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心を豊かにする“広がり”を求めて。オンラインができる今、僕が出張に行く理由

先週、日本を縦断した。といっても、飛行機でなのだが。月曜日に僕の住む沖縄から福岡を訪ねたのち、火曜日には福岡を発ち、札幌へと出張に出かけたのだ。


オンラインにはない「広がり」の魅力

福岡へは、知人の運営する小倉の介護事業所を訪問するために、札幌へは、月に一度の経営コンサルティングを受けるために向かった。

オンラインでも話せるのに、なぜわざわざ会いにいくの?

そう思う人もいるかもしれない。それは、僕がリアルにしかない「広がり」を大切にしているからだ。リアルで対面すると、会いたい人だけでなく、その人の同僚や友人にも会えることがあるし、偶然その場に居合わせた人との出会いもある。食事をするために立ち寄った飲食店での店主さんとの会話を通じて、その土地の食文化や歴史に触れることは、楽しくもあり勉強にもなる。

こうした偶然生まれる、本来の目的以外への「広がり」を得るために、僕は全国各地に出かけるのだ。

小倉の介護事業所でも、偶然に恵まれた。

知人と話していた時に、たまたま彼を訪ねてお客さんがやってきた。その人は、なんと十三代目 市川團十郎さんの付き人だった(まだ襲名されたばかりなので、海老蔵さん、といった方がピンとくる人もいるかもしれない)。

「北九州の介護事業者の代表として、最前列で見てもらいたい」と舞台のチケットを持ってきてくれたのだ。そこで僕もともに舞台の話を聞かせてもらうこととなり、興味の幅を広げるきっかけとなった。こうした想定していない出会いがあるのが、リアルの面白さだ。

月イチのコンサルも、わざわざ僕が出かけなくとも、「来てほしい」と言えば毎回沖縄に来てもらうことだってできる。でも、僕は全国のいろんな場所を訪ねたい。そしてそこで、新しい出会いを見つけたいのだ。


日本なのに外国みたいなホテル

積極的に出張を入れる目的は、もうひとつある。それは、いろいろなホテルに泊まることだ。多種多様なホテルに宿泊することは、サービスや社会の動きを知ることにつながる。

たとえば、最近泊まった外資系のホテルでも、面白いことがあった。

昨今インバウンド需要が高まっている上に外資系ということも相まってか、そのホテルは、「僕は気付かぬうちに外国に来てしまったのだろうか?」と思うくらい、外国人客ばかり。

スタッフも英語は話せるものの日本語は堪能ではない。拙い英語でコミュニケーションを取っていると、ここが日本であることを忘れてしまいそうだ。

また、あるホテルで朝食を頼むと、その説明も、すべてが英語だった。用意された食事のなかでエッグベネディクトしか聞き取れず、よくわからないけどなんだかおいしいものを味わうこととなった。

こんな面白い経験ができるのも、画面越しのコミュニケーションを飛び出して、実際に出かけてみるからこそだ。

この経験をして以来、日本でも英語を話すことが当たり前の未来がくるかもしれないと考えるようになった。これはホテルのような接客業だけではなく、僕らの営む介護事業にも関わってくるテーマだ。

老後を海外で過ごす日本人がいるように、これからは老後を日本で過ごそうとする外国人も増えてくるかもしれない。そうなると、海外からの入居者がでてくる可能性がある。彼らにサービスを提供するには、おそらく英語が必要になってくるだろう。こうした、職場で今の介護事業を見ているだけでは、なかなか辿り着けない発想が生まれてくるのも、実際に出かけることの効用だ。

札幌にて

親の役割ってなんだろう。

外の世界に触れることが重要なのは、子どもも同じ。だからこそ僕は、子どもたちをいろいろな場所に連れ出し、多くのものを見せたい。

連れ出していろいろな世界を見せることで、視野が広がるのはもちろんのこと、「〜するべき」という思考から解き放たれるきっかけにもなる。特に日本は、べき論の強い文化であるように感じるから、なおさらそこから外れることが必要ではないか。


授業参観や送り迎えで先生の声がけを聞いていても、「〜しちゃダメ」「〜しなさい」が多いと感じる。誤解をしないでほしいのだが、僕は先生を批判したいわけではない。先生たちは、教える人=ティーチャーなのだから、日本の社会が「〜べき」の文化である以上、それに適した人間になるために必要なことを教えるのは当然だ。

