歩行中に足部が内反してしまう場合②
●症例
左麻痺
麻痺側底屈位で足尖設置を迎えることで立脚相が始まる。
麻痺側立脚初期から中期にかけて、空間的に後足部が回外し、その直後から、横足根関節の回内に伴い前足部と中足部の回内が生じるが乏しく、下腿が過剰に外側傾斜し、側方への不安定性が生じる。
→麻痺側腓骨筋群の緊張低下、麻痺側後脛骨筋の緊張亢進、麻痺側足関節の外返しROM制限。
麻痺側股関節内転に伴う骨盤非麻痺側下制が生じる。
→麻痺側中殿筋の緊張低下、麻痺側内腹斜筋横線維の緊張低下、麻痺側股関節内転筋の緊張亢進
麻痺側立脚初期から生じようとする仙腸関節の剪断力に対して、内腹斜筋横線維が十分に働くことが困難なため、意図的に股関節を内転させ、、仙腸関節での剪断力を軽減させようとしていた。
麻痺側立脚初期から底屈が増大し、これに伴って下腿の後傾が強まっていく。麻痺側立脚中期以降から足関節背屈に伴う下腿前傾が困難なため、意図的に下腿を後傾させている。
→背屈ROM制限、下腿三頭筋の緊張亢進。
●理学療法
・後脛骨筋のダイレクトストレッチ
→足を軽度後方に引き、足底を床につけた軽度背屈位の状態から、内果後方にて。
・下腿三頭筋の収縮誘導
→下腿後面を把持し、前足部への荷重を誘導しながら、底屈運動を行わせる。
・腓骨筋群の収縮誘導
→底屈・外返し方向へ誘導。自動運動が困難であれば、自動介助運動で実施。
・内腹斜筋横線維の収縮誘導
→骨盤を水平位に保ちながら側方移動を誘導する。
※立脚側の仙腸関節には剪断力が生じようとするが、立脚側の内腹斜筋横線維が働くことでそれを防止している。
参考文献 左足部・足関節への運動療法後に体幹の問題に対して運動療法をおこなったことでT字杖歩行動作の実用性向上を認めた脳梗塞後左片麻痺患者の一症例 福本悠樹 他 関西理学 2017
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