「会話は、とぎれていい 愛される48のヒント」 加藤綾子
「この人と話していると楽しい」「この人の前では気持良く話せている」と感じたときは、目の前の人がどんな聞き方をしているか注目してみるのも聞き方を向上させる大事な姿勢だと思います。」
「会話は、とぎれていい」 加藤綾子
「会話はとぎれない方がいい」と思っていました。
それが
「会話は、とぎれていい」というのです。
この本の著者は、元フジテレビのアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーの加藤綾子さん。
言葉を話すプロの加藤綾子さんが「会話は、とぎれていい」と言っている根拠はどこにあるのだろう?と考えながら本書を読み進めていきました。
ところが
大見得きって「会話は、とぎれていい」とは言っていないのですね。
あるとき、出版社の方から加藤さんに「仕事とプライベートに役立つ『話し方』の本をつくりたい」という提案がありました。
加藤さんは、お断りしようとしました。
その理由が
テレビで活躍する一流のタレントさんや先輩のアナウンサーたちと間近で接してきて、今すぐに使える「話し方のマニュアル」なんて、存在しないと考えていたからなんです。
加藤さんが接してきた「話し方の達人」たちは、話し方の技術というよりも
そんなことを考えていたとき、加藤さんの思いは変わります。
自分が教壇に立つのではなく、「話し方の達人」の言葉を伝えることはできるのではないか?
そうして
編集者の方へ、自分の意見を伝えているときに出てきた言葉がありました。
まさにこの時の会話が、この本のタイトルになったんですね。
加藤さんは、会話の中で「問題ではないか?」と感じていたことが
「不自然さ」
会話のマニュアルにあるような、初対面では天気の話をするとか、相手の言葉にオウム返しをするとか、役立つ場面もありますが、コミュニケーションが不自然になる危険性があると考えていました。
それよりも
「話し方の達人」たちとのコミュニケーションから生まれた
という本質的な部分を掘り下げてみたかったのです。
なので
加藤さんが心を動かされた「会話の魅力」がこの本には、たくさん詰まっています。
印象的なお話が
阿川佐和子さんと高島彩さんの「聞く力」
阿川佐和子さんといえば、「聞く力」という本がベストセラーとなっているほど、インタビューの上手な方ですよね。
会話というのは、一方的に話すものではありません。うまくキャッチボールができてはじめて、お互い気持ちよく、良い会話ができるのでしょう。
加藤さんは、阿川さんにインタビューされたときのことを、こう語っています。
失敗談を聞くと安心しますし、共感もするし、相手との垣根が取りはらわれますよね。
また
「こんな失敗しないようにね!」と慮ってくれているようにも感じます。
高島彩さんは、加藤さんのフジテレビ時代の先輩です。
高島さんの話の聞き方は
会話とは、「聞き方がとても重要な役割を占めている」と感じさせられたお話でした。
そんな「話し方の達人」たちを、目の前で吸収しているからこそ、加藤綾子さんはたくさんの人から愛されているのでしょう。
この他にも、明石家さんまさん、タモリさん、マツコ・デラックスさん、アナウンサーでは有働由美子さんや羽鳥慎一さん、安住紳一郎さん等、第一線で活躍されている方々のコミュニケーションの秘技が語られています。
それは
話(会話)の技術だけではない、人間力のなせる技でありました。
【出典】
「会話は、とぎれていい」 加藤綾子 文響社
いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。