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そんな小さな路地の長屋の真ん中にシロクロ製靴の工房はあります。

一見入りずらいような
小さな路地の長屋の真ん中に
シロクロ製靴の工房はあります。

▼ 自己紹介
  伊藤孝 / シロクロ製靴

長屋にはうちの他にもう一件、
お店をやられている方も居ますが、
基本は生活の場として
住まれている方がほとんど。

けれども、皆さん快い方たちで
大きな音を立て迷惑をかける
シロクロ製靴のことを
温かい目で見守ってくださいます。

年齢も様々ですが住民同士とても仲が良く、各家庭から料理を持ち寄り
わいわいお酒を呑む機会などもあったりします。

そんな長屋に住むおばあちゃんが
今日僕に話してくれたこと。

戦時中、学生だったおばあちゃん達は
防空壕から大声を出して
敵兵や飛行機を追い払う練習が
あったそうです。
(逆に危険な気もしますが)

その練習で一番大きな声が出た人だけにご褒美があり、
日頃、大きな声で話すのが得意だった
おばあちゃんは見事一位となり
ご褒美をもらうことができたそうです。

そのご褒美とは、
当時では手に入れることは難しい
「運動靴」でした。

そんな貴重なものをせっかくもらったのだから、この靴を履いて戦争を生き抜こうと思ったんだよ。

もちろん、運動靴への思いだけではなく、色々な想いやご苦労があって
生き抜こうと、生き抜いたのでしょうが、靴屋の僕には靴を絡めた笑い話しとして戦時中のことを語ってくれました。

そのお話は、まだ収束の見えないコロナ禍で、当てもなく靴を作る僕に
「頑張って生き抜こうね」という
おばあちゃんからの励ましに聞こえます。

弱気になりがちな僕に
コロナ禍よりも大変な
戦争を生き抜いたおばあちゃんの
笑顔と存在が勇気をくれます。

おばあちゃんと一緒に住む娘さんからは
「年寄りの相手してもらってありがとね、作業の邪魔しちゃってごめんね」とよく言われますが、
そんなことはないのです。僕からすれば、おばあちゃんに感謝しかありません。

足腰の鍛錬にと日課として
毎日長屋の前を歩いているおばあちゃん。
また、いつでも声をかけて下さい。
工房の軒先でお話しましょう。

ちなみに、おばあちゃんと娘さんとの
やりとりも漫才の掛け合いのようで
大好きで、
工房の中に聞こえてくるふたりのやりとりを微笑ましく思い耳を傾け、ひとりにやにやしているのは内緒の話し。

昭和レトロな情景と人情の残る
そんな小さな路地の長屋の真ん中に
シロクロ製靴の工房はあります。



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