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歩行

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#理学療法

装具を決めるための簡単な検査

装具を決めるための簡単な検査

背臥位

①SLRが可能な場合、短下肢装具の適応

②膝軽度屈曲位でわすかに踵が持ち上がる場合、さらに努力すると下肢屈筋共同運動パターンが出現する場合は短下肢装具の適応

③SLRが保持出来ず、膝屈曲できても踵が持ち上がらない場合は長下肢装具の適応

④全く下肢が持ち上がらない場合、座位保持が可能なら長下肢装具の適応

立位

①膝折れがある場合、長下肢装具の適応

②膝軽度屈曲位で保持可能なら短

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脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

脳卒中片麻痺患者の歩行再建における重要なルール

歩行練習のゴールは

「速く歩けるようにすること」
     ↓
たくさん歩く・大股で歩く
     ↓
立脚後期を鍛えること

①脳卒中片麻痺患者の歩行能力の特徴、問題点は何か?

歩行の実用性は歩行速度により規定される。

・歩行速度0.8m/秒以上の地域生活者は制限なく屋外歩行可能

・屋外歩行のカットオフ値 快適速度0.61m/秒 最大速度

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脳卒中片麻痺患者における Toe clearance獲得戦略

脳卒中片麻痺患者における Toe clearance獲得戦略

脳卒中片麻痺患者における Toe clearance獲得戦略

片麻痺患者の足部‐床面距離は健常者に比べ低い値を示す。(クリアランスの低下)

Toe clearanceの構成要素

●小さくなるもの

・SHTL(股関節と第5中足骨頭の直線距離)

●大きくなるもの

・骨盤傾斜による股関節上方移動距離

・外転による足部上方移動距離

・対側股関節上方移動距離

歩くということ

歩くということ

●歩行介入における運動量の重要性

脳卒中患者における運動療法が「学習」定義された以上、学習即に基づいた量の確保は大前提である。

運動量の確保は、脳卒中の運動療法においてもはや公理である。

出来るだけ高頻度。高強度で目的動作を続ける方法が最もエビデンスの高い戦術である。

●実用歩行獲得に必要な三つの要素

歩行速度、歩行距離(耐久性)、安定性(転倒)

実用歩行獲得のための最も端的な戦略は、

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足を振り出すということ

足を振り出すということ

脳卒中片麻痺患者の遊脚期の最も一般的な障害として、麻痺側下肢の振り出し困難が挙げられる。

代表例としては、共同運動などにより遊脚時に麻痺側膝関節屈曲が生じないstiff-knee-patternが挙げられ、その代償として体幹の側屈と骨盤挙上による分廻し歩行が観察される。

ヒトの歩行において遊脚期には位置エネルギーを使用した振子運動(遊脚振子)が大きな動力源となっている。

運動麻痺が重度である

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歩行にはイメージも大切

歩行にはイメージも大切

歩行にはイメージも大切

運動イメージ能力とは、心的時間と実行時間の一致性

心的時間:運動イメージの想起に要する時間

実行時間:運動の実行に要する時間

運動イメージと実際の運動の一致性を評価することで、対象者のフィードバック誤差学習を促進させることができると見込まれる。

イメージ想起は「自分が運動しているところを外から見てるようなイメージではなく、あたかも自分が行っているような感覚をイメー

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物を抱えて歩く

物を抱えて歩く

独歩は可能も、背部の筋緊張が高かったり、上肢の振り出しが上手く出なかったり、上肢が過緊張になってしまったり、骨盤の回旋が上手く出なかったりします。

その時はビーチボール等、なるべく大きなボールを抱えて歩行してもらうと良いでしょう。

自然と背部の筋緊も和らぎますし、体幹と骨盤の対側回旋を促すことができます。

ぜひ一度お試しを。

姿勢よく歩いたほうが良い理由

姿勢よく歩いたほうが良い理由

歩行時に姿勢よく歩いたほうが良い理由

●症例

常に胸腰部および両股関節・膝関節屈曲位を呈す。

・麻痺側立脚中期から後期にかけて、麻痺側股関節屈曲・内転することにより骨盤の過度な麻痺側後側方移動が生じ、遊脚足底が内側へ急速に接地する。

→麻痺側大殿筋の緊張低下により、伸展運動が行えないため、股関節屈曲が生じる。
 麻痺側中殿筋の緊張低下により、立脚期に必要な内転の制動が行えない。

・胸腰部

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麻痺側下肢後方ステップを安定させるために必要なこと

麻痺側下肢後方ステップを安定させるために必要なこと

麻痺側下肢後方ステップを安定させるために必要なこと

●症例

脳梗塞右麻痺

麻痺側後方ステップ時に不安定となる

●問題点の整理と理学療法

①立位姿勢から上位胸椎屈曲位、胸腰椎移行部屈曲、左側屈位

→両側最長筋緊張低下

※体幹直立位が困難だと、股・膝関節を屈曲し膝を前方に位置させ、臀部を後方変移させることで重心を支持基底面に留めている。

<アプローチ>
上位胸椎の伸展、胸腰椎移行部の伸

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歩行中に足部が内反してしまう場合②

歩行中に足部が内反してしまう場合②

●症例

左麻痺

麻痺側底屈位で足尖設置を迎えることで立脚相が始まる。

麻痺側立脚初期から中期にかけて、空間的に後足部が回外し、その直後から、横足根関節の回内に伴い前足部と中足部の回内が生じるが乏しく、下腿が過剰に外側傾斜し、側方への不安定性が生じる。

→麻痺側腓骨筋群の緊張低下、麻痺側後脛骨筋の緊張亢進、麻痺側足関節の外返しROM制限。

麻痺側股関節内転に伴う骨盤非麻痺側下制が生じる。

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歩行中に足部が内反してしまう場合

歩行中に足部が内反してしまう場合

足部内反と歩行

平行棒内歩行にて、麻痺側立脚期に臀部が麻痺側後方へと変位し、安定性が低下する症例をよく見かける。

●歩行評価・分析

麻痺側LR~MStで股関節内転乏しい。距骨下関節の回外に伴い足部全体が空間的に回外し、その直後から、横足根関節の回内に伴い前足部と中足部の回内が生じるのが乏しい。

→右下腿が過剰に外側傾斜し、身体全体が右側へ傾斜してしまう。

足背屈に伴う下腿前傾が生じ、同時

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結局歩行器って何使えばいいんだ!?〜膝への負担から紐解く〜

結局歩行器って何使えばいいんだ!?〜膝への負担から紐解く〜



・車輪付き歩行器(以下C付ピックアップ)
・椅子付き歩行車(以下シルバーカー)
・前腕支持台付き歩行車(以下コンパル)

の適応を膝関節への負担の観点から比較していく

①外部膝関節内反モーメント(以下KAM)の比較

KAM最大値は立脚期前半、後半ともにすべての補助具で独歩と比較して有意に減少。

立脚期前半ではシルバーカーとコンパルがC付ピックアップと比べ有意に減少。

これは床反力の減少

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骨盤前後傾の大切さ

骨盤前後傾の大切さ

骨盤の前後傾は歩行時のバックニーを抑制し、適切な遊脚を形成することが可能。

片麻痺患者はこの骨盤前後傾ができないことが多い。

介入としては、

まず背臥位で骨盤後傾運動を自動介助で行う。

出来てきたら、骨盤後傾位でブリッジを行う。

その後は骨盤後傾位を保持し、膝の屈伸を自動運動で行ってもらう。

片麻痺患者は膝の単運動が出来ず、股関節の運動を伴ってしまうことが多い。

背臥位の運動ができて

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