一方で世界には、規律に従うよりも、自立して自らが考えた行動を取ることをよしとする国も多い。僕としても、できれば子どもたちには自立性や自発性を身につけてほしい。そのために、親にできることってなんだろうと考えている。

ある時、いつもお世話になっている経営コンサルタントの中野会長から、何気ない会話のなかでこんな言葉をいただいた。

「子どもは親の真似をして育っていく。親と自分自身との会話でも学ぶし、夫婦間の会話の一つひとつも聞きながら育つ。その家庭での会話のなかで、自分で考えて行動することを伝えられていれば、それが一番の教育だ。将さんは、そのままでいいと思う」


親としてまだまだ悩むこともあるなか、この言葉をいただけてうれしかった。

札幌にて

ルーティンを破る楽しみ

親としてだけでなく、経営者としても、考えるべきことはたくさんある。

決断や判断の連続の日々のなかで、以前は失敗することも多かった。だが、経営者の失敗は事業の行方を大きく左右する。だからこそ、失敗をしないために注意をしているし、実際に最近は失敗することもほとんどない。だが先日、ある失敗をしてしまった。

今年は、3年に一度の介護保険法改正の年だ。

この法改正により、ある加算項目がふたつに分かれることとなった。そのどちらに自分の事業所が該当しているか届出を出さなくてはならなかったのだが、その提出が漏れていたのだ。

まったく気付かず、管轄している事務局から連絡があってはじめて発覚した。提出が漏れていたことと、提出漏れしていた項目の加算を2ヶ月分返金しなくてはならない旨が伝えられた。その額は合計600万円。このショックは大きかった。

結局、今回は届出ができてない事業者が多かったこともあり救済措置が講じられ、返金はナシになった。しかし失敗は失敗だ。改めて、行政が出している情報の確認を徹底することを肝に銘じたこの失敗から、リンクスの体制、行政の出す情報との関わり方を見直すことができた。ある意味、早い段階で失敗して気付くことができてよかった。

経営者には、こうした法改正における対応を抜け漏れなく行うだけでなく、よりよい判断も常に求められる。この判断をできるだけ精緻に行うために、僕が大切にしていることのひとつが、睡眠だ。

最低7時間は寝ると決めており、起きる時間や寝るまでにかかる時間を逆算して20:30〜21:00にはベッドに入るのが僕のルーティンだ。この時間に寝るために、夕食は早いと17時頃から食べはじめる。食べ終えるのは、遅くとも18時半。

そして朝は5時半頃から活動を開始。幼稚園に通う末っ子長女を夫婦ふたりで送ったのち、8時過ぎに出勤。それから仕事をはじめる。

長男が生まれた27歳の頃から、このような生活を11年続けている。結婚する前は朝まで飲んでいたのが、信じられないような健康的な生活ぶりだ。この習慣を身につけてから、免疫力が高まったのか、風邪をほとんど引かなくなった。

よく考えると、この完成されたルーティンのなかで日々生活していることも、出張に出かけたくなる理由のひとつなのかもしれない。

たとえば、出張に出かける時は、空港で朝ビールを飲むのが定番になっている。車社会の沖縄で暮らしていると、これから出かけるかもしれない時間帯にビールはなかなか飲めない。つまり、「朝ビール」をすることはほとんどないのだ。

でも、車を運転しない出張の日であれば、気兼ねなく飲める。

出張の楽しみは、もちろんビールだけでない。札幌への出張では、いつも新千歳空港から札幌市内まで、アルファードのタクシーで移動する。僕はアルフォードの乗り心地が大好きで、この車に乗るだけで、移動の1時間が価値ある特別な時間に変わる。

そして先ほど書いた、思わぬ人との出会いや食事会での発見など、新しい世界を知ることも、気持ちを一新させてくれる大切なピースだ。

これからも出張や旅をはじめとする、気持ちをリフレッシュし、新たな視点を与えてくれることに時間を使っていきたい。こうして豊かな経験に時間を投資することで、人生もより豊かになるはずだ。自分の1時間をどう使うかを改めて見直してみると、日々の暮らしが変わってくるかもしれない。



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書き手 えなりかんな
聞き手・編集 サオリス・ユーフラテス

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