力を得ながら、リエちゃんのいる町へ帰る方法を模索するのだった

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『ルドルフとイッパイアッテナ』~一番好きなシリーズ~

 1986年出版(日本)
 作、斎藤洋 絵、杉浦範茂

 ひょんなことから迷い猫になったルドルフが、野良猫イッパイアッテナに出会い成長する話。

※ネタばれあり

 私の大好きな作品です。
 続編の『ルドルフともだちひとりだち』と共に、子供のころ何度も読み返しました。
 この小説は猫が書いたものを筆者が清書したという設定 で、そこからしてワクワクします。

 ひょんなことからトラックに乗って岐阜か

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『説得ゲーム』~新ジャンル、中二病☆BBA~

漫画の感想です。

2000年発表(日本国)
著作、戸田誠二
説得ゲーム

※イメージ画

 ゲーム会社に勤める主人公・尾崎の元に「説得ゲーム」というゲームが届く。
 その作風は主人公が学生時代に交流のあった女性の作るゲームにそっくりだった。
 制作者がその女性と確信した主人公は、女性を見つけ出し、彼女の自殺を食い止める「リアル説得ゲーム」をすることになる――。

 ※ネタバレ含む 

 戸田誠二

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『破線のマリス』~正義感に基づく悪意~

1997年出版(日本)
著作、野沢尚

 遠藤瑤子は虚偽報道すれすれのニュースで高視聴率を打ち出す敏腕映像編集者。
 ある日、郵政官僚の春名から、ある事故の真実を告発した一本のビデオテープを渡される。瑤子は独断でテープを編集し、あたかも郵政官僚の一人、麻生が犯人であるかのような映像を作った。そして電波で流してしまうが……。

※ネタばれあり

 第43回江戸川乱歩賞を受賞。
 好きな作品です。 

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