見出し画像

少しお堅く『靴ができるまで』を解説。

靴ができるまでの工程を順番に書いていきたいと思います。
靴作りの日々を綴っている中で出てくる作業って、
このあたりのことなんだ。こんなことやっているんだ。
知ってもらえたら幸いです。少しお堅い文章なのはご了承ください。

1. 足の計測

○ 足の計測
用紙の上に、足の外郭線を描き入れ、専用の器具で測った
足長や足囲など、各部の数値を記入していきます。

○ 足の情報を記入
足の数値には表れない、形状的特徴や肉質の硬さなどの情報を
合わせて記入していきます。木型を削る際の参考となります。

2. 靴型の作成

○ 木型を削る
計測した数値を基に木型を削ります。その際に靴となる革の厚み、
インソールの有無などを考慮します。
また、つま先の形状はフィット感とともに靴のデザインに大きく関与する部分です。

○ プラスチック型をおこす
削った木型を基にプラスチックの「靴型」を作ります。
既成靴の靴型は左右を反転させた形に。オーダー靴は左右ともに足なりの形に。

3. パターンの作成

○ デザインを描く
靴型の表面にデザインを描き入れます。
足を痛めたり、歩行しにくい靴にならないように
足の構造、機能を考慮したデザインにする必要があります。

○ パターンの作成
靴の設計図であり、革を切り出す際の型となる「パターン」を作成します。
既成靴であれば、左足で作ったパターンを反転させて右足用の型として用います。
オーダー靴は左右別々にパターンを作ります。

4. アッパー縫製

○ 革の裁断
パターンの外郭を革に描き入れ、その線に沿って革包丁で裁断します。
天然の革は動物の皮を原料とし、強度、伸び方向は一様ではありません。
靴の強度を考え、裁断する箇所や方向を工夫する必要があります。

○ 革の漉き
靴はパーツ同士が重なり合い形作られているもの。
重なり合う箇所には革を斜めに削ぎ、厚みを減らす「漉き」という作業が必要となります。
貼り合わせの箇所ごとに漉きの厚み、幅を調節します。

○ 縫製
重なり合った箇所を接着剤で仮留めした後、ミシンで縫い合わせていきます。
強度やデザインを考慮して糸の太さやピッチ(糸のひと目の長さ)を選択します。

5. 底付け

○ つり込み
「中底」を付けた「靴型」に、補強芯を内包させた「アッパー」をかぶせ、
専用の工具(ワニ)で引っ張りながら靴型の形に成形していきます。

○ 底加工
靴型の底面形状に合わせて、革やゴム、合成プラスチックなどの部材を削り整え
靴と地面が接する「靴底」を作ります。

○ 底付け
靴型につり込まれたアッパーと靴底を接着剤のみ、
もしくは、接着剤と麻糸を併用して貼り合わせます。

6. 仕上げ

○ 仕上げ
作業で付いてしまったしわや汚れを落とし、染色やワックスなどの仕上げ加工をほどこします。

○ 完成
靴型を抜き靴内に異物がないか確かめた後、中敷きと靴紐を付けて完成となります。



◀︎◀︎ 前回の記事  |  次回の記事 ▶︎▶︎

最後まで読んで頂きありがとうございます。
この記事が「いいな」と思えたら、お気軽に
右下の♡マークを押してみて下さい。
(noteアカウントの無い方でも押せます。)
   伊藤孝|シロクロ製靴(奈良の小さな靴製作所)
▼ 自己紹介
  伊藤孝 / シロクロ製靴
______________________
▼ サイトマップ
  日々のこと / 私たちについて / 周囲の人々
  大阪でのこと / 道具について / 靴の豆知識
______________________
▼ シロクロ製靴 SNS
  Twitter / Instagram / Facebook

______________________



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?