麻痺側下肢後方ステップを安定させるために必要なこと
麻痺側下肢後方ステップを安定させるために必要なこと
●症例
脳梗塞右麻痺
麻痺側後方ステップ時に不安定となる
●問題点の整理と理学療法
①立位姿勢から上位胸椎屈曲位、胸腰椎移行部屈曲、左側屈位
→両側最長筋緊張低下
※体幹直立位が困難だと、股・膝関節を屈曲し膝を前方に位置させ、臀部を後方変移させることで重心を支持基底面に留めている。
<アプローチ>
上位胸椎の伸展、胸腰椎移行部の伸展および麻痺側側屈を誘導し、両側最長筋のうち特に麻痺側最長筋の求心性収縮を誘導する。
これにより麻痺側腹部の胸郭と骨盤間の距離が広がり、腹直筋上部線維、麻痺側外腹斜筋斜走線維が伸張される。
②麻痺側股・膝関節が非麻痺側に比べて屈曲し、骨盤麻痺側下制位による体幹麻痺側傾斜
→麻痺側大殿筋下部線維の緊張低下
<アプローチ>
体幹直立位保持させた立位にて麻痺側大殿筋下部線維を把持し、股関節を伸展方向へ誘導させ、大殿筋下部線維の求心性収縮を促す。
③非麻痺側後足部回外位となり、非麻痺側への重心移動がスムーズにできない
→後脛骨筋、長母指屈筋、長趾屈筋の緊張亢進
<アプローチ>
体幹直立位を保持させた基本姿勢にて、麻痺側後足部回外位から回内方向へ誘導することで、麻痺側後脛骨筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋緊張を減弱させる。
④非麻痺側下肢への重心移動が出来なく、腰椎のわずかな麻痺側側屈による骨盤麻痺側挙上が困難
→麻痺側外腹斜筋縦線維の筋緊張低下
<アプローチ>
体幹直立位保持させた基本姿勢にて、非麻痺側後足部、前足部回外により足底内側を離地させながらの非麻痺側重心移動を確認した中で、麻痺側の後方ステップを行い、腰椎の僅かな非麻痺側側屈による骨盤麻痺側挙上を促し、麻痺側外腹斜筋求心性収縮を促す。
※外腹斜筋は体幹を同側方へ側屈させる働きがあり、胸郭を引き下げる作用と、胸郭を固定すると骨盤を引き上げる作用がある。
日本舞踊における右下肢の後方ステップ動作時に転倒の危険性が生じた脳梗塞後右片麻痺患者の理学療法 武凪沙 他 関西理学 2016
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