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脳卒中

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#日記

生活期における装具の必要性

生活期における装具の必要性

装具無し歩行では装具歩行に比べ病巢側運動前野, 両側補足運動野, 非病巢側運動前野,内側一次運動野,病巣側外側一次運動野と推定される箇所にて有意な増加がみられた.

短下肢装具の使用では,前頭葉の運動関連領野の活動が限局されていることが確認された。

このことは,装具歩行ではパターン化された前頭葉の運動関連領野の活動に限局されているが,装具
なし歩行では,内反出現や立脚期における不安定が多くの領域

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被殻出血の運動機能改善に大切なこと

被殻出血の運動機能改善に大切なこと

重度の下肢運動機能障害をきたした被殻出血患者の運動機能改善予測には、

①年齢

②皮質脊髄路走行領域の損傷度

③SIASの体幹垂直性機能

が重要な因子となる。

①年齢

ラットやヒトにおいて、加齢は脳卒中発症後の運動機能回復を阻害する因子であることが報告されている。

②皮質脊髄路走行領域の損傷度

脳卒中発症により内包後脚に損傷をきたした場合でも内包前脚や内包膝が損傷していない症例におい

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上肢懸垂用肩装具は意味あるのか?

上肢懸垂用肩装具は意味あるのか?

肩の亜脱臼

筋緊張が低下した発症早期の麻痺側肩関節亜脱臼は、抗重力肢位となった際の棘上筋や関節包の過剰な伸張により、周辺の軟部組織に過度のストレスを与え、麻痺側肩関節周辺組織の微細損傷ならびに炎症の出現を誘発する。立位や歩行練習などの機会の増大に伴い麻痺側上肢が下垂位となる頻度が増えれば、そのリスクは高まる。

上肢懸垂用肩装具(オモニューレクサ)

上肢を引き上げる作用があり、X線撮像により、

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肩関節亜脱臼 肩関節の機能解剖

肩関節亜脱臼 肩関節の機能解剖

肩関節の構造

・受け皿である肩甲骨の関節面が小さい

・可動域は広くなったが不安定

・不安定性を補うために関節唇、関節包や腱板によって補強されている

・上方には軟骨性の関節面がない

・肩峰と烏口突起の間に靭帯(烏口肩峰靭帯)があり、上方の受け皿となる

・これを肩峰下関節というが、滑液包が潤滑の役割を持つ

・関節包は余裕を持たせる一方で、局部的に肥厚し安定性を高めている。

肩関節の筋肉

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片麻痺に対するボバース

片麻痺に対するボバース

正常姿勢反射は主として立ち直り反応と平衡反応から成り立つ。

これらの反応の持つ、共通の要素は、

①姿勢をコントロールするための姿勢緊張が正常である事

②多種多様な機能的運動パターンをつくり出すことができ、このパターンは全人に共通である事

③相反神経支配が正常に行われ協調された主動筋、拮抗筋、協働筋の収縮作用が行われること

正常では動かそうとする関節より近位の関節は協働筋の収縮により固定さ

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タンデム肢位ができないときには

タンデム肢位ができないときには

タンデム肢位ができないときには

片麻痺患者では麻痺側後方位でタンデム肢位がとれないことが多い。

そのため介入としては、麻痺側を軸としたクロスステップ時の重心移動・筋活動の補償を意識してハンドリング介入をすると良い。

遊脚である非麻痺側のクロスステップの動きに伴って体幹が麻痺側前方に崩れやすいことが多く、下部体幹から操作が必要。

非麻痺側が遊脚から接地に至るまで、麻痺側軸足の支持基底面内に重

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装具を決めるための簡単な検査

装具を決めるための簡単な検査

背臥位

①SLRが可能な場合、短下肢装具の適応

②膝軽度屈曲位でわすかに踵が持ち上がる場合、さらに努力すると下肢屈筋共同運動パターンが出現する場合は短下肢装具の適応

③SLRが保持出来ず、膝屈曲できても踵が持ち上がらない場合は長下肢装具の適応

④全く下肢が持ち上がらない場合、座位保持が可能なら長下肢装具の適応

立位

①膝折れがある場合、長下肢装具の適応

②膝軽度屈曲位で保持可能なら短

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脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

歩行練習のゴールは

「速く歩けるようにすること」
     ↓
たくさん歩く・大股で歩く
     ↓
立脚後期を鍛えること

①脳卒中片麻痺患者の歩行能力の特徴、問題点は何か?

歩行の実用性は歩行速度により規定される。

・歩行速度0.8m/秒以上の地域生活者は制限なく屋外歩行可能

・屋外歩行のカットオフ値 快適速度0.61m/秒 最大速度

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脳卒中片麻痺患者における Toe clearance獲得戦略

脳卒中片麻痺患者における Toe clearance獲得戦略

脳卒中片麻痺患者における Toe clearance獲得戦略

片麻痺患者の足部‐床面距離は健常者に比べ低い値を示す。(クリアランスの低下)

Toe clearanceの構成要素

●小さくなるもの

・SHTL(股関節と第5中足骨頭の直線距離)

●大きくなるもの

・骨盤傾斜による股関節上方移動距離

・外転による足部上方移動距離

・対側股関節上方移動距離

バレー徴候

バレー徴候

・上肢

座位または立位にて、両上肢の手掌を上にして、前方水平位に挙上させて開眼させる。

そのまま保持させ、上肢が回内し、徐々に落下してくると陽性となり、軽い不全麻痺を示す。

・下肢

腹臥位で両膝を45°屈曲させ、そのまま保持させる。

自然に落下した下肢は軽度の不全麻痺を示す。

理学療法評価学

ヒールライズ

ヒールライズ

①端座位で行う。この時に骨盤前傾位を保つことを忘れずに。

②立位で行う。膝は屈曲して構わない。

③立位、麻痺側下肢後方ステップ位で行う。膝は屈曲して構わない。

※爪先は接地したままで行えるように。

④立位で膝伸展保持で行う。重心が下がらないよう、骨盤は臀部から挙上介助を行う。

歩くということ

歩くということ

●歩行介入における運動量の重要性

脳卒中患者における運動療法が「学習」定義された以上、学習即に基づいた量の確保は大前提である。

運動量の確保は、脳卒中の運動療法においてもはや公理である。

出来るだけ高頻度。高強度で目的動作を続ける方法が最もエビデンスの高い戦術である。

●実用歩行獲得に必要な三つの要素

歩行速度、歩行距離(耐久性)、安定性(転倒)

実用歩行獲得のための最も端的な戦略は、

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