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2023年2月の記事一覧

【詩】陸にいる子

【詩】陸にいる子

流れていく季節の波に
自分は乗れてないって思う瞬間、
目の前には
波に乗り渡っていく人たちの
色鮮やかな光景が広がっている。
それをぼくは、ただ、見ている。
すごいな、楽しそうだなって
黙って眺めている。
煌めく波と、自分がいる陸との間に
はっきりとした柵があって
波には乗れないくせに水はかかってくるから
ただ濡れて冷える。
ココロと身体が、じわじわ湿って冷えていく
そんな場所に、ぼくは、いる。

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【詩】星降る夜に

【詩】星降る夜に

流れ星に世界平和って願い事するようなあなたは、とてもかわいい。
流れ星は神様だと思っているからかわいい。

流れ星にお願い事をするなんて、そんな酷いこと私にはできません。

あなたが願って、綺麗だったねってこちらを振り向いた瞬間、何かが一つ消えたかもよ。

流れ星が綺麗なのは、今から消える者達のエネルギーに吸い寄せられているから。犠牲があるから。

考えすぎだと、埃を吹き飛ばすように笑うあなた。な

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【詩】冬霧

【詩】冬霧

冬の日が好きだ。
命の尊さを、最も感じられる季節だから。
呼吸が見え、
赤くなった頬と指先からは血液が見え、 
冷たくなった唇と身体から、死が見える。

夏の日は、きみの命が感じられない。
熱く燃えるような身体は、
ただ屍が炎を纏いながら踊っているようにしか見えない。
生と死が両方見える、そうしてはじめて、
きみは生きているんだねって思える。
そう思えるのが冬の日だけなんだ。

今はその日、きみの

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【詩】地上離れくん

【詩】地上離れくん

ふと気になった単語「希死念慮」。

検索すると、相談窓口の電話番号が出てきた。

こちらをどうぞ!これが正しいボタンです!とでも言うように、不自然に大きく表示される。

意味を調べようとしただけなのに、それすらさせてくれないのか。

その単語を知ってはいけない、考えてはいけないと叫ばれた。(鬼の様な形相でね。)

必死に食い止めようとしている感じがして、僕はなんだか、笑いが込み上げてくる。

そう

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