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「愛することばあなたへ」 瀬戸内寂聴

「迷うのは心が疲れているせい。思い切り、おしゃれをして町を歩いてごらんなさい。」



「愛することばあなたへ」 瀬戸内寂聴


この本の22ページに、ことばの出典が載せられていて、瀬戸内寂聴さんがかつて出版した本の言葉をまとめたものだとわかります。


ですので


中身の濃い凝縮された光り輝くことばがぎっしり詰まっています。


その中で


恋、愛、社会、生死、戦争、宗教、いろんな視点からことばが厳選されていて、私たちの日々の生活で生じたさまざまな思いがけない悲しみや苦しみ、時が経っても忘れられないそれらの残滓を、寂聴さんのことばがきれいに濾過して透明にしてくれます。


負けたらダメなのよ。上を向いて生きなさい。手毬を落としたら跳ね返ります。どん底まで落ちたら跳ね返るしかないのです。


よく人は 「がんばれ、がんばれ」と、言いますけど、がんばるということは、どこかで無理をすることで、病気になったり、神経が切れたりします。
これからはあんまりがんばらないで、もっとゆったり生きましょう。

私もがんばり屋で、ずうっとがんばってきたから、がんばり屋の気持ちがわかるの。



自分のしたいことをしている人はね、誰でも魅力が出てきます。そうすると、そういうあなたを、好きになる人は、必ず、この世の中には、たくさん出てきます。


その中でね、よりどりみどりで結婚したらいいじゃありませんか。ちっとも急ぐことはないですよ。


別れの辛さに馴れることは決してありません。

幾度繰り返しても、別れは辛く苦しいものです。それでも、私たちは死ぬまで人を愛さずにいられません。それが人間なのです。



自分のおかれている環境が恒常であってほしいのに、この世は何と無常なのか。形あるもの、物質はもちろん、感覚も、全ての精神作用も、泡沫、かげろう、夢、幻のようなもので確実なものはない。

それなのに、われわれはこれらはかないものに愛着し、執着し、永遠にそれが存在することを願っているから、常に裏切られていく。


また花が咲きますよ、
根がしっかりしているから大丈夫。
見返してやりなさい。


原発のことが書かれてありました。


やればやるだけ、もっと核廃棄物は増えていく。未来へのつけにしちゃうってことになってしまいます。もう一回日本で核事件があったら滅びますよ。

そもそもね、日本は広島・長崎で被爆しているのよ。世界で唯一の被爆国がなぜこんな核を増やす選択をしているのかしら? なんにも学習していないの?


戦争のことが書かれてありました。


善と悪はだれが決めるのでしょう。国によって道徳が違います。道徳とか法律とかいうのは、その時のその場所の為政者、権力者が都合のいいように決めたものなんです。

為政者が代わると、道徳も法律も変わります。一度戦争が起こると、その指導者たちは必ず聖戦なのだと言います。これは聖戦だ、だからついてこい。やらなければならない、悪をやっつける聖戦だと。それが戦争の始まりなんです。


自分にとって大切なことばがありました。


あなたが元気に生きて行くことこそが、亡くなった方への最高の供養です。


この世のすべての悪は愛で清められる。無償の愛だけが、この世の絶望を希望に替える奇蹟の力を持つ。

想像力を鍛えるには、日本語を叩き込み、本を読ませることだ。日本語の美しさの中には数えきれない美しい心の宝石がちりばめられている。


「こころの再生」の妙薬は、日本のことばの美しさの中にこそある。

死なない秘訣とは。死んでもいい、と思いなさい、ということ。その代わり、今日したいことは今日しなさい。

いつ死んでも悔いのないように、充実した生を送っていると、死は遠ざかります。何もしないで死にたくないとだけ思い詰めていると、死ぬんです。

お釈迦様も、こうおっしゃっています。「過去を追うな、未来を願うな。過去は過ぎ去ったものであり、未来はまだ到っていない。今なすべきことを努力してなせ」(中部経典)


この本を読み終えると、必ずひとりひとりに寄り添った大切なことばが見つかるはずです。


それは


あなたの生きてゆく 「道しるべ」になって、あなたの一歩、一歩、踏みしめてゆく足元を照らし続けるでしょう。



【出典】

「愛することばあなたへ」 瀬戸内寂聴 光文社


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